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旅行記その4:新幹線前夜のひとりたび(2002.11.30〜12.1)

北東北への道(水戸〜盛岡)

 

はじめに

(地図)

この旅行は、東北新幹線八戸開業の前日に運転された「さよならはつかり」に乗って青森まで行ったこと、その日の夜、青森駅で起きたこと・感じたことを文章にまとめたものです。

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新幹線で失われるもの

新幹線。

いまさら説明する必要のない、日本がルーツの高速鉄道である。

その役割は、専用の線路と専用の車両によって、長距離を旅する旅客にスピーディなサービスを提供する事である。この新幹線の開業によって、それまで長い間在来線を走ってきた長距離列車は廃止されていった。

というより「廃止されるべきもの」と言った方がいいかもしれない。それまで長距離列車に押されて増発もままならなかった近距離列車・貨物列車が、その長距離列車によって占められていた駅や線路のスペースを必要としている。長距離列車は新幹線に移ってもらって、その分の線路の余裕を近距離列車・貨物列車の増発にあて、全体の輸送力向上を図るのがスジ、というものである。

コラム:貨物列車にも波及する「新幹線効果」

現在、日本の新幹線は全て旅客列車であり、貨物列車は運行されていない。

実際に東海道新幹線の計画段階で「なぜ新幹線に貨物列車を走らせないのか?」という問いがあった。その当時は旧国鉄の貨物輸送も輸送力不足が叫ばれていたのである。

それに対して、当時の担当者は「新幹線開業によって在来線に余裕が出来るので、その分を貨物列車の増発に充てることが可能であり、新幹線に直接貨物列車を走らせなくてもよい」と回答した。

同じようにドイツの高速鉄道ICEも、最新の路線は旅客列車専用(当初の路線は旅客・高速貨物兼用だった)となっているが、これも「貨物列車の増発は長距離列車が在来線から高速鉄道に移ることで発生する余裕によって賄う」として計画されている。

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新幹線八戸開業を前に

今回(2002年12月)の東北新幹線八戸開業では、これまで40年以上東北本線で運行されてきた特急「はつかり(盛岡−青森・函館)」が廃止になる。

しかも、それだけではない。長距離列車の客がいなくなった、新幹線と並行する在来の東北本線(盛岡−二戸−八戸)が、JRから切り離されて地域運営の第3セクター鉄道に払い下げられることになった。

昭和時代の新幹線開業と比べると、旧国鉄の民営化と貨物輸送の分社化、近距離旅客の伸び悩み等、あらゆる状況が変わっている。旅客鉄道会社にとって「旨味が少なくなった」在来線を切り捨てること自体の是非といった議論があるのは認める。

しかし、この区間がJRから切り離されてもう1年経つ。決まったことの歳を数えても仕方がないし、「あるべき論」の議論はここではやりたくない。ここで伝えたいのは「新幹線開業前日に起こったこと」「それを見てて感じたこと」である。

文章力もないのにデカく出過ぎ>自分。

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団体行動を逸れる

自分は、今回廃止となる特急「はつかり」及び盛岡−八戸間の東北本線には、それほど深い思い入れはない。しかし、ちょうどいい機会に恵まれたので、八戸新幹線の開業初乗りと合わせて、それらにいとまごいを告げに行こうと思う。

というのは、青森に住んでいる友人のK氏が、新幹線開業前日の11月30日に運転された「さよならはつかり583系」というイベント列車の切符を用意するから、一緒に乗りに来ないか?と誘ってくれたからである。自分以上の鉄道ファンであり事あるごとに特急「はつかり」を使ってきた彼にとっては、今回の出来事は「はつかり」利用者である彼にとっては、居ても立ってもいられないものだったろうと思われる。

「類は友を呼ぶ」だか「毒喰わば皿まで」だか知らないが、この「最終日」がどんなものか見てみたい、という野次馬根性や久しぶりにK氏に会って酒を飲みたい、といった欲望に後押しされて、青森まで出ていくことにした。安易な動機、といわれれば、確かに安易かもしれない。


今回の旅行は、水戸からでも東京からでもなく福島県いわき市の湯本駅から始まった。

この日までの社内旅行の帰り道、一人だけ湯本駅で降ろしてもらう。「この後、青森まで行く」ことを会社の人に話したら、さすがに「そんな遠くへ?」と驚かれた。

午前10時過ぎ、仙台ゆきの特急「スーパーひたち」に乗る。この常磐線、全国地図や時刻表の路線図で見る印象とは異なり、実際に海沿いを走るのは、いわき周辺だけである。車窓は刈り取ったばかりのような稲田、車内には小春日和の陽が射し込み、とても冬目前の東北とは思えなかった。

昼過ぎの12時23分に仙台着。午後1時過ぎの新幹線に乗り換え、牛タンがたくさん入った弁当を車内で食べた。温かくなる仕掛けがしてある弁当はおいしかった。

ちょうど腹いっぱいになって眠くなる頃、新幹線はで一ノ関に到着。

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更新日 2003.11.26
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