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旅行記その10:大阪寄り道紀行

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東海道昼酒帰行

JRで行く木津、奈良、桜井

帰りは3人が3人、別行動である。自分は、これから大阪近郊のJR線を乗り継ぎ、途中近鉄線・東海道本線経由で延々関東まで戻る予定である。

江坂から地下鉄を御堂筋線・谷町線と乗り継ぎ、朝から店を開いている立ち飲み屋(さすが大阪)の脇をすり抜け、JR片町線に乗る。

この片町線は、大阪と京都南端とを結ぶ路線であり、つい先年までは一部電化されていないローカル線だったが、JRになってから一気に近代化が進み、今では快速列車が十数分おきに走る幹線に変わってしまった。沿線は古くからの住宅地と新しく開発された団地とが混在しており、車窓を流れる風景を追いかけるだけではこの沿線がどんなところか、全く特徴が掴めない。トンネルのまったくない峠を越えると、京都府の南端に出る。これまで宅地と丘しか見られなかった沿線で、水田が見られるようになる。

片町から1時間弱で終点の木津に到着。ここは京都府の南端、奈良まではあと数kmである。

JR奈良駅は、駅舎の立て替え工事が行われていた。7〜8年前に来た時に建っていた古風な駅舎は、跡形もなく撤去されていた。残念。

ここから、まだ乗ったことのない桜井線に乗る。この路線は奈良を起点に奈良県の南北を結ぶローカル線である。JRの路線図を見る限り利用者を稼げそうな路線なのだが、並行して走る近鉄にすっかり客を奪われており、普段は2両編成のワンマン電車が行き来するだけの路線になっている。この日乗ったのは大阪から直通するハイキング客向けの臨時快速電車であるが、意外に多くの客が乗っていた。

沿線は、途中の天理駅だけが高架の立派な駅になっており、その他はあらゆるものが古びていた。桜井駅の付近では近鉄の高架が桜井線の沿線に立ちはだかって圧倒していた。

どことなく鬱屈な気持ちのまま終点の高田駅に向かう。ここから近鉄で三重県の松坂まで一気に抜ける予定である。近鉄は、親に名古屋から伊勢に連れて行ってもらって以降、しばらく乗っていない。

近鉄のジオグラフィー

近鉄大和高田駅。立派な高架駅から各駅停車で東に向かう。数駅ほど走った後の大和八木で降り、ホーム上の特急券売り場で慌ただしく特急券を買って、1分と間を置かずにホーム上に入ってきた特急に乗り換える。時間の余裕がなく「いらち」な気分になって、駅員との会話も何となく昨日今日で周りから聞こえてきた大阪弁が混じってくる。

特急の座席に座る。慌ただしいのはこれで終わり、次の乗り換えは1時間以上走った後の三重県松坂。深く腰を下ろし、まったりとタバコをふかす。先ほどJRの車内から見上げた桜井駅を、特急は桜井駅など気にしないが如く勢いよく通過していった。

 

桜井を過ぎた途端、沿線に張り付いていた家々がめっきりと減ってきて、車窓が一気に鄙びてくる。このあたりの地理は不勉強なままだったので、関西圏と中部圏との協会がどこにあるのか分からない。行政上は、奈良県と三重県の県境で線が引けるのだろうが、近鉄電車に乗っている限り、三重県の名張で線が引けるのか、「国境」の長いトンネルを控えた青山町で線が引けるのか、分からなくなってくる。

近鉄特急は山の中を走り、その中で忽然と現れる榊原温泉口(結構多くの客が降りた)を過ぎてしばらく走って、ようやく駅名が「伊勢××」で始まる伊勢地方に入る。沿線の風景の主役も森林から水田に変わってくる。伊勢中川で名古屋から来る近鉄線に合流し、程なく松坂に到着。

東海道泥酔紀行

松坂から、ひたすらJRの鈍行だけを乗り継いで水戸まで帰る。

道中はとても長いので気付けが必要である。ビールとつまみを買って名古屋行き快速列車に乗り換える。快適すぎて酒が足りないかな?と思う頃に名古屋着。ここで駅弁(味噌かつ弁当)を買って豊橋行きの新快速に乗り換え。しかし新快速の混んだ車内では駅弁を広げる気にならず、尾張の国を過ぎ去って三河の国に入る頃に乗客の減った車内でようやく昼食を摂ることになった。

豊橋からは向かい合わせの座席が懐かしい普通列車に乗り換え。午後2時、まだ日は高いのだが、「旅の恥はかき捨て」の名言に倣って、缶ビールの栓を切る。3時間後、途中静岡での乗り換えを挟んで熱海まで来る。

ここでもう1本缶ビールを補充し、今回の旅行の反省会を開く(一人では「反省会」と言わないか)。車内は通勤電車のような座席だが、午後5時をまわってすっかり暗くなっているので、酒を飲んでも誰にも咎められまい。

 

午後7時東京到着。名古屋から東京まで、6時間も鈍行列車に揺られ続けてきた計算になる。缶ビールの力を借り続けてきたせいか、あまり「6時間」が長く感じられなかった。ここから自宅のある水戸まであと2時間。もう1本缶ビールを買って、常磐線ホームに並んだ。

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更新日 2006.4.15
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