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旅行記その10:大阪寄り道紀行

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東海道寄り道紀行

大阪での待ち合わせは午後1時半。ここ豊橋から寄り道せずに直行すると、大阪には10時頃に着いてしまう。約3時間ある余り時間、どこか観光するには少し物足りない時間である。どう過ごすか考えた結果「今後乗る予定も無さそうな東海地方のローカル線を乗り潰して時間を潰す」ことにした。「列車に乗って時間を潰す」という行為は、なかなか常人には理解できないと思われるが、まぁマニアというものはそういうものだということで御理解いただきたい。

ここまで乗ってきた「ムーンライトながら」を、5時45分着の大府駅で棄てる。ここからは知多半島の東側を走る、「武豊線」というローカル線が走っている。知多半島自体は名古屋近郊のベッドタウンであるが、客の多くを知多半島西側を走る名鉄電車に喰われてしまっており、武豊線を走るのは電車ではなく排気ガスをモクモク吐くディーゼル車である。


午前6時、武豊線の始発ディーゼル列車が発車。9月に乗った、同じ名古屋近郊の関西本線の沿線もそうだったが、このあたりも住宅のすぐ近くまで湿地というか沼地になっており、住むのにはあまり向いていなさそうなところが多かった。それでも、沿線には新建材作りの住宅が建ち並んでいる。


終点の武豊駅。どこに行く訳でもなく、ホームに降りて写真だけ撮って、すぐに折り返す。

折り返しの列車は朝の通勤時間帯に名古屋に到着するため、駅毎に乗客が乗ってきて混雑してくる。今日は土曜日だったが、東海道線の大府に戻る頃には立ち客も出てきた。名古屋到着、朝食の弁当を買って、空いていた下りの新快速車内で食べる。


終点の大垣からは、独立した路線名も付けられていない(「東海道本線」の一区間)枝線に逸れてみる。ホームの片隅に停まっている2両編成の列車に乗り換え、本来の東海道本線の線路を3kmほど走った後に右に分岐する単線に入り、すぐ荒尾駅到着。単線をもう少しだけ走って、貨物ヤードの片隅にあるような美濃赤坂駅に到着。その間わずか8分。余りにあっけない。


美濃赤坂の駅前は、先の武豊駅同様、やはり見るべきものはあまりない。

すぐに大垣まで戻る。途中の荒尾から、岐阜・名古屋方面に向かう乗客がわずかに乗り込んできた。終点大垣に着いて振り返ると、この列車の後を追って美濃赤坂駅に止まっていた貨物列車がやって来た。


まだ、寄り道は続く。今度も正式な路線名が与えられない枝線である。東海道本線は関ヶ原の手前にある勾配の急な区間を迂回するための路線があるが、途中駅のないこの路線は現在では大阪方面に向かう特急と貨物列車しか走なくなっている。

この迂回線に乗るため、大垣−米原間の特急券と乗車券を買って、下りの特急列車に乗り込んだ。列車はちょうど先ほど通過した美濃赤坂への分岐と同じ地点で分岐し、どんどん複線の東海道本線から離れ、家々を遠巻きにし、市街地と山肌との間を舐めるように緩い上り坂を快調に駆け上ってゆく。途中で、関ヶ原を出て坂道を名古屋方面を駆け下りるだけの特急とすれ違うのも見えた。


特急列車の快適な座席に揺られて30分ほどで米原到着。ここは東海道本線と福井・金沢方面に向かう北陸本線とが分岐する駅である。ここから東海道本線をもう1回だけ逸れて、北陸本線に入る。

大阪方面に向かう新快速とはあまりに格差が著しい、老朽化の進んだ古い急行用車両に乗り込む。これに乗って北陸本線を北に近江塩津まで行く。

米原から少し走った長浜の先で、「死電区間」を通過する。ここで電気が直流から交流に変わる。このあたりの北陸本線は、昔は東京・大阪と北陸を結ぶ大幹線だったのだが、琵琶湖西岸を走り京都と北陸とを直結する湖西線ができて以降、長大な設備を持て余すローカル線になってしまっている。駅は使われなくなった設備が多数放置されており、家々の壁は黒く、空は日本海側の重い雲が垂れ込めており、季節はまだ10月に入ったばかりなのに、非常に陰鬱である。

琵琶湖の北岸に浮かぶ竹生島を左に見ながらトンネルに入り、それを抜けると新幹線のような湖西線の高架が見えてくる。もう1つトンネルをくぐると近江塩津。駅自体は簡素な造りであり、線路の分岐のためだけに作られたような小駅である。
この列車はここで方向を変え、さっき一目見て驚いた高架線の上を走ってゆく。高架線の途中で、琵琶湖が北岸から一望できるところがあり、思わず目を見張った。

近江今津で大阪方面ゆきの新快速に乗り換え。乗り換え待ちの間も、金沢行きの特急が高速でホームを通過してゆく。
湖西線は全線が高架になっている新線であり、もう完成してから30年も建つ。しかし先ほど熟しきった北陸本線を廻ってきたので、高架の駅から見える駅前の街並みなどにまだ「青臭さ」のようなものが感じられた。

11時半に京都に到着。ここから東海道本線に戻り、もう寄り道はせずに大阪まで一気に走る。

続く

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更新日 2006.3.21
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