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Art of the treble〜sounds’Library (JAPAN)

チロル・ヴィルテナー少年合唱団Tirol Wiltener Sangerknaben

 本拠地をインスブルックの南のビルテナー教会に置くチロル・ヴィルテナー少年合唱団は、教会には中世紀の頃から聖歌隊があったそうですが、上の名前を初めて名乗ったのは1946年なそうです。団員たちはそれぞれの家庭から練習に通い、変声後はテノールやバス等のパートでも歌うことができます。日本には1982年に来日し、演奏を行いました。
 当時の私のCHOIR友だちが、団員やそのご家族と親しくさせていただいていたご縁で、私はその方々に、友人を通じていろいろなことを尋ねたりお願いしたりしたことを思い出します。合唱団での練習、演奏旅行、親類?の結婚式でバッハ・グノーのアヴェ・マリアを団員がきれいなソプラノで歌ったこと、果ては友人が焼いたケーキへの評価まで、話題への興味は尽きることなく、折々に届く友人からの手紙や添えられた写真が本当に楽しみで、その中に、団員くんが書いたサインや可愛いイラストを見つけては、嬉しくなったものでした。
  今は、合唱団として、どのような活動が行われているのかは判りませんが、当時の友人を通して、私に団員やそのご家族と交流することの喜びを、間接的に教えてくれた合唱団として、今でも私の心の中では、印象的で大切な存在です。またその頃に送っていただいた録音(カセットとレコードでした)も可愛く、なかなか上手でした。(by Hetsuji) 2000/05/21 up
 CD

2012
  JOHANN SEBASTIAN BACH: WEIHNACHTSORATORIUM (Gramola 99021)
Wiltener Sangerknaben / Academia Jacobus Stainer / Dirigent: Johannes Stecher
Recorded December 22, 2012(Parts 1-3), January 5, 2013(Parts 4-6), at Basilika Wilten, Innsbruck, Tyrol, Austria
Sopran & Alt: Wiltener Sangerknabe / Tenor: Paul Schweinester / Bass: Daniel Schmutzhard

 失礼ながらヴィルテナーは私の中でヘタウマな合唱団という位置付けになっています。下手な時は下手、上手い時は上手い。そしてこのアルバムは・・・ずばり!ヘタウマMIXです。
 とくに印象的なのはアルトソリスト君。学芸会的というか、近所の歌の上手い子に曲を教えて譜を追う程度に歌わせたという幼い感じ。息子よがんばれーと母的な気持ちで応援したくなる歌い方で、お世辞にも上手いとは言えないかな。声も全く加工されていないバリバリの地声です。少年独特のアルトは好きですが、ここまで地声なのはどうなんでしょ。対してソプラノソリスト君は少しトウがたった感じ。全部同じ子が歌っているか不明ですが、CD2の22曲目ソプラノアリア”Nur ein Wink von seinen Handen”を歌っている子はウィーン少のマックス君やセントフローリアンのアロイス君のような雰囲気を持っていて、歌い方に余裕があります。トウが立ちすぎて私の好みからは外れていますが上手いです。ソプラノ&アルトソリストの実力がこんなに対極なので、CD2の16曲目ソプラノ・アルト・テナーの三重唱ではソプラノとテナーがいい具合にまとめあげているところへアルトが現れ、すべてを塗りつぶしてアルト色で染めてくれます。ほんとにねぇヘタウマでどうしてくれようって感じ。のめり込むことも離れることもできない微妙な合唱団であります。
 他にも気になるところがあって、CD2の6曲目テナーアリア”Ich will nur dir zu Ehren leben”ですが、超早口で、「おいおい、どこ行っちゃうのさ〜〜」と失笑してたら、8曲目の合唱”Ehre sei dir, Gott, gesungen”も超超早かったです。他にも超早の曲があるかもしれませんが、この2曲はとくに気になりました。テルツの演奏もたいがいアップテンポですけど、ここまではないんじゃないかな。CD2枚に収めるから巻いて巻いて〜みたいな?
 アルトソリスト以外はソリストも合唱も悪くなく(すごく良いとは言えないけど)、全体的には若さみなぎるクリスマスオラトリオって感じです。芸術性を求める方には不向きですが、少年合唱ファンのためのクリスマスオラトリオと捉えれば楽しめます。それにしてもアルトソリストにもう少し良い人材がいればねぇ・・・ソリスト含め少年合唱だけで構成されるクリスマスオラトリオのアルバムが少ないだけに至極残念。ちなみにテナーとバスのソリストさんはヴィルテナーの団員だったそうです。
 さぁそこの貴方、いったいどんな演奏なんだ?!って気になりません?まぁ聞いてみてくださいな。このヘタウマさがクセになるかもしれませんよ? (by Wing) 2014/11/01 SAT UP
CD

2002 
  Joseph Haydn : Mariazeller Messe (private release?) Rec. 06-2002 / Dir. Johannes Stecher

Mariazeller Messe - Missa Cellensis in C, Hob. XXII:8, 1782, fur vierstimmigen gemischten Chor, Solistenquartett und Orchester

1.Kyrie.....4:49
2.Gloria.....8:42
3.Credo.....8:36
4.Sanctus.....2:35
5.Benedictus.....4:56
6.Agnus dei.....5:32
7.(Bonustrack)G.F.Handel:Halleluja aus dem Oratorium >Der Messias<.....3:41

<soloists>
Philippe Spiegel(Sopran), Wolfgang Resch(Alt), Marcus Ebner(Tenor), Karl Penz(Bass)

 このハイドンのミサ曲を聴くのはこれが初めてのような気がしますが、明るく華やかで胸のすくような気持ち良さを感じる曲です。お酒で言えば、スッキリとした飲み口でキレがあるという感じの曲?変にクセがなくて聴きやすいです。ソプラノソロを歌うPhilippe君はツンと突き抜ける明るい音色を持っていてこのミサ曲にぴったり。しかも私好み。アルトのWolfgang君はソプラノのPhillippe君ほど強烈な印象ではありませんがマイルドな良い声をしています。合唱は多少バラついたり、音についていききれてないところもありますが基本的には訓練されておりまとまっています。自然な発声で素直な明るい感じも好印象。
 このミサ曲は弦楽器の鮮やかな伴奏をともなって湧き立つような合唱が展開されるシーンが多く、中でもGloriaではKyrieを受け継ぐような形で派手な合唱で入ってきます。そして途中で場面が転換してソプラノソロが情緒溢れる旋律を歌い上げ始める。これナマで聴いていたら鳥肌モノの美しさだと思います。そして最後は音がクリクリと動き回る楽しい旋律の合唱になりますが、ヴィルテナーの合唱はちょ〜っとついていききれてない?ところもご愛嬌。私はこのGloriaが大好きです。Benedictusはモーツァルトやハイドンのミサではお約束的なソロを含んだ構成。ここでは各パートのソロが絡み合う形でなかなか刺激的。ボーナストラックのヘンデルのハレルヤコーラスは、ソプラノの美しさに比してアルトの地声バリバリ感が目立ち、元気のちょっと飛び出たお茶目な演奏が微笑ましいです。
 "Konzert-Mitschnitt"とあるのでこの録音はどうやらヴィルテナーの本拠地ヴィルテン教会でのコンサート録音のよう。ライブの出来としてはなかなかのものではないでしょうか。教会の音響も心地よいです。     (by Wing) 2006/02/23(Thursday)up 
 CD

1998
  LACHEN UND WEINEN (private release? WSK-07) Rec. 1998 / Dir. Johannes Stecher

1. Isaac:Innsbruck, ich muss dich lassen.....3:00
2. Hassler:Feinslieb, du hast mich g'fangen.....1:54
3. Widmann:Der Floh.....2:51
4. Praetorius:Nu,nu schall und sieh zu.....2:06
5. Gerhold:O Nacht.....2:45
6. Bresgen:Abends hab' ich Wein getrunken.....1:45
7. Brahms:Schlaraffenland.....1:55
8. Brahms:Marienwurmchen.....2:11
9. Brahms:Schwesterlein.....2:43
10.Brahms:Wiegenlied.....2:53
11.Schumann:Erstes Grun.....1:52
12.Brahms:Sandmannchen.....5:58
13.Humperdinck:Der kleine Sandmann bin ich.....2:34
14.Schumann:Allnachtlich im Traume.....1:43
15.Schubert:Heidenroslein.....1:48
16.Schubert:Lachen und Weinen.....1:49
17.Gerhold:Seht die kleine Maritschu.....2:37
18.Mozart:O du eselhafter Peierl.....3:40
19.Volkslied:Die Goas.....2:57
20.Mozart:G'rechtelt's enk.....1:37
21.Volkslied:C-a-f-f-e-e, trink nicht so viel Caffee.....1:21
22.Volkslied:Der Pfarrer hat g'sagt.....1:24
23.Mozart:Bona nox.....1:27
24.Volkslied:Wenn oaner tannige Hos'n hat.....2:17
25.Volkslied:Tirol isch lei oans.....1:34
26.Volkslied:Zottelmarsch.....2:03

 ヴィルテナーの本拠地のあるインスブルックを冠した曲「インスブルックよ、さようなら」から入ります・・・が、あんまり美しいハーモニーとは言えないんですよねぇ。なんかこうバラバラっとして濁っているというのか。発声も地声で歌っているためとくに高音はきつそう。合唱が続く最初の方のプログラムを聴きつつ、こんなに下手だったかしら?とドキドキ。このまま最後までこの調子なのかな?と不安を覚え始めた7曲目あたり、今度はソロシリーズが始まります。しかしこのソロシリーズ、まるでディィズニー映画「青きドナウ」でのオーディションシーンのような雰囲気。訓練される前の原石くん達といった感じです。地声の中音域で歌い通す子あり、高音を地声で出そうとして苦しそうな子あり。かと思うと13曲目の「Der kleine Sandmann bin ich」を歌う子などはパリ木のソリストに似た感じでスーッと綺麗な高音を響かせたりします。なので次はどんな子が歌うの?とドキドキしつつもワクワク。そして19曲目あたりからは民謡を中心とした輪唱で歌う楽しい歌シリーズです。21曲目は「カエルのうたがきこえてくるよ〜」みたいな輪唱で歌われて思わずニヤリ。モーツァルトの「Bona nox」も地声ビンビンで愉し気に歌いあげていて、こういう曲では合唱のバラバラさもさほど気になりません・・・ってもともと輪唱ですし。24曲目はご機嫌な歌で「森のくまさん」といった感じ。25曲目はこのアルバムで私がいっちばん好きな曲です。チロルの山々への郷愁を誘う牧歌的なメロディーを3重唱で歌いあげ、胸がキュッと切なくなります。できればこういう歌をもっといっぱい聴きたかったです。
 以上お世辞にも上手いとは言えませんが、プログラムがバラエティに富んでいるのも手伝い退屈はしませんでした。     (by Wing) 2006/03/09(Thursday)up 
 CT   Musik aus dem Stift Wilten/HODIE CHRISTUS NATUS EST(Berton records 109271)
Munchner Knabenchor,Wiltener Sangerknaben,Munchener Barocksolisten

SEITE A:
Hoide Christus natus est,
Sonata XIII
Angelus ad pastores ait,
Canzone X,
Antiphon:
Cum ortus fuerit Magnificat a 12, Antiphon:Cum ortus fuerit
SEITE B:
Puer natus in Bethelehem,
Canzona,
Magnificat 5 Toni Alio Modo,
Joseph, lieber Joseph mein, 
In dulci Jubilo

 クリスマスに歌われる16世紀ドイツの宗教音楽、キャロル等が収録されている。録音年の説明はないがかなり古そう。演奏者としては、ジャケットの裏面にMunchner Knabenchor, Wiltener Sangerknaben, Munchener Barocksolisten の名があった。録音を聴くと、合同演奏ではなく、恐らく声質的に、SEITE Aを歌っているのがMunchner Knabenchorではないだろうか。聖堂によく響く繊細で可憐なハーモニーを放っている。また、SEITE A の「Antiphon:Cum ortus fuerit」の男性ソロはMunchener Barocksolisten の起用だろうか。SEITE B は、多少粘性のある、どちらかというと可愛い、滑らかな声で、恐らくWiltener Sangerknabenであると思う。(あまり耳が良くないので、間違っていたらごめんなさい。)どちらの団体も、ドイツの宗教音楽らしく、清潔かつ実直で,整然とした演奏をしている。「In dulci Jubilo」は、アレンジの凝りを全く感じさせないさらりとした演奏で、いかにもドイツ系らしい。特定の合唱団ファンというよりも、バロック時代のドイツ系音楽を好む人にお薦めの一品だ。(by Rise) 2000/05/21 up 
 CT   Mufit aus dem Stift WiltenDie Wiltener Sangerknaben (Berton MC 9175)

Seite 1:
Heinrich Schutz:
Also hat Gott die Welt geliebt(aus "Geistliche Chormusik" op.11),
Psalm 127(aus dem Becker-Psalter)
Psalm 39(aus dem Becker-Psalter)
Psalm 98(aus dem Becker-Psalter)
Psalm 23(aus dem Becker-Psalter)
Psalm 18(aus dem Becker-Psalter)
Psalm 150(aus dem Becker-Psalter)
Chr.Erbach:Canzona quarti toni(gespielt auf der alten Chororgel der Wiltener Stiftskriche)
Seite 2:
W.A.Mozart:
Missa brevis in d,KV 65
J.F.N.Seger:Praludium und Fuge in D(gespielt auf der grosen Orgel der Wiltener Stiftskriche)

 民族衣装を身にまとっての童謡やフォークソング…といった、どちらかというと愛らしいコンサート型合唱団のイメージが強いビルテナーだが、宗教曲においても意欲的でなかなか聴き応えのある優れた演奏をしてくれる。宗教曲の出来で、その団体の実力が判るとよく言われが、そう考えるとビルテナーもなかなかの実力派であることが分る。Seite 1は、Schutzの賛美歌を中心に収録されている。ドイツ系の賛美歌は、どことなくマイナー調で神秘的な美しさを秘めているように感じるが、ここではビルテナーの明るさによって、すこし華やいだ雰囲気になっている。ただ単調な旋律は、多少彼らの元気さをもてあましてしまう感もある。ErbachのCanzona quarti toniは、オルガンの演奏である。 Seite 2のMozart、ミサ・ブレヴィスは、ビルテナーの快活さが前面に出て、より素晴らしい。ソロは少々可愛すぎる声も出すが、ビルテナーらしい量感があって安心して聴いていられる。滑らかでふっくらとした声、堂々とした率直な歌いっぷり、多少荒削りではあるが惹きつけられる不思議な魅力…。他団体によるこの作品のレベルの高い演奏は、いくつも録音されているだろうが、ここでは、これらのビルテナーの個性を発揮した、ビルテナーらしさが映えた作品として楽しめる。SegerのPraludium und Fuge in Dも、オルガンの単独演奏である。(by Rise) 2000/08/04 up 
 LP   MUSIK AUF DEM STIFT WILTEN-DIE WILTENER SANGERKNABENN (Berton LP 9174)

Leitung:Armin Kolbl

Seite A Heinrich Schutz(1585-1672)
1.Also hat Gott die Welt geliebt(aus "Geistliche Chormusik"op.11)
2.Psalm 127(aus dem Becker-Psalter)
3.Psalm 39(aus dem Becker-Psalter)
4.Psalm 98(aus dem Becker-Psalter)
5.Psalm 23(aus dem Becker-Psalter)
6.Psalm 18(aus dem Becker-Psalter)
7.Psalm 150(aus dem Becker-Psalter)
8.Chr.Erbach:Canzona quarti toni(gespielt auf der alten Chororgel der Wiltener Stiftskriche)

Seite B
W.A.Mozart:Missa brevis in d,KV 65
1.Kyrie
2.Gloria
3.Credo
4.Sanctus
5.Benedictus
6.Agnus Dei

J.F.N.Seger
7.Praludium und Fuge in D(gespielt auf der grosen Orgel der Wiltener Stiftskriche)

Solisten:
Bernhard Landauer-sopran
Markus Forster-Alt
Otto Rastbichler-Tenor
Arnulf Perkounigg-Bass


 来日した団員くんがソリストを務めたので友人経由で入手したLP。この頃はなかなか輸入盤を入手する方法がなかったので届いたのが嬉しくて。
 明るいシュッツ、なんだか良いじゃない!聴きやすいし、聴いていて疲れないじゃない、音だって透明感があってきれいだ。と心の中で思った。今、聴きなおしてもそう思う。シュッツで幸せにしてくれるCHOIRが他に何処にある?・・・しか〜し、オルガンでいっぺんに不幸に落ちた。ごめん、あんまり、オルガンの音は好きじゃないのだ。演奏者が悪いワケじゃないし作曲者が悪いわけでもない。好みの問題で。
 素直に明るく伸びるビルテナーの声はモーツァルトになると、より可愛い。習った通りに歌っているな〜的なソロも好感度大。正直言って、これだけきれいな声で伸び伸び歌えるなら、シュッツやモーツァルト等大きいCHOIRなら何処でも歌いそうな作曲家ではなくて、普通にチロル地方の民謡を歌って欲しかった。カバーも普段着で。周辺の風景を背景に。(普通の風景がきれいなんだから)
 さて演奏に戻ると、出している声があまりに自然なので、フォーマルというよりもカジュアルなモーツァルトではあるが、この頃のベルニくんの声はなかなか魅力的だと思う。古楽的味わい深いソプラノで、柔らかだが、崩れてしまわない少年の声特有の芯を感じることが出来る。彼が親類の結婚式で歌ったバッハ・グノーのアヴェマリアを本当に聴きたかったな〜。
 蛇足だが彼は10年ほど前に再来日して日本国内数カ所でテノールコンサートを開いている。私の地元でも開催されたが、そのとき私は仕事の関係で転居していて、行けなかった。仕事なんかサボってでも行くべきだった、諸々のことについて、直接、お礼を言うべきだったと、未だに後悔している。(by Hetsuji) 2007/06/06 up 
 CT   ADVENT UND WEIHNACHT MIT DEN WILTENER SANGERKNABEN(TYROLIS 31980)

Seite 1
Wir sagen euch an,
Morgenstern der finsteren Nacht,
Uns kommt ein Schiff,
Maria durch ein Dornwald ging,
Maria,sei gegruset,
Bald wird grose Freud verkundet,
Rosonet in Laudibus,
Ihr Hirten eilt,
Der Heiland ist geboren

Seite 2
Frohliche Weihanacht,
Hirten auf den Feldern,
Ave Maria,du Himmelskonigin,
Auf glaubige Seelen,
Geborn uns ein kindelein,
Kommt,wir geh'n nach Bethelehem,
Kindelein zart,
Gott gruas enk,
Leutl, Weihnachtsjodler,
Stille Nacht

チロル・ビルテナー少年合唱団によるクリスマスキャロル集。ビルテナーの歌声は、同じドイツ語でも、ドイツの各団体のような潔白な雰囲気のある清らかさとは全く異なる。滑らかで、みずみずしく、おっとりとして、まさしくオーストリアなのである。そのみずみずしさは、ジューシーといっても言いくらいだ。また独特の素朴さ、明るさも魅力的である。ゴシック様式の聖堂から流れてくるような荘厳さではなく、小さな村の教会でのミサを思わせる、ほのぼのとした色合い、それでいて敬謙さもこの上ないものがある。この独特の味わいは、Seite 2の「Weihnachtsjodler」など、素朴な風土が生み出したキャロルの中に特に生きている。明るく柔らかい音色は、キャロルをより優しく、清らかに聴かせてくれる感じだ。特に気に入ったのは、これまたSeite 2に入っている「Geborn uns ein kindelein」という曲だ。ソロとコーラスのバランスが良く、ソロは、少年声、男声とも温かく、丸い。男声のいかにも素朴な雰囲気も良い。幼い頃から歌っていて、大人になっても悪びれることなく、その楽しさをずっと持ち続けている感じが伝わってくる。有名なキャロルも多いが、初めて耳にする、しかもとても美しい曲が沢山録音されている。いつもは何となく真面目で固い雰囲気のあるドイツ系キャロルが、彼らの歌声によりぱーっと花を付けたような感じである。皆に愛される音色ではないだろうか。現在の活躍を知りたいものである。(by Rise) 2000/06/04 up 
 CD   Advent und Weihnacht mit den Wiltener Saengerknaben(TYROSTAR CD 777 104)

1.Wir sagen euch an       
2.Morgenstern der finsteren Nacht       
3.Uns kommt ein Schiff       
4.Maria durch ein Dornwald ging       
5.Maria,sei gegruset       
6.Bald wird grose Freud verkundet       
7.Rosonet in Laudibus       
8.Ihr Hirten eilt       
9.Der Heiland ist geboren       
10.Frohliche Weihanacht       
11.Hirten auf den Feldern       
12.Ave Maria,du Himmelskonigin       
13.Auf glaubige Seelen       
14.Geborn uns ein kindelein       
15.Kommt,wir geh'n nach Bethelehem       
16.Kindelein zart       
17.Gott gruas enk, Leutl       
18.Weihnachtsjodler       
19.Stille Nacht

 ADVENT UND WEIHNACHT MIT DEN WILTENER SANGERKNABEN(31980)のCD復刻(たぶん)盤。
  独特のヴィルテナー節は、個々人の声の特徴を残したまま、表面を磨いて、金の鈴を振ったような、丸くふくらんできらきらつやつやと輝く歌声。十分に高い声もが、素朴で温かくて、彼らの故郷チロルの風景写真のように美しい。外国に出かけてまでのコンサート活動があるかどうかはわからないが、合唱団の練習はあるようだから、この地域に根ざしたこの可憐な合唱が聴きたかったら、たぶん、ヴィルテナー教会へ出かけるのが良いのだろう。当時彼らのカセットの歌声が好きで聴いていて、今、20年ぶりくらいに彼らの歌声を又聴いて、とても懐かしかった。録音年月日は無い。カバー写真に来日した団員くんの来日時よりも幼い感じの顔も見えるような気がするが、当時、友だちと仲の良かったソリスト団員くんは、これらのカセットを聴いて良いなと思って合唱団に入ったと言っていたそうだから、この録音での、金の鈴ソリスト君たちのソロと合唱は、もしかしたら80年以前の録音かもしれない。自然派きらきらBSが潤いを与えてくれる1枚である。(by Hetsuji) 2002/09/01 up
CT    FESTLICH UND FROH MIT DEN WILTENER SANGERRKNABEN (TYROLIS 14977)

Seite 1:
Hirten um mitternacht,
Libeszauber,
Laetamini in Domino,
Heureigen,
Hans und Lieserl,
Alles still,
Kommt ihr Hirten Kommt

Seite 2:
Alt und jung,
Der du von dem Himmel bist,
In an kloan Hausele,
Znachst han i a Roas gmacht,
Die Lerche,
Warst du dort,
Uber allen Gipfeln ist ruh

ドイツ語は全く詳しくないので、はっきりとは分からないのだが,聴いている限りでは、宗教的意味合いを含む民謡のようなものを収録したものではないだろうか(特に前半)。純粋な民謡も含むようだが、幾つかの曲は素朴な村祭りのような場面で歌われる感じの雰囲気がある。このカセットの良いところは、他の録音に比べ,アルトが良く聞こえるところだ。Seite 2の「Znachst han i a Roas gmacht」や「Warst du dort」のアルトは,自然で力強く,かつ豊かで,コーラスに奥行きや深みをもたらしている。特に「Warst du dort」は、アカペラなので、ゴスペルのような荘厳さも醸し出している。合唱としての聴き応えという意味では、このカセットが随一のような気がする。(by Rise) 2000/07/09 
CT    Tiroler Volkslieder/Wiltener Sangerknaben(Lesborne STEREO 3348)

Seite 1
DER PFARRER HAT G'SAGT
DAS SCHONSTE AUF DER WELT
DER ALTAUSSEER POSTILLION
DER WEG ZU MEIN DIRINDL
DO GOAS
DIE NACHTIGALL
IM TIROLERLANDL IS DAS ZILLERTAL
WIA I BIN AUF D'ALMA GANGA
Seite 2:
DER MULLER
MADL HEIRAT'MI
DER JAGER GING WOHL IN DEN WALD
VON LUZERN UF WAGGIS ZUE
MA COME BALLI BELLA BIMBA
DIE KLEINE MARITSCHU
ANUSCHKA
WENN DIE KLEINEN MADCHEN

ビルテナーの本拠地,チロル地方の民謡集である。一般的なドイツやオーストリアの民謡とはまた趣が異なり、山岳地方の素朴でひなびた味わいや、朗らかな雰囲気が漂い、チロル独自の文化が生き生きと伝わってくる感じだ。どの曲も小編成の楽器を伴って,もしくはアカペラで歌われている。ところどころヨーデルが入っていたり、韻を踏んだ同じ言葉を繰り返して歌ったり、いろんな擬音が入っていたり,いかにも楽しく彼らの音楽を堪能出来る。歌いながら踊ることが出来そうな3拍子の曲が多く、自然に体が動いてしまう感じだ。「DIE NACHTIGALL」は、ヨーデル部分がナイチンゲールの鳴き声になっていてとても愛くるしい。ナイチンゲールはもちろんきれいなソプラノソロが担当している。「VON LUZERN UF WAGGIS ZUE」や、「ANUSCHKA」のメロディーは、日本でも良く知られている。小学校の音楽の教科書や愛唱歌集などにもたしか載っている。このカセットを聴いていると、屋内ではなく、眼下にきれいな風景が広がる山の上での演奏をぜひ聴いてみたくなる。そして、自分自身もこんな風に自由に歌えたらと思ってしまう。(by Rise) 2000/06/30 
 LP   WILTENER SANGERKNABEN (LESBORNE L 2017 STEREO)
Leitung:Norbert Gerhold

Seite A ALPENLANDISCHE VOLKSWEISEN

1.DER PFARRER HAT G'SAGT
2.DAS SCHONSTE AUF DER WELT
3.DER ALTAUSSEER POSTILLION
4.DER WEG ZU MEIN DIRINDL
5.DO GOAS
6.DIE NACHTIGALL
7.IM TIROLERLANDL IS DAS ZILLERTAL
8.WIA I BIN AUF D'ALMA GANGA

Seite B VOLKSWEISEN AUS ANDEREN LANDERN

1.DER MULLER
2.MADL HEIRAT'MI
3.DER JAGER GING WOHL IN DEN WALD
4.VON LUZERN UF WAGGIS ZUE
5.MA COME BALLI BELLA BIMBA
6.DIE KLEINE MARITSCHU
7.ANUSCHKA
8.WENN DIE KLEINEN MADCHEN

Solisten:Georg F., Georg W., Manfred, Arnulf

1946年のビルテナー少年合唱団創設時から音楽監督・指揮者を務めてきたN.ゲルトホルト教授。1976年には自国から文化勲章を受章しているそうです。(82年は彼が合唱団を引率してきました。生を聴きたかったなあ。その後指揮者が変わりますから生を聴いた方は幸運だったかも)この盤では、地方色を出しながらも、どこかヨーロッパ系標準CHOIRの趣を残し、しかも、合唱に様々な声のソロをふんだんに取り入れ、飽きさせない構成になっています。レコードはCDで聴くよりも音が柔らかく、とにかく、ソプラノソリストくんの声を聴くだけでも、幸せにニシャっと溶けそうになる1枚です。(WSKだけがソリストの宝庫ではないのです。)芸術には昇華しない良さ、彼らと一緒に隣で歌い踊れるような親しみを感じさせる合唱団だと思います。(むろん一緒に云々は、親しみを感じる故の錯覚であって、実際には素人には真似できない上手さですが。)(by Hetsuji) 2007/06/06 up 
CT    WEIHNACHTEN mit den Wiltener Sangerknaben (Lesborne MCL STEREO 3348)

Seite 1
O TANNENBAUM
HORT DOCH DIE FROHE BOTSCHAFT
IHR KINDERLEIN KOMMET
SSCHLAF MEIN KLEINES JESYLEIN
WACHETAUF IHR HIRTEN
DORT OBEN AM MERGE
Seite 2
O DU FROHLICHE
ENGEL SINGEN JEBELLIEDER
ES HAT SICH HALT EROFFENET
DIE ENGEL VERKUBDEN
WEIHNACHTSSTERN
STILLE NACHT,HAILIGE NACHT

「ADVENT UND WEIHNACHT」と同様、クリスマスソングや聖歌の入ったカセットであるが、こちらの方が日本でポピュラーな曲が多い感じだ。どの曲もソロと合唱、少年声と男声のバランスが良く、飽きずに楽しめる。頭声というより、鼻から声を抜いて発声している感じの、帯のように滑らかで明るい音色が耳に心地よい。これで高い音をどうやって出すのかなと思うのだが、高音域に達するときれいに喉を返して歌う。ヨーデル的発声法とでもいうのだろうか。この歌い方が何ともいえないムードを醸し出していて良い。「O TANNENBAUM」などは、同じオーストリアのウィーン少年合唱団が歌うと、モミの木を称える敬謙な歌となるが、ビルテナーの場合、モミの木を友達のように思っているかの如く温かく身近に聞える。「ENGEL SINGEN JEBELLIEDER」は、英語やフランス語で、また 「DIE ENGEL VERKUBDEN」はフランス語で良く歌われるが,ドイツ語版は珍しい気がした。「WEIHNACHTSSTERN」は、日本では「遠き山に日は落ちて」というタイトルで知られているが、ここではアカペラ合唱でしっとりと感動的に歌われる。素朴な村人でも歌えるクリスマスの聖歌をという意図で作曲された「STILLE NACHT,HAILIGE NACHT」は、おっとりとして優しいビルテナーの歌声にぴったりである。(by Rise) 2000/06/25 
EP    DIE WILTENER SANGERKNABEN (INNSBRUCK) SINGEN VOLKSLIEDER AUS TIROL (TEREFUNKEN UX 4979)

Leitung:Norbert Gerhold

Seite 1
1.Das Schonste aus der Welt ist mein Tirolerland
2.Juchhe, Tirolerbua!
3.Frisch auf, Berggefahrten!

Seite 2
1.Aba Haidschi bumbaidschi
2.Zillertal, du bist mei Freud
3.Der Weg zu mei'm Dirndl

たぶん、これは、合唱団が創設されてから10年以内の団としては若い時代の録音だと思います。チロル地方を歌った曲だと思いますが、合唱は、変声前の少年が中心(むろん男声もいますが)の合唱団としては割合大人びた声質で、ドイツ系の教会CHOIRが余裕を持って柔らかい声でアンコール曲を歌っているような雰囲気です。一人ソフトなソプラノソリスト君が居るのが合唱の背景でアクセントになっています。この子はAba Haidschi bumbaidschiでもソロを歌いますが本当に曲想に似合ったやさしさを声に漂わせています。ツィター伴奏で歌われるZillertal, du bist mei Freudはいかにもオーストリアの雰囲気。ここで聞こえてくる声も又落ち着いていてGood!! 合唱のトーンの渋さがたまらない初期の演奏です。(by Hetsuji) 2007/06/06 up 
EP    GRUSS AUS TIROL 1 (amadeo AVRS EP 16013y)

Leitung:Norbert Gerhold

Seite 1
1.AUF TIROLERISCHEN ALMEN
2.DAS BOZNER BERGSTEIGERLIED

Seite 2
1.DO GOAS
2.O, DU SCHEANI, SUASSI NACHTIGALL
3.WENN DER GUGGU SCHREIT

イラストが愛らしいこちらも年代不明だがたぶん初期の頃(近く)の1枚。ですが、ソプラノ系が幼い。比して、変声後の声が怖ろしく年寄りっぽい。その印象のバランスが綱渡り状態です。ヘタだなあ。DAS BOZNER BERGSTEIGERLIEDなんてWSKが朗々と歌ってますモンね。どうしても比較してしまう。変声後は普通なんですが、ソプラノくんたちが声は出ないしばらけるし濁るし・・・中に良さそうな声もあるんですが、全体としてはバラバラで合唱以前かも。「濁る」のがなんといっても汚いですね。
ところがB面になると声が違うんですよね。演奏している団員が違う。録音レベルも違う。小雨と小晴れくらいの違いがあります。録音の仕方がイマイチだったのかもしれません。(by Hetsuji) 2007/06/06 up 
EP   Wiltener Sangerknaben II (amadeo AVRS EP 15594)

Leitung:Norbert Gerhold

Seite A
1.'s Herzal
2.Auf und auf waschlnoss
3.Wie i bin auf d'Alma gonga

Seite B
1.Hinta mein Vodan sein Stodl
2.'s Hoamatl
3.Der Kloaznbeck Ander

アルバムカバーはイマイチですが、収録されている音はイラスト盤よりもクリアです。合唱も洗練されました。それにしてもビルテナーには芸達者くんが多い。今まで録音を聴いての感想です。なかなかの演技者たちばかりです。その芸達者君のセリフなんだか歌なんだかにソプラノ君たちの歌と弾むリズム担当の男声くんたちの組み合わせが楽しいAuf und auf waschlnossはなかなかです。きれいに声が出ているときとそうではないときのソプラノくんたちの落差が大きいのですが、レコードやカセットを聴き続けて思ったのは、CD以前のビルテナーは、「なかなかやるなあ」ということです。鋭さを見せないケルンザーの趣のEPでもありました。(by Hetsuji) 2007/06/06 up 

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(お返事は出来ないと思います)