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Art of the treble〜sounds’Library (JAPAN)

The Choir of St.Michael's College,TenburyThe Choir of St.Michael's College,Tenbury





 LP

1984
TORCHES〜Favourite Christmas Carols sung by The Choir of St.Michael's College,Tenbury(EMI/CFP 41 4473 1)Recorded at St.Michael's College,Tenbury Wells,Worcestershire in March 1984/Organ:Roy Massey/Director:Roger Judd

SIDE ONE
1.Ding dong!Merrily on high       
2.The Stork Carol       
3.Lully,lulla,thou little tiny child(Coventry Carol)        
4.The cherry tree carol       
5.A maiden most gentle       
6.Hereford Carol       
7.I sing of a maiden       
8.The little road to Bethlehem       
9.The Lamb       
10.A child is born in Bethlehem

SIDE TWO
1.Joseph and the angel       
2.How far is it to Bethlehem?        
3.Jesus Christ the apple tree       
4.Lullay my liking       5.Torches       
6.O Jesus so meek,O Jesus so kind       
7.The Lord at first did Adam make       
8.O little town of Bethlehem       
9.The lute book lullaby       
10.Sir Christmas

Solo trebles:Michael Ricketts(1-3,1-8,2-4),Tobias Edwards(2-4),James Theodosius(2-4)

OUSELEY(19世紀)が創設したというこのChoir Schoolは、何らかの理由で1985年をもって閉鎖してしまった。卒業生たちによるウェブサイトを見ると資金集めのために貴重な蔵書を売ったというようなコメントがあることから、財政難による閉鎖だったのだろうか。今では男女共学のインターナショナル高校がその名前と敷地を引き継いでいる。閉鎖時の指揮者ロジャー・ジャッド氏は現在ウィンザーのアシスタント・オルガニスト。上記ウェブサイトを見ると、田園風景の中に佇むレンガ作りの歴史のありそうな校舎やチャペルの写真が載っていて、過ぎ去ってしまった懐かしい時代に思わずホロリと来る。
 このクリスマス・アルバムは合唱団が解散する前年に録音されたものだが、なくなってしまったのがまったくもって口惜しい、歯噛みをしたくなるほどの美しい演奏である。ニアリー氏時代のウィンチェスターを彷彿とさせる端整さと優美さで、高音が伸びていく時の柔らかな透明感などは涙もの。そして細部まで丁寧。だいたい「I Sing of a Maiden」や「Jesus Christ the apple tree」のような抑揚のない静かな曲の演奏にさえしみじみと聴き入ってしまう時は、総じてアルバム全体が上質な仕上がりであることが多いのだが、このアルバムもそのひとつである。一方で「A child is born in Bethlehem」や「Torches」のような少し激しい曲も聴かせどころ十分。張り上げた高音の美しさがまた見事。唯一「Hereford Carol」がもたついた印象があるが、これは演奏ではなくアレンジの問題かとも思う。
 ソリストたちもそれぞれに実力者。Michael Richettsの独唱による「The Little Road to Bethlehem」は、緊張しているのか?ちょっと震えているのだが、それがまた臨場感があって良かったりする。ほかの二人は優しげな透明系。好きなのはソロで始まる「How far is it to Bethlehem」で、ソリスト名が記載されていないのだが、TobiasかJamesのどちらかだと思う。
 今では幻となってしまった合唱団だが、その輝ける日々の記録がこうして残っているのは幸いである。  (by Emu) 2003/11/02 up
 LP

1979
THE CHOIR OF ST MICHAEL’S COLLEGE,TENBURY(Abbey/APR 303)P.1979 /The Choir of St.Michael's College,Tenbury/Master of Music:Roger Judd/Organist:Andrew Millington

SIDE ONE
1.It came even to pass(Ouseley)       
2.Factum est silentium(Deering)       
3.From Virgin’s womb this day did spring(Byrd)
4.God so loved the world(Stainer)       
5.Laudate pueri Dominum(Mendelssohn)

SIDE TWO
1.Antiphon(Britten)       
2.Carillon de Westminster(Vierne)       
3.Laudibus in sanctis(Byrd)       
4.The Secret Sins(Gibbons)       
5.When all thy mercies O my God(Ouseley)

Treble Solos:Peter Waugh(1-1,1-5,2-1), Toby Alleyne(1-5,2-1), Mark Reeves(1-5), Bruce Cameron(2-1)

セント・マイケルズ・カレッジゆかりの曲を集めたアルバム。直接関わりがあったり、カレッジの創設者Ouseleyさんの個人的な知り合いだったり、図書館から再「発見」された曲であったりと色々。一見イギリス教会音楽プラスアルファだが、耳障りの良い旋律の曲を巧みに選曲しており、しかも合唱団が上手いものだからなおさら心地よい。フレーズのつながりや高音を、断ち切ることなく滑らかに流麗に歌っていて秀逸。期待を裏切らない。
ジャケット裏の解説に、Ouseleyさんがカレッジを創設した経緯が書かれている。それによると1856年当時教会などでは音楽のレベルが低かったので(それがイギリス全土なのか極地的なものなのかは不明)、当時オックスフォードで音楽教授を務めていた同氏が、青少年がハイレベルな音楽の勉強に専念できる環境を作ろうとウスターシャーの片田舎にカレッジ創設を思い立ったそうである。カレッジのオープニングではチャペルロイヤルの少年聖歌隊員、アーサー・サリバン(!)がソロを歌い、翌年は当時17歳だったJohn Stainerが次席オルガニストに抜擢されている。Stainerは後にモードリン・カレッジ、セント・ポールと籍を移すが、セント・マイケルズで起用されたのが音楽人生のターニング・ポイントになったと語っているそうである。そのStainer氏を記念して、代表作「Crucifiction」の一曲God so loved the worldが本LPに収められている。
A面5曲目のLaudate Pueriはボーイソプラノの合唱とソロのみで歌われる曲でメンデルスゾーンの曲の中でもお気に入りの一つだが、何でメンデルスゾーンがあるのだろうと思ったら、Ouseleyが6歳の時にメンデルスゾーンが彼の家を訪れ(お坊ちゃんですから)、ピアノでデュエットしたから、とのことである。少々こじつけではあるが、イギリス系の合唱団がこれを取り上げるのは珍しいし、各ソリストたちの伸びやかで美しい声が堪能できるので、ここは細かいことは気にせず鑑賞に徹することにする。だいたいソロを歌いこなせるB-Sソリストがちゃんと3人揃っていることだけだってすごいのである。
本アルバムの珍しいandお気に入りどころNo.1は1曲目のOuseleyさん自身の曲「It came even to pass」。高らかに歌い上げるAnthemで華やかな合唱が終始曲を彩るが、合間に入るソロ四重奏が一風の清涼感を与えている。曲の長さといい構成といい、Wesleyの曲の雰囲気と似ている。ボーイソプラノPeter Waughの声は派手なものではないが、透明感に満ちており真摯な歌い方をする典型的なイギリス系。B-S好き心をくすぐられる。ほかに2曲も彼の声がたっぷり聞けるのが嬉しい。(by Emu) 2005/02/18(Friday)up 
 LP  SING JOYFULLY(ARGO/RG 423 mono)1965?/Choir of St.Michael's College,Tenbury/directed by Lucian Nethsingha

SIDE ONE
1.If you love me(Tallis)
2.Magnificat(Thomas Morley)
3.Laudate nomen Domini(Tye)
4.Sacerdotes Domini(Byrd)
5.Rejoice in the Lord alway
6.Nunc Dimittis(Gibbons)
7.Agnus Dei(Thomas Morley)
8.Sing Joyfully(Byrd)

SIDE TWO
1.From the rising of the sun(Ouseley)
2.Magnificat(Murrill)
3.Nunc Dimittis(Murrill)
4.Beati quorum via(Stanford)
5.My soul,there is a country(Parry)
6.O taste and see(Vaughn Williams)
7.Antiphon(Britten)

清く正しく美しい60年代イギリス系の音がする。微妙に地味なジャケット、年代別に並んだ演目も地味で、外観を見た限りではあまりドキドキ感はないのだが、一つ針を落とせば、それはうっとりするような世界。緩急、強弱が柔らかくついて、その中で凛として気品のあるトレブルが艶を放つ。特にA面のルネッサンス・ポリフォニーが、流麗かつメリハリがついていてすばらしい。同時代のメジャーな合唱団と比べるならば、ウィルコックス指揮キングスの幽玄さよりは、はっきりとした明確なモードリンと通じるものがある。A面の2曲目、モーレイのマニフィカトなどで名無しのトレブルソロが登場するが、これも凛として美しい。財政難で閉鎖してしまった今は亡きChoir Schoolだが、往時は本当にすばらしく、つくづくなくなってしまったのが惜しまれる。        (by Emu) 2006/08/11(Friday)up

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