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Art of the treble〜sounds’Library

Coro della Cappella Sistinaシスティ−ナ礼拝堂合唱団

現在のシスティ−ナ礼拝堂合唱団は、ローマ法王自身が礼拝を行う際に聖歌の演奏を受け持つために1480年に創設されたが、その起源は3世紀のローマ帝国時代までさかのぼり、1700年以上の永い歴史を持つという。
 礼拝のために歌う時はシスティ−ナ礼拝堂聖歌隊(Capella Sistina),コンサート等礼拝以外の目的で歌うときはシスティ−ナ礼拝堂合唱団(Coro della Cappella Sistina)と名称を使い分けるらしい。
 「子どもは抑えつけてはいけない。厳しく管理したら自由に声が出なくなる。自然な声が出なければ、音楽も涸れてしまう」 これは終身音楽監督バルトルッチ氏のお言葉。以上、1996年の公演プログラムより 
…なんだか感動してしまった。(by Hetsuji)1999up

 CD

2007
 Pueri Cantores della CAPPELLA SISTINA(Edizioni CAPPELLA SISTINA/CMPS012)C.2007/Cirectore Domenico Bartolucci

D. Bartolucci
1. Ave Maria
2. Domine exaudi
3. ecce quod concupivi
4. Christus circumdedit me
5. Ecce nunc
6. Quemadmodum desiderat G.B. Pergolesi:
7. Dormi benigne Jesu

Soprano Solista:Mario Bolognesi

ほとんどMario君のソロアルバム状態。カトリック総本山のお膝元、どんなに荘厳か、荘重かと思いきや、メロディーも歌声も何とまあ甘美なこと。例えばオケ伴によるアヴェ・マリアが入っているクリスマスアルバムがあるが、ああいう雰囲気で、管弦楽による伴奏を伴いながら、Mario君のソロが美しいメロディーをつむいでつむいでつむぎまくる。どっぷりと浸りながら聞き続けてしまう、必聴の1枚。(by Emu)2009/7/26 up

 上のEmuさんのコメントを読んで絶対に聴きたいと思っていたCDでしたが、私は外国語がダメなので通販のハードルが高く何度も失敗し入手までにずいぶん時間をかけてしまいました。
 1996年の公演プログラムに指揮者のバルトルッチ氏が「子どもは抑えつけてはいけない。厳しく管理したら自由に声が出なくなる。自然な声が出なければ、音楽も涸れてしまう」と書いておられて、ものすごく感動したのですが、これは、その指導方針から自然発生したかのようなマリオ君の声の「たった24分52秒」のアルバムです。
 タイトルを見る限り、宗教的ではあるのですが、ゆったりとした旋律が美しく、マリオ君のソプラノのきらきら感が、磨かれた金属の輝きのように麗しく、しばし(私は今生きているのだという)俗事を忘れて、音楽に浸ってしまいました。
 ボーっと聴いてしまうと、なんだか「汚れなき悪戯」の世界のような古くささも感じてしまいます。2年前の録音らしいのに。それだけ汚れのない精神世界、なのかもしれません。
 彼、(マリオ君ですが)2年前には、この声を大聖堂に響かせていたんですね・・・すごかったんだろうなあ・・・。マリオ君のボーイ・ソプラノ・タイムと私の生存が、リアルタイムで重なっていたわけだから、生のソプラノを、聴くことが出来たかもしれないのに、「存在を知らずにいたために」失ってしまったそのチャンス。
 マリオ君のプラチナの声、故に、録音状態は完全だとは思えないのですが、「よくぞ、このボーイ・ソプラノを残した」と異教徒の私でもバチカンを見直したくなる1枚です。
(by Hetsuji)2009.10.10up
 CD

1996
天は神の栄光を物語り システィ−ナ礼拝堂合唱団'96 (ATCO-1008)  ドメニコ・バルトルッチ指揮 1996/07/16サントリーホール、1996/07/18東京芸術劇場LIVE 1996年録音。

グレゴリオ聖歌
1.ひとりのみどり子がわれらのために生まれた   
2.来たれ 聖霊よ   
Palestrina

3.主を賛えよう   
4.あなたは美しい   
ヴィクトリア
5.アヴェ・マリア   
ラッスス

6.正義の心   
インジェニェーリ

7.わたしが選んだぶどう   
バルトルッチ

8.主に従う者よ、喜び歌え   
9.あなたをあがめます、主よ   
10.われらの力なる神   
11.天は神の栄光を物語り

これはまさしく、Coro della Cappella Sistinaの立場(音)をとり、CAPPELLA SISTINA(の神髄)を「聴かせる」録音。歌う目的か、年月の移り変わりか、会場か、録音技術の差なのか、1992年の2枚と比較すると、音の表面を均してコンサート系の合唱に近くなっている。あまり聴けない後半7番目以降の曲に価値があると思う。(by Hetsuji)1999up 
 CD

1992
  P.DA PALESTRINA・MISSA PAPAE MARCELLI-OFFERTORI(ARES ACD 063)  1992年録音。

MISSA PAPAE MARCELLI
 
1.Kyrie  
2.Gloria  
3.Credo  
4.Sanctus  
5.Benedictus  
6.Agnus Dei I  
7.Agnus Dei II-Tu es Petrus  
OFFERTORI
 
8.Ad te Domine levavi  
9.Dextera Domini  
10.Bonum est confiteri 
11.Meditabor  
12.Laudate Dominum  
13.Confitebor tibi, Domine  
14.Terra tremuit  
15.Angelus Domini descendit  
16.Precatus est Moyses  
17.De profundis  
18.Domine Deus, in simplicitate  
19.Exaltabo te  

どちらかといえば、92年の2枚の録音は、CAPPELLA SISTINAの立場の録音に聞こえる。システィーナは選曲が興味深い。コンサート目的ではないので、一概に他の教会付属の合唱団と、CDにおける合唱の完成度の優劣は競えない。コンサート系の作りをしている他合唱団と比較して、音の作りが非常に素朴な感じがする。つまり、浅いところで、声へのヤスリかけを止めて、自然な声を残している。たぶん、この音が、聖堂での典礼に似合うのだろう。大きな拡がりを見せていく3.Credo を礼拝堂で聴いてみたい。しかし、だ。おおらかなほど、録音技術が良くない。言ってはナニだが、日本人のファンだったら、隠しテレコで、これ以上の音を採録するだろう。なんて想像してしまう。(by Hetsuji)1999up 
 CD

1992
  D.BARTOLUCCI・CANTICA-L.PEROSI・MOTTETTI (ARES ACD 064) 1992年録音。

CANTICA
1.Inviolata   
2.Tota pulchra  
3.Dolorosa et lacrimabilis  
4.Alma Redemptoris mater  
5.Ave Regina caelorum  
6.Regina caeli  
7.Salve Regina  
8.Adoro te devote  
9.Crux fidelis-Pange lingua  
10.O sacrum convivium  
11.Attende Domine  
MOTTETTI

12.Adoramus te  
13.Tu es Petrus  
14.O sanctissima anima  
15.Benedictus   
16.Ave maris stella  
17.Ave Maria  
18.Peter noster  
19.O sacrum convivium   
20.O salutaris Hostia  
21.Cantate Domino

テノールやバスは、けっこう、しっかりした音に作られているが、ソプラノがその音に似合わないような丸く艶やかに潤んだ音に仕上げられている。CDで聴く限りではそのアンバランスがなんとも言えない味だが、考えてみれば、コンサート合唱団が存在理由ではない。本来の職場?である、石造りの大聖堂でこの音を聴くとしたら、組み立てられたテノールやバスの礎に立って、自然なソプラノが天へ昇っていくことだろう。その片鱗は、ソプラノソロがある9.Crux fidelis-Pange linguaに見える。これは本来の職場で聴いてみたい音だ。システィ−ナのソプラノは、喩えればパリ木に似て華やかな音だが、明るさの影に哀愁を感じる。録音技術がいまいちなのが惜しまれる。選曲は他の合唱団は歌わないんじゃないかな。(by Hetsuji)1999up 
 LP

1973
   CORO DELLA CAPPELLA SISTINA Der Knabenchor des Vatikan in der Sixtinischen Kapelle (ACANTA DC 21.841 STEREO) P1973
Leitung:Domenico Bartolucci

SEITE 1
GIOVANNI PIERLUIGI DA PALESTRINA
1.Cantabo Domino
2.Vo dilecti mei
3.Improperium exspectavit
4.Vulnerasti cor meum
5.Paucitas dierum

SEITE 2
GIOVANNI PIERLUIGI DA PALESTRINA
1.Exaltabo te
2.Dextera Domini
3.Tota pulchra es
LUCA MARENZIO
4.Innocentes pro Christo infantes
ANONYA,16.JAHRHUNDERT
5.Sopra il fieno colcato
6.Dio s'e fatto fanciullo
DOMENICO BARTOLUCCI
7.Christus natus est

 黄金の粉を振りかけた鈴のような、金属的な、でもどこか丸いソプラノが変声後の声と競うような合唱で始まるのだが、残響が大きく長く、私自身が現場にいるかのように錯覚してしまう。ソプラノ組はPになると輝きを失ってくすんでしまうのだが、ひとたびFに戻るとキラキラと輝き始める。クリアで屈託のない精神を感じて非常に気持ち良い。
 作品的に完成度の高さを感じたのは3.Improperium exspectavit。この曲自体が美しいのかもしれないが、シャープでありながらも丸みを感じる光るソプラノが余裕のある男声部の分厚い層から自然にスーッと浮かび上がる様には、信者ではなくても厳かな気持ちにさせられてしまう。
 演奏にほころびが無いとは言わないが、コンサート系合唱団にはあまり無い「信仰という特別な空気」の中で、聴く者が演奏に浸ることで魂の何処かが癒される1枚であると思う。    (by Hetsuji) 2008/01/20 up
     

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(お返事は出来ないと思います)