本文へスキップ

Art of the treble〜sounds’Library (JAPAN)

セバスチャン・ヘニッヒSebastian Hennig

映画L'Or des Angesは、Sebastian HennigのSTABAT MATERのソロで幕が開く。B-Sソリストは数限りなく存在するが、彼は「伝統」の二文字にふさわしい録音を残したソリストと言えるのではないかと思う。バッハのカンタータ大全集を始め、当時は随分活躍していた。B-S定番CDの噂は聞かないが、それはもしかしたら、ハノーバー少年合唱団の名指導者のご子息という立場にもあったのではないかと私は邪推する。(単に多忙を極めただけか?)私の中のB-Sソリスト史ではナンバー1グループに位置する一人でもある。1981年にハノーバー少年合唱団の一員として来日した。現在はHANNOVER HARMONISTSのメンバーとして活躍中。手元にあった、彼が合唱団員として来日した折の写真をミニアルバムに入れ、友人を介して彼に渡してもらったところ、友人から「確かに渡したから」と写真添付のメールが届いた。写真にはアルバムに見入っている彼がいた。これもまた、ちょっとフワンとした、小さな記憶の一つだ。(by Hetsuji)1999up

 CD    PERGOLESI/STABAT MATER/CONCERTO VOCALE/(HMA 1901119) 1983年録音。

1.(Duo)Stabat Mater dolorosa 
2.(Aria-soprano)Cuius animam gementem  
3.(Duo)O quam tristis et afflica  
4.(Aria-alto)Quae moerebat et dolebat  
5.(Duo)Quis est homo, qui non fleret  
6.(Aria)Vidit suum dulcem natum
7.(Aria-alto)Eja,Mater,fons amoris  
8.(Duo)Fac,ut ardeat cor meum  
9.(Duo)Sancta Mater, istud agas  
10.(Aria-alto)Fac, ut portem Christi mortem
11.(Duo)Inflammatus eet accensus  
12.1(Duo)Quando corpus morietur  
12.2(Duo)Amen

 日本語onlyの私がB-Sを探すのに適した曲いくつかある。アレグリのミゼレーレ,メンデルスゾーンのHear my prayer,そしてこのペルゴレージのスタバトマーテルだ。ヘニッヒは,第一声から,緊張感を持って歌っている。彼のB−Sは,端正で耳に心地よいが,最後まで崩れないヘニッヒの緊張感が,聴くものの意識を,この曲に対し,真摯に向かわせる。
 数十年前から、この曲に関しては多くの録音が残されているようだが、誰が何と言おうと、私にとっては、この1枚が名録中の名録であり、PERGOLESI・STABAT MATERの標準となる演奏なのだ。他の録音を聴くときには、知らず知らずのうちに心の中で、ヘニッヒのB-Sと比較している。
 楽器演奏も含めてであるが、この演奏には凄まじいばかりの寂寥感がある。ヘニッヒは、単に譜面をたどっているだけではない。ヘニッヒの声には、男声やバイオリンの音に勝る哀愁が有る。これは出そうと思って出せるものではない。むしろ歌うもの自らの感情を一切出すことなく淡々と歌って、曲として聴いたときに、曲の持つ深い悲しみや寂しさ、清らかさが結果的に表現されているのだと思う。それにしてもヘニッヒのB-Sは美しい。(by Hetsuji)1999 up
 CD   SCHUETS/CONCERTS SPIRITUELS/CONCERTO VOCALE/(HMC 901097) 1982年録音。

1.Habe deine Lust an dem Herren SWV 311  
2.O Jesu nomen dulce SWV 308  
3.Wohl dem, der nicht wandelt SWV 290  
4.Eile, mich, Gott, zu erretten SWV 282  
5.Was betrubst du dich, meine Seele SWV 353  
6.Herr unser Herrscher SWV 343  
7.Wie ein Rubin SWV 357 
8.O suesser, o greundlicher SWV 285  
9.Was hast du verwirket SWV 307  
10.Bone Jesu SWV 313  
11.Bringt her dem Herrn SWV 283  
12.Ihr Heiligen lobsinget SWV 288  
13.Herzlich lieb hab ich dich o Herr SWV 348

 ヘニッヒのB-Sは美しい。その美しいB-Sでシュッツの作品が歌われていく。心が洗われていく瞬間である。
 ヘニッヒのB-Sは温かいのだが、人間臭さがなく、さらりと端正で、宗教作品を歌うのに相応しい。ドラマチックに聴かせる派手な作品よりも、静かで深い思索の中にあるシュッツ作品は、正に適役を得たと言える。ヘニッヒは、もし、他にも録音が残されていれば、ぜひとも全ての録音をコレクションしておきたいB-Sの一人だ。(by Hetsuji)1999 up 
CD    THOROFON HANNOVER HARMONISTS Streifzug (CTH 2384) 

sounds’Library
 sounds.library@gmail.com

(お返事は出来ないと思います)