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Art of the treble〜sounds’Library (JAPAN)

BENEDICT SIMPSONBENEDICT SIMPSON





CT 

1986
QUEEN ELIZABETH HER MUSICKE (Consort CON 101)
BENEDICT SIMPSON treble
DAVID MILLER lute

Side 1
1.An Almain
Pavan and Galliard
2.O Death, rock me asleep
3.Fain would I Wedd Richard Farnaby(b.c.1594)
His golden locks John Danyel(1564-c1626)
4.In nomine Osbert Parsley(1511-1585)
From silent night John Dowland(1563-1626)
5.Qui passa John Johnson(fl.1579-94)

Side 2
1.Corranto
The silver swan Orland Gibbons(1583-1625)
2.Browning Elway Bevin(c1554-1638)
3.Like as the lute delights John Danyel(1564-c1626)
The Flatt Pavan and Calliard John Johnson(fl.1579-94)
4.Sorrow, come
5.Corranto
It fell on a sommers daie Thomas Campion(1567-1620)
The Songe upon the Dyaall Osbert Parsley(1511-1585) 

 私はどちらかというと現物主義です。このカセットも収集のターゲットでしたが、入手困難度SSSランクで、私の検索力と運では入手不可能だと思っていたので、これについては即、現物をお持ちのEmuさんにコピー依頼しました。
 結果、現物をEmuさんからいただいてしまうという恐ろしくもありがたい状況になったのですが、音楽を聴いた瞬間からこのカセットは想像した通りの世界、想像以上の世界でした。
 時代はエリザベス一世の頃。(1533/09/07-1603/03/24, 在位1558-1603)、シェークスピア(1564/04/26-1616/04/23)なので、昔NHKで放映されたBBCのシェークスピア劇場をご覧になった方がいらっしゃれば、音楽はあんな感じ、あの雰囲気の世界です。集英社のコミックス等で山本鈴美香先生の「7つの黄金郷」をお読みになった方なら、主人公の双子オリビエとエロールは1582年5月26日現在14歳の設定で、とすると女王は50代、シェークスピアはまだ10代で、マンスフィールド伯爵と同年代ということになります。戦うといったら、たぶん集団兵器は無く、個人対個人の剣や銃が主で、その分、死もリアルだったのでしょう。なので、当時の作品を聴いていて、ものすごい寂寥感とささやかな光明、安堵感を受け取るのだと思います。作曲者自身が地位や名声、信条(宗教)等への葛藤を抱えていたでしょうから、穏やかでも、どこか寂しい、でも宮廷音楽でもあったでしょうから微妙に華やかであったものと思われます。
 …私はこの時代の音楽を聴いて、生きること&存在への寂しさを感じてしまうのですよね。(所詮は「食べること」が保障されている階層の感性でしかないのかもしれませんが)
 さてリュートの得も言われぬ静けさ&寂しさ&華やかな音に乗って聴こえてくるBENEDICT SIMPSON君のO Death, rock me asleepですが、エアをたっぷり含んだイングランド聖歌隊員くん的な歌い方がこの時代の音にピッタリ!です。しかもどこか表現力が隊員君を超越してしまっています。O Death! rocke me asleeprockeのrの巻き舌がさりげなくも素晴らしいのです。このカセット、全体的に抑揚の少ないゆったりしたメロディラインの中でアクセントになるのは、BENEDICT SIMPSON君のrの巻き舌の音の美しさ、子音の美しさ、そして旋律に見合った声量とあくまでも空気を含んだ声の質かもしれません。この少年の正体は不明ですが、相当に訓練されていると感じました。歌われている英語もどこか時代がかった単語もあり、そこも又、上品というか、当時への追慕を感じさせてくれるようでした。 (by Hetsuji)2013/06/01 sat up

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(お返事は出来ないと思います)