橋本と会った。
軽く昼食をとってから街をぶらぶらして、服を買ったり本屋で参考書を見たりした。
なんか、普通のデートみたいで妙に照れくさかった。
『デート』なんて言ったら橋本に拒絶されちゃいそうだけど。
今日思ったんだけど……橋本ってやっぱいい男なのかもしれない。
優しいし、勉強もスポーツもできるし(中学のときはそうだったし今もそうなんだろう)、服のセンスとかもいいし、もちろん顔もいいし。
どこか欠点がないかって探してみたけど、特には見当たらなかった。……ああ、ときどきおせっかいだなってそれくらいか(笑)。
女にもモテるんだろうなーと思って「彼女は?」って聞いたら、「いない」って言われてかなり意外だった。
……でも、『今は』ってことだろうけど。
夕方までいろいろ見て回って、夕飯を食べてからそろそろ帰るかってことになったときに、
「──あれ、橋本?」
って声をかけてきた人がいた。
橋本が驚いたように振り返って、僕も気になって振り返ったら、そこには僕らより年上っぽい男の人が2人いて。
「せ、先輩!?」
橋本がちょっと甲高い声でそう言って、焦ったように2人に近づいていった。
それから3人(ていうか、2人のうちの1人と橋本)がぼそぼそと小さな声で話をしはじめて、何を話してるのか気になったけど近づけるわけもなくて。
その人たちがまた歩き出して、橋本が僕のところに戻ってくるまでバカみたいに立ち尽くすことしかできなかった。
その2人と橋本の関係がなんとなく気になったから
「……今の人たち誰?」
って聞いたら、
「バスケ部の先輩たちだよ。このあいだ引退したんだけどさ」
って、ちょっと赤くなった顔で答えてくれた。
……なんで赤くなってたんだろう、橋本。 |