「ファイロォ、お茶まだー?」

「必勝」と書かれた鉢巻きを頭に巻いた閃那が、勉強机に向かいながら、声を上げた。

「も、もう少し待て、今湯を沸かしている所だ」

それに言葉を返したのは、あの、神々の世界へと侵略した邪神、ファイロ。
「髪」の各所にお札を貼られ、メイド服を着込んだ今の彼女の姿を、あの戦いを経験した、誰が想像しただろうか。

……

風の将、麻莉亜が幾度も挑み、幾度も倒され、絶望すら漂い始めた戦場を、奮い立たせ、勝利へと導いたのは、友、ネーベルを救うために奮起し、勇者として覚醒した、閃那だった。

友を思う閃那の剣を、襲いかかるファイロの攻撃から守る麻莉亜の風王龍撃破。
閃那の、麻莉亜の、全ての想いを乗せた剣が、ファイロを貫き、彼女の野望を打ち砕いた。

……

決戦後、神々に対し反旗を翻し、滅ぼそうとしていたファイロは、傷つき、死を待つのみだった。
そのまま生き残ったとしても神々も彼女の死刑を決断するのにそう時間はかからないだろう。
しかし、死を目の前にし、諦めたファイロに手をさしのべる者が居た。

「私はお前に勝った! お前は私に負けた! だからお前はこれから私のしゃてーだ!」

そんな、どうしようもない一言で、閃那は神の反逆者であるファイロと、主従の契約を交わした。
死にかけたファイロに抗う術など無い。

しかし、

(おのれ……だが、傷が治れば、この程度のちびすけ、契約など破棄して殺してやる……)

したたかにたくらむファイロ。

「あ、念のためにこのお札を貼っておこう。なんていっても光の王のお札だし、きっと御利益もすごいぞ。感謝しろ^−^」

そう言って、ファイロの武器であり、能力の象徴である髪にフレイア神殿で購入したお札を貼り付け始めた。
宿敵フレイアの、邪気を封じる御利益のある、ありがた〜いお札。
彼女の企みは、あっさりと潰えたのだった。

「夜食もお願いね〜。あ、二人分用意して、一緒に食べよう^−^」

(うくっ、今に見ておれー!)

(勇者屋キャラ辞典:)
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