人が行き交う街中で、通りの横に腰を掛け、道行く人々の会話に耳を傾ける、少女が一人。
「世捨て姫」。いつからか少女、ヒナはそう呼ばれるようになっていた。

彼女の「魔王の姫」としての特殊能力……真実が聞こえてしまう耳。

本人の意志、主張、知識に関係なく、物事の「真実」が聞こえる、一見素晴らしい能力だが、反面、信じた者の嘘が、信じた事の破綻が彼女を苦しめた。
真実は人の心の裏側を暴き、人の汚さを彼女に教えた。
そして、それを乗り越え、信じた真実は、事実という裏切りを彼女に叩きつけた。

人の言う真実、人の行う真実。
彼らの抱くものが真実の意志故に、信じた事も在った。愛したことも在った。
しかし、その想いを遂げることの出来ない者達をあまりにも多く、彼女は見てしまった。

「無力」という、事実を。

そうして、彼女は信じることをやめた。故に「世捨て姫」と、呼ばれるようになった。


……つまらない、街中の会話。そこにある「真実」は、どれもくだらないことばかりだ。
しかし、彼女は、気が付いていなかった。
その会話の中に、事実となる真実を探している、自分のことを。いずれ出逢える事を願っていることを。
(勇者屋キャラ辞典:「世捨て姫」ヒナ
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