『インドの事−その1−』

「インドの事−その1−」 「インドの事−その2−」 「インドの事−その3−」
 最近、『妹尾河童(セノーカッパ)』と言う人が書いた本を読んでいる。『少年H』という、自分が子供の時のことを書いた本が有名だけど、『河童が覗いたインド』という本もお勧め。

 成るほど、色んな場所に纏わる見た物について書いた物はいくらもあるだろうが、自分で感じた所謂日本との文化、習慣の違いを述べている点が面白い。(驚いたことに、全て手書きで、しかも上手な絵がふんだんに盛り込まれている)

 Kさんが初めて日本に来たのは今から8年ほど前だという。インドのコンピュータ会社で、日本からの注文を受けてソフトウェアの開発をしていたのだが、『日本に行って見ないか?』と言われたことがきっかけで来日。その後、日本が気に入って家族を呼び寄せ一緒に住んでいる。
始めは横浜の方の会社に勤めていて、その会社の社宅にお世話になっていたそうだが、その後一人で住むようになり5年ほど前に今の会社に転職してきたことで一緒に働くことになったわけ。

 始めのうちは、社内での伝達事項には英語を使っていたのだが勤勉な彼は日に日に日本語力を向上させ、今では、我々の間では勿論、お客様にもしっかりした日本語のメールで対応するまでに至っている。完璧ではないにしろ読み書きについては全く問題ない。
面白いのは、お客様向け(技術的な内容)の文章、会話には全く問題無いのだが、たまにパーティーの席などで普通の会話の時に通じていないことが侭ある。

 彼はインドの南部(マドラス)の出身で公用語はタミル語だそうだ。
小学校時代、学校の授業はタミル語で行われているのだが、中学校になるといきなり全ての授業が英語で行われるそうだ。英語の授業とかでは無く、数学も、社会も理科も全て。
始めの1年間はみんな戸惑って大変なことになってしまうそうだ。それでも、1年も経つと皆きちんと英語で話すことに慣れるという。
やはり、人間追い詰められると強い。
日本の教育にもこれくらいの勇気があって欲しい。インドだと、英語が出来る人とそうでない人とで社会的な差が歴然としているから。日本では、英語が出来る人とそうでない人の給料の格差は未だにたいしたこと無さそうだし。

 彼とは、毎日会社で3時ごろから10分ほど一緒にお茶を飲む時間を持つようにしている。そこで、色々なインドに纏わる情報が集るわけ。
彼は、その休憩の時、決まって『ティーオレ』を飲む。会社の中にあるカフェテリアではコーヒー、紅茶、パンそれにアイスクリームなどがあり、彼は毎日決まって『ティーオレ』をたのむ。彼が、カウンターに行くと黙っていても『ティーオレ』が出てくる。
紙コップに温めた牛乳をいれ、その中にポチョンと、ティーバッグを入れるだけの簡単なもの(¥110)で、こぼれないようにそのカップ用の薄いプラスチックの蓋を乗せてくれる。砂糖は、各自別のテーブルに置かれているものを必要な分だけ取れば良いのだが、彼は大抵、細いスティックシュガーを3つ入れる。
見てるだけで喉が渇いてきそうだが『河童が覗いたインド』にも書いてあり、インドとはどうやらタップリと砂糖を入れて飲むところらしい。

 色々な話をする。
横浜の社宅から、淵野辺のアパート(我が家の近くらしい)へ、その後、杉並区に越し、現在は西武池袋腺沿線に住んでいる。丁度、会社の事業所が移転したタイミングで引っ越しているので、それにあわせて越したのかと聞くと、どうもそうではないらしい。
「近くに友達がいるから」
という事だが、何を基準に引っ越したのか良く分からない。

 彼には、男の子が二人いる。一人は1昨年生まれたことが分かっているのだが。。。
「Kさんの上のお子さんは今、小学校何年生?」
「上の子はね、小学生なんです。」(なんで、と思うほど簡単なことがキチンと通じてなかったりすることがある)
「うん?、何歳?」
「上の子はね、10歳です。」
「あー、じゃぁ、小学校4年生ぐらいだね」
「小学校4年生なんです」
「じゃぁ、私の娘と同じだ」
ところが、ある日彼は私にメールを送ってきた。
「冨村さんちょっと、メールを印刷して欲しいんですが」
彼はその日、会社のパソコンを新しくしたばかりでプリンターの設定が出来ていなかったのである。どうしてもその日のうちに印刷しなければいけない資料があるとの事で私に頼んで来た。(実は私用の印刷物で、彼が通っている日本語会話学校の宿題の作文と、もう一つは、どうやら、家で上の子が書いた作文のようだ。)
それぞれ印刷してKさんに渡すと、Kさんは、
「冨村さん、おかしなところがあれば教えてください」
と言って、私に差し出す。内容はきちんと理解できるように書かれているが、怪しい言い回しや、間違った敬語の使い方などを訂正してあげると、とても喜ぶ。
こっそり、お子さんの書いた作文を見てみると、なんと書き出しに「6年1組 ○○○○○」と、ある。
『あれ、先日小学校4年生で、うちの娘と同じ年だと確認したばかりなのだが』
これまた、通じていなかったようである。それとも子供の歳を本当は分かっていないのかも知れない。
Kさんは会社でも何時も夜遅くまで働いている。たまの休日はかなり遅くまで寝ており、先日の小学校の運動会には起きられずに行かなかったとか。。。まるで仕事に疲れた日本のお父さんみたいでである。
因みに、作文はお子さんの方が上手な日本語で書かれていた。普段の会話をそのまま表現できる息子と、普段は技術的な説明ばかりを書いているKさんとは、内容に得手不得手があるのだろう。

 会社のカフェテリアには分別回収のゴミ箱が設けてあり、飲み終わった後の紙コップは『紙コップ入れへ』後は燃えるゴミとプラスチックゴミに分けて捨てる。
Kさんは必ず、紙コップのプラスチックの蓋は『燃えるゴミ』へ、ティーバッグの残りやスティックシュガーの細い紙のゴミは『プラスチックゴミ』に分けて捨てる。
こんな簡単な字が読めないわけは無いのだが、完全に逆に捨てる。
良く分からない。


(2005.11.2):先ずはKさんの紹介がてら。。。と言ったところでしょうか!?それ程盛り上がる話しではないですネ。
期待してた方『残念!』
「インドの事−その2−」「インドの事−その3−」