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[01]yoyo叙情詩 「夕凪」


広く大きな紺碧の海
水平線を横切る桟橋
先端にいる釣り人たち
西側の岸辺で佇む

夕凪は一隻のボートを掠め
ゆっくりと滲んでいく
あの淡い光は海岸線と混じり
果てない抒情をよびおこす




[02]yoyo叙情詩  「落伍者」


暗夜に瞬く孤独な蛍
気高く青い荒い波
屈することを知らず
臆することを知らず

必然であるように
あらゆる栄冠を手に
情熱を知らずして
勝ち誇る真なる落伍者



[03]yoyo叙情詩  「早春譜」


うねうねとした白竜の山なみ
薄緑と濃土のまだらをなし

雪解けは早春にはじまり
ほころぶ芽は萌ゆるる

ちらちらと流れる清水は
やがて小川にそそがれる

桜吹雪の吹くころに
我が源にとどけられん




[04]yoyo叙情詩 「澪」


建ち並ぶ工場群の端
濃紺の大海原の手前
運搬船の停留する港
ぽつんとあるビルから眺め

時折汽笛はなり響く
それはすれ違う船の合図
あなたと出遭ったその日から
あの同じ澪を流れている




[05]yoyo叙情詩 「文子」


かもめ嘘をつく
浜辺しらじらしく
桟橋けったいな
文子はいう

線路いつもでも
橋げた重苦しく
列車告げられず
文子がいうさよならと



[06]yoyo叙情詩 「アスランの街」


朝の珈琲を飲み
闇夜の帰国のように
茶褐色の感情を乾いた酸素で
太陽のアスランの街を歩む


未知の歪みにみちて
あのモスクはすでに祈りを
ゆるやかに畢竟を
醒めてゆく昼の幻鬱に白い夢を上映す




[07]yoyo叙情詩  「時雨」


いつもの川岸
いつもの時刻
しとしとと時雨滴るる
僅かに鼓動の重なる日々


裏腹にすれ違う轡の痕跡に
満開の紫陽花の咲く心の波紋
あなたを待つ天の川の河辺利で
つなぐ橋かからんこと祈る悠暮




[08]yoyo叙情詩 「報復」


無差別な羅列する単語の爆撃
予測不能な感情の痛手

屈辱はダダイズムを越え
蹂躙される煌く感受性

憤りは母なる大地を砕き
我が血潮を熱く染め

報復は静寂な夜を切り裂き
無制限な魂の空爆が始まる





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