自然を加工し、高い適応能力をもった新人は、今から10万年前にはアフリカで出現していて、6万年前までにはアフリカを出て西アジアに移動し、1万年前までにはほぼ全世界へと広がっていきました。
7万年前から世界は最後の氷河期を迎え、2万年前のピークを挟んでそれは1万年前まで続きました。一時は海水面は今より200メートルは低く、カナダからヨーロッパの北半分は氷河に覆われ、気候は乾燥化の傾向にありました。そのような厳しい生活環境のなか、人類は活路をもとめてアフリカへから世界へと出て行ったのでした。
現在の人類のDNAやミトコンドリアの分析により、人類の移動の様子が分かるようになってきています。(詳しくは国立科学博物館のwebサイトを参考にしてください。)
まず、人類は紅海を経てアラビア半島に渡り、6万年前までには西アジアに広がっています。そこから東南アジアへは5万年前、ヨーロッパへは4万年前ころには到達しています。
当時、南シナ海は陸地化しスンダランドと呼ばれていました。ここからオーストラリアへは4万年前に、内陸アジアを経てシベリアには3万年前に、東シナ海沿岸を経て中国や日本列島には4〜3万年前に至っています。
シベリアの一部は北から日本列島に移り、南からの移住者と合流し、一部は陸橋となっていたアリューシャン列島を渡り、北アメリカには1万5千年前に、さらに南アメリカには1万2千年前に到達しました。
氷河期は2万年前をピークに温暖化に向かいましたが、一本調子に暖かくなったわけではありませんでした。2万年前から1万年前にかけて、少なくとも三度は急激に寒冷な気候になったことが分かっています。1万年以後も、7000年前のもっとも温暖だった時期をはさんで、急激に寒くなったり、気候の変動がありました。
寒冷な時期に、陸続きになっていた大陸へ移動していった人々は、温暖化によって海水面が上昇すると、各地に孤立することになりました。また、温暖な時期に北方や高地に移住した人々は、寒冷化に伴い新しい環境へ適応する必要に迫られました。