各地域、同時代並行の世界史
人類の再会物語
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16.本当に現実を知ることはできるのか

マス・メデイアがなければ、私たちは身の回りの小さな出来事と人間関係からしか、この世でおきていることを知ることはできません。

知らないことはもの知りの言葉を信じるしかありません。それがどれほど信頼できる情報かを評価する情報にもこと欠くとでしょう。

しかし、マス・メデイアが流す情報の真否はどのように判断できるのでしょうか。

マス・メデイアと政治権力

20世紀の大衆民主主義の歴史はマス・メデイアを巧みに利用した二人の政治家からはじまりました。1930年代のヒトラーとフランクリン=ローズベルトです。

このころよりラジオや映画が本格的に普及しはじめ、彼らはこれを使って大衆の心をつかみ、絶大な権力を手にしました。

ルーズベルトは米大統領に四回選ばれましが、以後憲法が改正され米大統領の任期は最大二期8年となりました。

ヒトラーの独裁権力は、彼の自殺によってしか終わらせることはできませんでした。

この二人がいかに大きな権力を手にしたかがこのことからもわかります。

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第四の権力

ラジオ・新聞・雑誌・テレビとマス・メデイアは第四の権力とされるまでに成長し続けました。

ワイドショーでバッシングされれば、政治家も企業も芸能人も大きな打撃を受け、ときには再起不能になることすらあります。

当然、私たちはこのマス・メデイアの影響を大きく受けています。やり方によっては選挙の結果を左右し、一国の政治の動きをコントロールできるほどの力をもっています。

それが露骨に行われれば見破られ人びとの警戒感をひきおこしますが、巧みに誘導されれば、マス・メデイアによって人びとは自発的に権力に服従するようになることでしょう。

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インターネットは両刃の刃

素人の個人が情報を発信できる手段としてインターネットやEメールが発達しました。

個人で音声や映像をあやつり、放送番組を流すことすらできるようになりました。Eメールによるネットワークが大衆運動を盛り上げることもありました。

しかし、インターネットやEメールによる情報のつながりとマス・メデイアが一体になったら、強力な情報支配力が出現します。その意味でweb技術は扱い方によっては怪物になりかねない存在です。

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身近な会話と討論

疑えばきりがありません。懐疑論や不可知論に陥ってしまう危険性もありますが、私たちが物事を判断する根本基準を確かめておくことは大切です。

情報には辞書を調べるように自分から求めていくpull型情報と新聞やテレビのように望まなくても情報の方から自分の方にやってくるpush型情報があります。

情報の量を確保するにはpush型情報が有効です。しかし、その信憑性はpull型情報で検証するしかありません。

このpull型とpush型が混在する情報が身近な人との会話と討論です。これがまず情報の基本ソースです。

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自分で調べ自分で考える力

pull型とpush型の情報が集まれば、その信憑性を審査し知識として自分のものにしていくことができます。その判断基準はそれぞれの人が培ってきたそれまでの体験と知識によるしかありません。

古典とされる知識はその思考の方法と内容が私たちの価値判断の有力な武器となります。

しかし、最後には自分の考える力を頼りにするしかありません。この自分の判断を身近な人びとの批判にさらし、もう一度吟味する、このくり返しのなかで意見は鍛えられていきます。

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専門家と素人、個人と組織

web2.0という考え方がインターネットの世界に普及しました。無名の個人が情報をもちより整理すると、大きな力になることがさまざまな取り組みによって証明されました。

家庭の素人料理を集めたデーターベースから自由に情報を取り出し、自由に情報を書き込むネットワーク。

話題の書籍も忘れられた名著も使い古しの学習参考書もみんなデーターベースに入れて検索・注文を受け付けるサイト。

素人も専門家も入り混じって書き続けられている電子百科事典は毎日更新される事典です。

このweb2.0という新兵器によって会話や討論ができる身近な人びとの範囲を広げることはできますが、最後は自分を頼るしかありません。

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face to faceの
個人的な関係を

大きなシステムのもとに人びとを効率的に動かす環境がひろがっています。

対面販売をさけて通信販売を利用し、人気投票の結果で読む本を選び、両耳をイヤホーンでふさいで街を歩く。こうした文化が避けがたく私たちの体に浸透しつつあります。

しかし、こうした文化は決められた穴から世界をながめ、限られた言葉でしか説明されない世界を信じ、あらかじめ準備された物語を消費するだけの生活しかもたらしてくれません。

ぎこちなくても自分固有の言葉としぐさで隣の人と向きあう関係こそ、人類を大量絶滅の危機から救う道かも知れません。

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