各地域、同時代並行の世界史
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1975年〜1989年:2

(27) 東アジアの変化

東アジアや東南アジアでは、この時代、経済と政治にどのような変化が見られましたか。

東アジアの奇跡

円高によって日本企業は輸出競争力を失っていきました。高い賃金と為替相場を嫌って海外に生産拠点を移したり、生産を委託するようになっていきました。投資先として、韓国、台湾、香港、シンガポールといった東アジア・東南アジアの国が選ばれました。

日本や米国から技術や資本が流入し、「NIEs(新興工業経済地域)」と呼ばれた地域では優秀な企業が育っていきました。また、これらの地域からマレーシアやタイへ投資する動きも始まり、ここでも経済成長が始まりました。

石油危機からいち早く立ち直り、急速に経済成長するこの動きは世界中から注目され、「東アジアの奇跡」と呼ばれたりしました。

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中国とヴェトナムの変化

石油や他の資源に恵まれたりしたわけでもない東アジア・東南アジアで経済成長する国が相継いだ理由として考えられことは、開発独裁の政権に端的に見られるように、国内の諸問題は有効な対策を講じることなく、外国より輸出品を生産する工場を誘致し工業化を積極的に進めたことです。内需より輸出を重視した産業政策は明治時代より日本でも行われてきた手法でした。

1980年代中国やベトナムはこれを手本として、一党独裁の社会主義政権のまま市場経済の導入を図りました。中国の「改革開放」政策やヴェトナムの「ドイモイ」政策は軌道にのり、21世紀になってもその路線は継承されています。

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民主化の進展

経済成長によって生活水準が向上すると、中間層の人びとは民主化を求めるようになります。戦後独裁政権が続いてきた韓国では1980年代から90年代にかけて盧泰愚(ノテウ)・金大中(キムデジュン)・盧武鉉(ノオムヒョン)の各大統領の時代に民主化が進みました。台湾では李豆輝総統の時代(1988〜2000)に民主化が進みました。その他1986年フィリピンではマルコス大統領、1998年、インドネシアではスハルト大統領が退陣して独裁政治の時代が終わりました。

しかし、1989年、中国で民主化を求めて立ち上がった人びとが軍部の力で弾圧される天安門事件が起きました。また、北朝鮮では金日成、金正日による独裁政権が世襲されて続きました。 

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