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1956年〜1975年:3

(24) 南北問題

南北問題では何が主要な問題となっていましたか。

アジア・アフリカ会議

1954年、中国の周恩来とインドのネルーはインドシナ戦争の休戦について話し合うためシュネーヴにいました。二人はここで「平和五原則」(平和共存、内政不干渉、領土・主権の尊重、対外不干渉、平等及び互恵)を世界に向けて発表しました。

翌55年アジア・アフリカ会議がインドネシアのバンドンで開催されました。29カ国が集まったこの会議では「平和十原則」が採択されました。平和共存の時代を迎えて何かが動き始めていました。

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アフリカの年

1957年、サハラ以南で初めてガーナが独立しました。エンクルマが初代大統領になりました。アフリカ人がアフリカの国を治める時代が始まり、「アフリカの年」と言われる1960年、17の国がアフリカで生まれました。アフリカの統一と連帯を目指すアフリカ統一機構(OAU)が1963年に創設されました。

しかし、アフリカでは奴隷貿易の影響による低開発や植民地時代の単一作物栽培(モノカルチャー)による環境破壊などのために経済不振が続きました。また、人工的に引かれた国境線によって民族が分断され、国民構成が複雑になったために、部族対立が深刻になっていました。このようなことが原因となって、国内紛争が絶えませんでした。

さらに、経済的利害や社会主義政権が生まれることを恐れて、米国などが軍事介入をしたために、内戦状態になったコンゴやナイジェリアのようなこともありました。

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非同盟諸国会議

1961年ユーゴスラヴィアのベオグラードでアジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国が参加して非同盟諸国会議が開催されました。この会議は国際平和・中立・自主外交を掲げ、以後3年ごとに開かれることになりました。

この会議に結集する国の多くは東西いずれの陣営にも属さず、第三勢力として国際政治の世論形成に大きな影響力を持つようになりました。たとえば、中華人民共和国を中国の代表とする中国代表権問題では主導的な役割を果たしました。

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南北問題

1960年代半ばには旧植民地であった国々の多くは政治的には独立を達成していましたが、経済的な自立の道には多くの困難がありました。これらの国の多くは農産物や鉱物・エネルギー資源などの一次産品を輸出して、それを近代化・工業化の資金にしようと考えていましたが、一次産品の価格は低く十分な資金を得ることはできませんでした。そのために対外債務を背負うことになり、逆に貧困化が進むことになりました。

このような北の先進国と南の途上国との経済格差は南北問題として世界的に認識され、1964年国連貿易開発会議(UNCTAD)が設立され、南北問題の解決が目指されるようになりました。

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開発独裁

南北問題を放置すれば、南の国々が社会主義陣営に接近する懸念がありましたから、西側としてもそれを放置するわけにはいきませんでした。先進国は南の国の指導者を政治的にも経済的にも支援して、国内の支配体制を強化し、国内で抱える問題はそのままにして、工業化や経済成長を優先する政治を展開しました。このような政治の仕組みを開発独裁と言います。

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第三次中東戦争

第一次が領土分割、第二次がスエズ運河国有化が原因で中東戦争がおきましたが、第三次中東戦争は1967年イスラエルが奇襲したことが原因となりました。イスラエルはこの時、東イエルサレム、ヨルダン側西岸地区、ガザ地区、エジプトのシナイ半島、シリアのゴラン高原を占領しました。国連安保理決議246号では平和の達成と占領地の返還が求められ、それが和平交渉の基礎となりました。

この戦争で、アラブ民族主義は武力解放から穏健な姿勢に変わっていきました。一方1964年アラブ連盟によって設立されたパレスチナ解放機構(PLO)は1969年武力による祖国解放をめざすゲリラ組織の連合体として再編成されアラファトが議長となりました。

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第四次中東戦争

1973年エジプトのサダト大統領はシリアとともにイスラエルを攻撃しました。ソ連製の武器による先制攻撃により、イスラエル側は劣勢でしたが、やがて反撃に出て、停戦になりました。

この時、多くのアラブ諸国とそれを支援する産油国はパレスチナの解放を「アラブの大義」として、祖国解放をパレスチナ人の権利として国際世論に訴えました。

また、1973年アラブ石油輸出機構(OAPEC)は「アラブの大義」を認めない国々に対して石油輸出制限を実施したため、世界的に石油の価格が高騰し、世界経済に大きな衝撃を与えました。

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