ブキッラワン
5/2
 ブキッラワン到着
 
ツーリストバスはくねくねの悪路を上り、やっとブキッラワンに着いた。もう日も暮れて真っ暗。ワワンが俺に着いてこいというので着いて いった。宿は1人がやっと通れる吊り橋を渡ったところのゲストハウスにした。とにかく安い1泊150円ぐらいか・・・
5/3
 ジャングルトレッキング
 ワワンによるとジャングルトレッキング2daysだと言う・・・メダンで 3days予約したのに・・・怒ってワワンに文句を言って10ド ル返してもらい、2daysに参加することになった。どうもウィウィンがぼったらしい・・・そんなトラブルでちょっと遅れて出発。いきなり宿の裏の崖のよ うな斜面をよじ登る・・・パーティはガイド2人、デンマーク人カップル、イギリス人、スウェーデン人と私の7人。


 地面が滑りやすく何回も滑って転んだ。1ヶ月の旅でかなり靴がすり減っているようだ。ガイドは猿のように(猿よりも速 く)ジャングルをかけずり回る。と にかく蒸し暑く、汗でびしょびしょ・・・ブラウンシュガーの取れる木、薬草、トゲなどで危険な樹木。行く先々でガイドが説明してくれる。親子連れのクロザ ル、小さい猿がたくさんいる。2度オランウータンに出会う。トレッキングに来てもオランウータンに出会わないこともあるらしい。ラッキーだ。
 2度目は大きなオランウータンが木からかけずり降りてきた。危険を察知し たガイドが、「早く上へ上がれ!」と指示。みんな素早く崖をよじ登ったが、イギ リス人男性が捕まってしまった・・・リュックを捕られ、中を物色している。「やばい!」とばかりガイドが助けに行く。バナナをかざしてオランウータンの気 を引きイギリス人を逃がした。この時期のオランウータンは子育ての時期でもあって危険らしい。その爪と握力で大けがをする者がいるそうだ。このイギリス人 はなかなか厄介者で、短パン、サンダルで来て、足を無数の蚊に刺されるは、岩で足を切りかなりの出血。ガイドがたばこで止血するなど大騒 ぎだ。

 やっとの事でキャンプへ到着。川沿いの ちょっとした扇状地にそこら辺の木を集めて作ったであろうテントがある。すでに3人の男が火をおこしていた。川は かなり深く急な流れ。シャワーもかねて泳ぐ。ウォーターリザードという2メートルぐらいあるトカゲがお出迎え。近寄るとしっぽでやられるそうだ。ガイドの 作った夕食(カレー)を食べ、夜はトランプで盛り上がった。スピードというゲームは日本にしかないらしく、教えてあげるとみんなかなり熱中!ブランケット を忘れて、寝るときはかなり寒かった。
5/4
 朝早く起き、ジャングルトイレ(川に流す)。朝食をとり水泳。カメラ(リコー GR-1)が湿気で?動かなくなる。ラフティング(ゴムチューブの浮き輪で川を下る)で川下の街までらくちん帰還。激流にもまれなかなか楽しかった。
 宿に帰って、河原でドロドロになったズボンやシャツを洗濯。今夜はサタ デーナイト。メダン等から大勢休日を楽しみににやってきて夜遅くまで騒ぐのだそう だ。宿のレストランで日本人のヨーゾーさんに出会い、夕食を共にした。1年以上自転車でアジアをまわっているのだそうだ。夕食後ワワンと友人達がバーベ キュウをやっていたので参加。ディスコでウイスキーをかなり飲んだ。彼らはイスラム教徒で本当は酒は飲めないのだが、ワワンいわく、「自分はイスラム クォーターだから大丈夫」 なのだそうだ・・・?夜2時までディスコで踊り、飲み、帰って就寝。夜中じゅう、ディスコの大音量の音楽が流れていた。
5/5
 ラフティング
 ワワンにラフティングに誘われ、1日川下りを楽しむ。途中河原でた き火をし、魚をバーベキューして食べた。そこら辺で拾ってきた竹を半分に割り、たぶんこの川で捕れた魚を挟んで火であぶる。味付けはチリソース(赤いラー 油のようなもの)だけだが、かなり旨い。私一人の為に、何人もの若者が一緒に遊んでくれる。みんなワワンの弟分みたいな奴らで、変に押しつけがましいとこ ろもないし、シャイで良い奴らばかりだ。
写真右端がワワン→

5/6
 バイクでブキッラワンの町を見学
 ワワンがバイクでブキッラワンを案 内してくれるというので、2人で借りてきたバイクにまたがった。どこまでも続くパーム畑。国営のパームオイルなどを造る工場(残念ながら内部は秘密という ことで入れなかった)。ゴム畑は蚊だらけで閉口したが、ゴムを採るところを実演してくれた。
 スイカ畑では何人か若い男がいて、ココナッツジュースを飲んだ。そこら辺からココナッツの実を採ってきて、実の上部に穴をあけバケツにジュースを出し、 内側の白い部分をスプーンですくい取り、これもまたバケツにぶっ込む。仲間が買ってきた氷とブラウンシュガーを適当に砕きよく混ぜる・・・以上できあが り。これがまた旨いんだ!
 養魚場もあり、ゴルフィッシュという鯉のひれがとげとげになったような魚を養殖している。大きいものは80センチぐらいあるだろうか。日本のような観賞 用というのはないらしい。養魚場の横で魚釣りをしているおじさんがいる。小さいナマズやブルーギルのような魚を時々釣り上げていた。
 ワワンはバイクの運転もうまく、実に爽快な1日だった。


5/7
 割礼のパーティ
 ワワンの友人の弟の割礼のパーティがあるので一緒に来ないかと誘われ、参加す ることになった。
 夕方ワワンと2人でパーティー会場へ着くとまず家長の挨拶に行く。右手におひねりを握りしめたまま家長と握手をする。祝儀はこうやって渡すのだと事前に ワワンに教わっていた。にこやかに家長に迎えられ、弟の割礼のせいかやや興奮気味のワワンの友人に「よく来てくれた・・・」と堅い握手。会場は川の対岸に 舞台が作ってあり、食事が並べてあるこちら岸から眺められるようになっている。DJや司会者がマイクで会場を盛り上げている・・・さながら田舎のカラオケ 大会といった風情。しかし、はにかみながらおばちゃん達が舞台で踊っている踊りにもちゃんと意味があるのだそうだ。
 若い男達は、会場を抜け出し仲間の部屋へ行って、隠れて酒を飲む・・・・わたしもそちらに参加させてもらった。
5/8
 ワワンのジャングルハウス
 朝、 ワワンが自分のジャングルハウスへ招待するというのでついていく。かなり急な坂をよじ登ると、がけの上に大きな岩が2つあり、その上に家が建てられてい た。ちょうどジャングルとの境で、ブキッラワンの町を一望できる。遠くにはパーム畑が延々と続いている。
 ワワンはこのジャングルハウスにかける夢を次々と語った。もう一つの岩にデッキを作り展望台にする。まわりには蚊よけのハーブや柑橘類の木を植えて、将 来的にはゲストハウスにしてトレッキングツアーの拠点にしたい・・・などなど。今まで働いて貯めたお金をすべてつぎ込んでいる「あと3万円あればトイレと キッチンができて、母屋が完成するんだ・・・おまえ出資してくれないか?」彼の夢にほだされて、出資することにした。「いつ来て泊まってもいい・・・」こ うして私はブキッラワンに別荘を持つことになったのである。


 ワワンの友人の農園で昼食をとる。友人が持ってきた地鶏は「コ ケッ・・!」とかいって羽をばたつかせていたが、5分後には絞められ丸裸になっていた。というわけで今日もバーベキュー。手際よく火をおこし、鶏をバラバ ラにして焼いた。味付けはチリソース。昼間からウイスキー1本あけてしまった。焼いた地鶏は・・・するめみたいに硬く、噛めば噛むほど味が出てくるといっ た感じ・・・しかしこのチリソースは何にでも合うな・・・
 何かしたいことがあるかと聞かれたので、「釣りがしたい」というと「よーし行こう!この川にはでかいのがいるんだぜ、なかなか釣れないけどね・・・」と いって両手をひろげて見せた。

 先日行った養魚場のまわりが釣り場になって いる。 友人に釣り竿を借り、釣りを始めたが、なかなか釣れない。業を煮やしたのか、ワワンがいけすの中を指さし、ここにえさを入れて見ろ・・・いいの か?と思いつつ、目の前にいたでっかいナマズの前にえさを落とすと、バクッ!と食いついた!すごい引きでなかなかあがらない。「ヨッシーがんばれ!そこだ 引け!」などと周りの連中が応援する。やっとこさナマズも弱り、玉網ですくった。ひれが危ないので触るな・・・とのこと。養魚場主から魚を30000Rp で買い取り、みんなで食べることにした。宿近くまでワワンが魚をこれ見よがしにつり下げて行く。子供達が物珍しそうに近くに寄ってきてナマズを覗き込 む・・・
 日も暮れ、宿の近くの河原には数人の男が 集まり、バーベキューの準備。(毎日バーベキューしてるな・・・)魚は2つにぶつ切りし、チリソースにつけ込む。それを割った竹にはさみ、直火であぶる。 明かりはたき火とろうそく。ギターでみんな歌った。ナマズは脂がのっていて実に旨かった!やっぱりチリソースが大活躍。夜更けまで飲んで歌った。
 今夜はワワンのジャングルハウスで就寝ちょっと肌寒い。飲み過ぎかすぐに眠ってしまった。
5/9
 夜明け近く、猿の鳴き声で目を覚ます。ジャングルトイレ。ジャングルハウスの水道は上流の滝から何キロもホースで引いてきているのだそうだ。夜明けを崖 の岩の上で迎える。雲が厚く太陽は拝めない。そういえば、赤道に近づいてるというのに、曇りの日が多くタイのような強烈な太陽を感じないな・・・
 ジャングルハウスからトレッキングしながら下る。長ズボンをはいてなかったので蚊にやられた。振り向くと自分の足に10匹ぐらい蚊がたかっている。虫除 けのスプレーなど効かない・・・そうとう足を蚊に食われた。
 1時間ほどのトレッキングを終え、宿に戻り洗濯、そして昼寝。結構疲れていたのか、かなり寝てしまった。起きて、ここ数日分の日記を一気に書いた。
5/10
 
今日あたり出発しようと思っていたのだが、ブラスタギ行きのバスが無いという。明日なら出るそうで、もう1泊することになった。
 
午前中はチュービングで川下りして遊んだ。午後はサッカーの試合があるという。「ヨッシーも出るか?」と聞かれるが、いや観るだけにしと くよ・・・とサッカー場に向かった。
 メダンのチームを呼んで、賭け試合。負けたら、全額相手に持っていかれるらしい。山羊がうろうろしているグランドでキックオフ。しかし、都会のチームは やはりスマート。フォワードもすごくうまい・・・簡単に何点もとられてしまった。それにくらべ我がブキッラワンチームは野人の集まりといった風情。1人中 盤にうまい選手がいるが、あとは奇声を発しながら蹴って走る・・・みたいなサッカーをしていた。何とか1点を返すのがやっと。ワワンは終始キーパーで悪戦 苦闘していた。
5/11
 ブラスタギへ出発
 8:30AMのツーリストバスでブラスタギへ向かう。ワワンとアシュリも友人 宅を訪ねるとのことで、同行することになった。ガイド業をしている者は移動にお金がいらないらしい。
 ブキッラワンには、思わず長居してしまった。ワワンやその友人達のおかげで実に楽しく過ごせた。別荘もできたし。またいつか来よう・・・




1年後ワワンからメールが届いた。
「ブキッラワンの町に大洪水が起こり町が根こ そぎ流されて しまった、従妹とその子供もながされた。しかし、ジャングルハウスだけは難を逃れちゃんと建っている。義援金を送ってくれ・・・」というような内容だっ た。当時お金に余裕がなかった私は、「今はお金が無くて送れない・・・」との旨メールしたが、その後連絡はない・・・
いつかワワンとジャングルハウスに会いに、あ の町を訪れたいと思っている。
<<Medan       Berasutagi>>

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