お手軽度☆☆☆
●スズ合金 ●耐火石膏 ●ワックス ●るつぼ(ミルクパン) ●紙やすり
本格的な篆刻は別の機会に譲って、遊び感覚でハンコを作成してみましょう。
尚、鋳物ハンコを作るにあたっては”
日曜鋳物師のページ”おおみ様から
ご丁寧な指導をいただきました。
また、非常に高温の物を扱いますので十分ご注意ください。
鋳物材料は金や銀、プラチナ、青銅などが知られていますが、それらは
融解温度が高く(900度くらい)高価なものだったりしますので、ここでは
扱いやすいスズ合金(融解温度200度。300g1000円)で作成しています。
実際、るつぼやホーロー製ミルクパンに入れ、家庭用ガスコンロで
簡単に溶けます。青銅を使おうかとも思いましたが、これも融解温度が高く
技術の習熟がいるようです。
大まかに説明しますと。
ワックスではんこの原型作成。
↓
耐火石膏でかたどる。
↓
炭などで焼いてワックスを蒸発させる。
↓
溶けたスズ合金を流し込む。
↓
冷えて固まったらはんこのできあがり。
という行程です。
○ワックスやプラスチックなどで好きな形の原型を作成します。

歯科用のワックスが使われるようです。(クラフト店で1000円以下で手に入ります。)
ここでは暖めると柔らかくなるプラスチック(350円)を使ってみました。
今回の形は単純な円錐形で底面に文字を彫ります。
○印面にデザインして、不要部を切り取ります。

表面にサインペンで下書きして、カッターナイフで削り出しました。
”はなだ”という文字と魚の絵を入れてみましたが、ちょっと細か過ぎたようで、
もう少し単純なデザインの方が、出来上がった時見映えがいいかも知れません。
又、このプラスチックは硬くてちょっと苦労しました。やっぱり柔らかいワックスの方が
扱いやすいでしょう。
○石膏を水で溶きます。
蝋やプラスチックを蒸発させるために、高温に熱しますので耐火石膏を
ご用意ください。ここではハイストンC2というものを使用しました(350円)。
○石膏で鋳型を作成しましょう。

ヨーグルトやプリンのカップの4分の1くらいに石膏を流し少し固めます。

少し固まったら(5分くらい)その上にはんこのモデルを押し付けるように置き、
まわりを石膏で流し固めます(10分くらい)。
尚、石膏を流し込んだら柔らかいうちに、カップの底をトントンとテーブルに
打ちつけて、中に入っている空気を抜いておきましょう。
○プラスチックのはんこの原型を蒸発させます。
固まったらカップから取り出して、バーベキューコンロや七輪で焼いて
ワックスやプラスチックを蒸発させて中を空洞にします。家庭用コンロでは
なかなか温度が上がらずやきもきしましたが、炭で焼けばすぐに蒸発します。
ここで急激に温度を下げると、ひび割れてしまいますので十分気をつけてください。
○いよいよ合金を溶かして流し込みます。
合金をるつぼ(175円)やミルクパンで溶かします。このスズ合金の場合
200度で溶け出しますが、適温は240度とありますのでもう少し加熱します。

合金を流し込みました。ちょっと多かったみたいで溢れ出してしまいました。
ご覧のように酸化皮膜のせいでしょうか、金色に光っています。
石膏型は焼いたので、茶色に変色しています。
○冷えたら出来上がり。

じゅうぶん冷えてから手で石膏型を割ってはんこを取り出しました。
上部だけでなく、全体が金色に光っています。あふれ出た部分は削ってしまえば
いいんですが、形が面白いのでそのままにしました。
かすかにしか文字の凹凸が見えません。あ〜失敗?
○はんこをおしてみましょう。
出来上がり(14ミリ角)

冷えてからはんこをおしてみました。左はそのままの印影です。
これではちょっと読めないので、紙やすりで表面を平らに削ってみたのが右です。
隠れていた線が現われて、なんとかイメージどうりのはんこができました。
石膏型断面図
注:溶けた金属にも表面張力があるので、石膏型どうりの形にはなりません。
遠心式や加圧、減圧式の強制鋳造機?もあるようですが、表面を少し削ると
原型に近い模様が現われます。お試しください。
尚、スズ合金ですので200度という比較的低温で溶けてしまいますから、
烙印には適しません。烙印はタガネはんこをご利用ください。