アガサ・クリスティーはお好き?

ホワイトヘヴンマンション

Whitehaven Mansion

 そのうち、アガサ・クリスティーゆかりの地の旅を・・と思ってはいるものの、行きたい所がいっぱいで、なかなかトーキーまで足をのばす機会がない。この秋の旅行でも、ロンドン以外では、13回目にして初めてリヴァプールを訪れることに決めたので、またまたクリスティー尽くしの旅はお預けとなった。
 とはいえ、なんとか行けそうな所が1つ。TVのポワロシリーズで、ポワロが住んでいることになっているマンション。
 「テレビ版 名探偵ポワロ」(求龍堂)によると、クリスティーの小説では、ホワイトヘヴン・マンション、ホワイトフライヤー・マンション、ホワイトハウスマンション、といくつかの名前が使われていたが、TVシリーズでは、圧倒的な支持を得たホワイトヘヴンマンションという名前を使うことにした。運よく、チャーターハウス広場の近くにあるフローリン・コートが外装をオリジナルの状態に復元し終えたばかりで入居者を募集中だった。撮影スタッフは、入居者が入る前の週末、72時間を利用して、その後のシリーズに使えるようにと、さまざまなアングルからフローリン・コートを撮影した。こうして、ポワロの時代のホワイトヘヴンマンションを見事に作り上げたのだという。
 本来は、メイフェアにあるという設定だが、フローリン・コートはチャーターハウス広場にある。でも、とりあえずロンドンにあるのなら、時間的に行くことは可能だなー。"A Z"*を片手に探せば何とかなるだろう、とふんでいた。ただ、絶対みつかるという保証はない。不言実行で、みつけたあと、このHPで、実はホワイトヘヴンマンションに行ったんですよー、とご報告するつもりだったのだが、なんと私がロンドンに行くことを知った、このサイトのお客さまのひとりであるえみりんさんが、「密かにみつけたいのが、テレビに出てきた『ホワイトヘヴン・マンション』。ヨーコさん、もしロンドンでみつけられたら教えてください」とカキコしてくださった。マジ? 私の思惑を見透かされてしまったか・・。はっはっはー。
 「実は密かに探してみるつもりでした」「みつける自信バリバリなので、、期待して待っててくださいねー」
 公言した以上はみつけないわけにはいかないな。。

* "A Z"は、ロンドンの詳細な地図。用途に応じていくつか種類があって、私はミニ版を購入した。巻末に、膨大な量の索引がついていて、通りの名前やマンションの名前などから、それがどこにあるかを割り出すことができる。



 ロンドンに着いた翌朝のことだった。
 今回の旅でロンドンでの宿を提供していいただくことになった家のご主人のアランさんと話をしていたところ、何かの拍子に、「日本では、フラットとかアパートとかのことを何て呼んでいるのかい?」という質問を受けた。
 「アパートと同じなんだけど、"マンション"って呼ぶことが多いですね。でも、ほら、アガサ・クリスティーのポワロが住んでいたのもホワイトヘヴンマンションで、マンションと呼ばれていましたよねー」と私。すると、アランさんが、「そうそう、娘が以前、あのTVシリーズで使われたマンションに住んでいたことがあるんだ」という。「えぇ、ほんとですか?! 実は私、そこに行ってみようと思ってたんですよー。どこにあるんですかぁ?」 すっかり舞い上がってしまった私であった。
 アランさんは、1枚の絵葉書を見せてくれた。モノクロ写真で、なんともクリスティーチックである。
 その娘さんは昨年結婚してしまって今はもうそこに住んではいないが、実はまだ鍵をもっていて、近々売ろうと思っているのだという。「今も住んでいたなら、中を見せてあげられたのにねぇ・・」と奥さんのブレンダさんが言った。
 なんてラッキー! 話が出たのも何かの暗示にちがいない。早速、最寄の駅の名前を聞いて、友のTsukasaさんにつきあってもらって、その日、早速でかけてみることにした次第。
 Clapham下車。駅から2,3分だよ、という言葉を頼りに、駅にあった地図で場所を確認。ユーストン駅で購入した"A Z"を頼りに探し始めたところ、すぐそれらしき建物が目に入った。
 「あれじゃない、あれだよ」。車の流れを気にしながら、対岸に渡った。
 いまにもポワロが出てきそうな由緒あるマンションである。

Du Cane Courtは、デビッド・スーシェがポワロに扮するTVシリーズの「プリマス行き急行列車」の冒頭シーンで登場する。
大富豪であるハリディ氏の娘、フローレンスが住んでいるという設定になっており、彼女の夫が尋ねてくるシーンで、まさにこのエントランスが登場している。
ここを訪れた当時は、どこでこのマンションが使われたのかわからず仕舞いであったが、
最近、ポワロ関連のサイトを運営する今竹春彦さんから、「プリマス行き急行列車」の回に登場していることをお知らせいただいた(2004.12.12更新)。

 「でもさー、私の記憶にあるのとはちょっと違うんだよねー。たぶんここも、ロビーとかが使われたんだと思うけど。もっと金色に輝いているような、そんな建物なんだよなー」。
 私は、ゴソゴソと旅のノートを取り出して、日本を発つ前に、「名探偵ポワロ」から抜書きしておいたキーワードをチェックしてみた。

 チャーターハウス広場は古くからセント・バーソロミュー医学学校の裏手、古ぼけた建物群からなる長方形のスミスフィールドからほど遠くない場所
 チャーターハウス広場の北側の一画


 そこで、まず、"A Z"でフローリン・コートを探してみた。ロンドンブリッジ駅からほど遠くない所にあるらしい。ノーザンラインに乗って、ロンドンブリッジを目指しながら、電車の中で、念のため、今度はチャーターハウス広場を探してみた。こちらはバービカンが最寄り駅のようである。うーん。どちらにすべきか? 私は迷わず、チャーターハウス広場を選択した。チャーターハウス広場は由緒ある場所らしい。"A Z"には載っていなくても、もう1つのフローリン・コートはそこにあるはず!!
 Moorgateで乗り換えバービカンに行くつもりだったのだが、その日、バービカン駅は閉まっているとのこと。Moorgateで下車して、チャーターハウス広場を目指した。
 どれだけ歩いただろう。"ロンドン 旅行マップ"によれば、もうすぐチャーターハウス広場にたどり着くはずであった。
 そのとき、すぐそこの右手側にホワイトヘヴン・マンションが姿を現すであろうという予感ふつふつとがした。
 右手に広場が見えてきた。。ビンゴ!!
 ホワイトヘヴン・マンションは、私が思い描いていたように、金色に輝いてはいなかった。プロの技を使えばこのマンションが黄金色に輝くのか、はたまた多少の画像処理がなされているのか? でも、それはまさしく、あのホワイトヘヴン・マンションであった。
 チャーターハウス広場を一周して、ホワイトヘヴン・マンションに近づいてみると、入り口には、確かに"Florin Court"の文字があった。


 翌朝、アランさんとブレンダさんから、昨日はどこに行ったの?、と聞かれ、ホワイトヘヴン・マンションに行った、と伝えると、もう行ったの?、と驚かれた。
 実は、ご夫婦で、娘さんに中を見せてもらえるよう頼んでみようか、なんて話をしてくれていたらしい。「もう行っちゃったのなら、その必要はないわね」。
 どうやら、私たちは、もう1つのホワイトヘヴン・マンションの中を見損ねてしまったらしい。

アガサ・クリスティーはお好き?

エルキュール・ポワロはお好き?
シリーズ 1 (1989)
シリーズ 2 (1990)
シリーズ 3 (1990-1)
シリーズ 4 (1992)
 ※作成中
シリーズ 5 (1993) ※作成中
シリーズ 6 (1995-6 ) ※作成中
シリーズ 7(-2000) ※作成中

(2003.10.29、2004.12.18修正)
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