第18回 : イタリアのオンライン・ユニオン・カタログ(1)
画面にイタリア語が出てくるので、敬遠していた目録があります。イタリアの国立図書館や地域の大規模な図書館、大学図書館などが、1992年から共同でオンライン目録を作り上げていたのです。参加している図書館の数は300以上あるそうです。これがICCU(Istituto Centrale per il Catalogo Unico)です。
ホームページにつないでみると、動きが重く感じられるかもしれませんが、そこは致し方ありません。さっそく覗いてみましょう。こちらです。
http://opac.sbn.it/
トップページが出てきますね。ロゴの下にある、OPAC dell'Indice SBN(http://opac.sbn.it/cgi-bin/IccuForm.pl?form=WebFrame)の箇所をクリックしましょう。
Modulo di Ricerca Base ("基本検索モード"とでも訳しておきましょう)の画面に切り替わります。最初に、この画面の構成について触れて、具体的な検索方法は、そのあとでご説明します。
■ Ricerca Base画面の構成
画面全体は3つのフレーム(枠)で仕切られていて、画面にドーンと大きく見える箇所が
Ricerca Base です。その下のフレームは、検索結果を表示する際の「配列」「表示件数」「表示形式」を選ぶ箇所です。左端のフレームを見ましょう。この場所には
Ricerca Base の文字が太字で目立っていますが、その下を見ると、
Libro Moderno | Libro Antico | Musica
と薄い文字が見えることと思います。このいずれかを選んでクリックすると、基本検索モードと異なる検索画面に切り替わるのです。検索画面の中に認められる赤丸、青丸の意味は、検索方法を説明するときに触れましょう。
以上が、画面のフレームについてです。
■検索方法(1)
「基本検索」画面を注目してください。
検索項目とそれに対応する白地の検索ボックスが一まとまり。そこにコトバを入力して、右側の「cerca」とボタンをクリックするだけです。イタリア語になじみのない方(私自身がそうです)のために、イタリア語と日本語を対照しておきましょう。
◆検索項目◆
Autore ――― 著者
Titolo ――― タイトル
Soggetto ――― 件名[英語ではSubject]
Classificazione ――― 分類
Numero ――― 数字
Descrizione ――― 記述
Tutti i campi ――― 全フィールド
◆画面右
cerca ――― 検索
著者の項目は「姓、名」の順です。姓と名のあいだはカンマを入れてもいいし、スペースでもいいです。
■検索方法(2)
実は、もう少し違う検索方法も残されています。
たいていの検索項目の右には、青丸と赤丸があります。青丸が[複数の語からなる]フレーズ、赤丸が単語を意味します。
たとえば、著者(Autore)の項目に「v erdi」と入力して赤丸をクリックすると、Verdeyenの次にVerdiが見出せます。本当に単語単位で並んでいるのがわかりますね。同様に入力して青丸をクリックすると、それこそ大勢のVerdiさんがズラリと並んでいます。有名な作曲家は「Verdi,
Giuseppe」(792件)と「Verdi, Giuseppe <1813*1901>」(4311件)の二つを見てみるのが良さそうです。このようにして、姓名を正確に入力はできないが、出てきたリストを見て「ああ、これだ」とわかりそうなときには有用だといえるでしょう。
青字の部分をクリックすると、自動的に検索を始めてくれます。
■検索結果(1) ― リスト形式
検索の結果がある場合は、まずリスト形式で表示されます。この際、下のフレームを先に決定しておくといいかもしれません。
Ordinamento(配列)は、Autore(著者順)、Titolo(タイトル順)、Data(年代順)、Classificazione(分類順)のいずれかを選べますし、空欄のままにしておくこともできます。空欄のままだと、出てきたデータを見ていくこととなります(それでかまわない時もあるでしょう)。
Max Documenti(最大表示件数)も、20件、30件、50件、100件、tutti(すべて表示)からクリックして選びます。多ければいいかというと、これが一長一短。あとで触れます。
Formato Scheda(表示形式)は、SUTRSとISBDの2種類。どちらも左に項目名が表示されますから、お好みでどうぞ。
リストの上部に、<Visualizza Tutto><Visualizza Selezione><Raffina
la Ricerca>という3つのボタンがあります。
リスト自体は、No.の項目に小さな四角いボックスがあり、その下に”何分のいくつ”にあたる表示があります。ボックスをクリックすると「レ点」が打たれます。こうして選んだデータだけを詳しい表示で見たいときには<Visualizza Selezione>をクリックします。そんなの面倒、ぜ〜んぶ詳しい表示にして見たい、という方は<Visualizza Tutto>の方をクリックします。
仮に300件の結果が得られたとします。<Visualizza
Tutto>をクリックすれば1件目から最後まで、すべて詳しい表示へ画面が切り替わります。さて<Visualizza
Selezione>を使いたい場合、このボタンは、その時表示されている画面に対してだけ有効となるのです。ですから、最大表示件数を何件に設定すれば使いやすいか、その場で判断を迫られます。いつだったか、2000件前後の結果を得たことがありました。最大表示件数を<tutti>にすると・・・、そう、実際に選択した詳しい表示画面を呼び出して見るまでには、相当の時間がかかることを覚悟してください。
表示件数が多すぎて、もう少し絞り込んで検索したいという時は<Raffina la Ricerca>をクリックします。基本検索モードとは異なる画面が出てきますから、項目を選んで入力をしましょう。
■検索結果(2) ― 詳しい表示
ここでは、SUTRSという表示形式が画面に出たときを想定し、いくつかイタリア語と日本語を対照させながら話を進めましょう。
Livello bibliografico ――― 標準の書誌レベル(図書館のギョーカイ用語です。右側には、単行書とか逐次刊行物など、目録を作る「記述対象」と言われるものが書かれています。)
Tipo documento ――― 資料の種類
Pubblicazione ――― 出版に関する事項(出版地、出版社、出版年など)
Descrizione fisia ――― 形態に関する事項(ページ数、大きさなど)
Note al Cast ――― 配役に関する注記(驚くなかれ、オペラの配役とその役の声域!!!!)
などなどです。青い字の部分は、もちろんクリックすれば別の画面へ導かれ「へえー」という発見につながることも多いと思われます。
さあ、この辺りで一度ためしていただくのが良いと思います。
スパゲティとカンツォーネの国イタリアは、やることがどこか大雑把だというイメージがありませんでしたか?
私自身は、そうした偏見がありました。しかし今回こうして検証してみると、たいしたものですね。
近々、今回の続編として、もう少し具体的な検索例をごいっしょに見ていければと考えています。それまで少し時間を貸してください。
【2000年3月9日記】
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