第13回 : RISM Online <その3> Libraries Directory(1999年9月30日)

RISM Online全般に言えることを一つ述べておきます。検索項目によっては自分の思ったコトバを入力して「検索」しても、No Recordと突き返されてしまうことがあります。そういう時は「検索(search)」機能を使わずに、迷わず「ブラウズ(browse)」機能を使いましょう。ブラウズ機能は、自分の想定したコトバが表示されるコトバのリストにあるかどうかで判断ができますよ。前回取り上げたLibretto Databaseの件名などそうすることで探しやすくなりますし、今回の話でもそうした方が探しやすい検索項目があります。

Libraries Directory
http://rism.harvard.edu/cgi-bin/zform.CGI?RISMLibDir

使い方

◆ 検索項目を選びます(▼をクリックして、任意の検索項目をクリックします)
◆ コトバを入力します
◆ 検索(search)かブラウズ(browse)かを選びます(submit searchボタンの下)
◆ 一画面に何件のデータを表示するか選びます(submit searchボタンの右側)
◆ submit searchをクリックします
◆ リストが表示されます
◆ 詳しく見たいデータを見つけたら、Record No.の箇所をクリックします

使い方の補足

● 検索項目"City"の入力方法は、たとえばMilanoでもmilanoでもOKです。
● しかし"Country"にRussiaと入力して「検索(search)」しても結果は出ません。「ブラウズ(browse)」にしてやり直しましょう。リストからrusがロシアじゃないかと想像できます。そこをクリックすると、案の定です。
Library Signum(図書館の略号)は、国名と都市名のあいだを−(ハイフン)でつなぐと、結果は出ません(冊子ではこれが決まり事みたいですけど)。必ず、1スペース空けます。
● 時々、Library Signumを正しく入力しても結果が導けないことがあります。そんな時は国名を「ブラウズ」で探していく方法をとるといいと思われます。

コメント
これは、もちろん音楽の資料を所蔵している外国の図書館の住所を知りたいときに有用です。
ちなみに"New Grove Dictionary of Music and Musicians"で作曲家を調べて作品表を見ていくと、世界各国の図書館の略号が出てくることがあります。これはRISMの図書館記号です。
プッチーニの『三部作』を例に取りましょう。該当の作品表には「autograph Mr 」とあります。オペラの作品表の1行目には「I-Mr」とあり、2行目以降のオペラでは単に「Mr」です。「I-Mr」とは、

I →→→ 国名イタリアに与えられた略号
- →→→ 国名と都市名をつなぐ印(ハイフン)
M →→→ 都市名ミラノに与えられた略号
r →→→ Archivio Storico Ricordi(Casa Editrice)に与えられた略号

という構成になっているのですが、先ほどの作品表の2行目以降は国名を省略しているわけです(繰り返しますが、ハイフンは冊子の約束事)。住所まで知るには、図書館のディレクトリだけでCシリーズを刊行してるRISMの刊行物でもわかります。ただ、冊子の刊行物は、頻繁にデータの変更に対応することができません。

たとえばロシア(旧ソ連)の図書館を調べてみます。
1980年に刊行された"New Grove Dictionary of Music and Musicians"当時は、ソ連があった時代です(ちなみに日本語版もこのデータを引き継いでいます)。
USSRのKAという図書館は、
⇒⇒⇒ Kaliningrad, Oblastnaya Bibliothekaだと書いてあります。
現在はどうなのだろうと思って、ロシアのKAという図書館を調べると
⇒⇒⇒ Kaliningrad (=Konigsberg). Oblastnaja universal'naja nau?naja biblioteka と出てきます。やはり、こうした変化に対応するにはインターネットが有利です。

とはいえ、その利点を活かしきれない欠点も時折見うけられます。
検索項目"City"にTokyoと入力して結果を見ていきます。42件のデータを見ていくと、遠山音楽図書館のように日本近代音楽館に生まれ変わった図書館が四半世紀前の住所のまま出てきますし、南葵音楽文庫もやはり四半世紀前の住所です(注には東京音大の名が見うけられますが、これも過去の話です)。インターネットはネットワークの力を生かすものだとすれば、この辺りの改善は課題だと思います。

さて、3回にわたってRISM Onlineを取り上げました。本当はもう一つBibliographic Citations Databaseが残っているのですが、今回は割愛します。
私がRISM Onlineを知ったのは、音楽図書館協議会のホームページででした。リンク集をあけると、音楽図書館員必見というコーナーがあって、その中に見出したのです。でも、RISM Onlineは音楽研究者や演奏家、音大生、音楽を深く知ろうとする皆さんにとって役立つものだと思っています。

皆さんも一度ためしてみてはいかがですか?


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