第199回: 道東の旅 2005 (2005年9月1日)

9月になりました。すでにだいぶ時間が経ちましたが、8月に釧路を訪ね(3度目)、「北方の鼓動」の皆さんとお会いするなどして充実した時間を過ごしてきました。7日から9日まででしたが、8日には知床を案内していただいたりもしました。世界自然遺産に登録されて間もない時期でしたから、さぞかし混雑することを覚悟していきましたが、さてどうなったことやら。まあ、あまり焦って話を進めずに、日を追って写真などご覧いただきながら、ご報告といきましょう。

 8月7日(日) 

10時30分ころ釧路空港に到着。この日、釧路市内は年に一度の「港まつり」の最終日で、目抜き通りは自動車の規制などもあり、案内してくださるMさんからは釧路市の近場を見ながら気ままに行こうと提案があり、そうすることにしました。そういうわけで、まず阿寒町で行われていた「ひまわり祭り」を覗きにいきました。そのうちの1枚が下の左の写真です。なかなかの見応えで「ああ、夏だ!」と実感しました。

東京と釧路では最高気温が約10度は違うと涼しさを期待して釧路入りした私だったのですが、それが意外と気温が高かったのです。阿寒町で寄ったレストランの入口に温度計があって、見ると正午ごろで30度を超えていました!! 東京から行った人間からすれば、それでも湿度がうんと低いので身体にまとわりつくような湿気を感じなくて済みました。一方、地元の皆さんは、これだけの暑さは滅多に体験なさらないそうで、いくら湿度が低くても参ってしまうと仰っていました。なるほど、と納得。


        


その後は釧路の近場を少し見たりしましたが、夏の北海道とはこういうものなのかと思わせる青空が広がり、一昨年に訪れたときのあいにくの天候を思い出して苦笑いをしてしまいました。そして、久しぶりに何人かの皆さんとお会いしてゆっくり話す時間をもちました。


 8月8日(月) 


8日は知床行きです。。天気がどうなるかが気がかりでし
たが、あまり心配いらなかったみたいです。朝6時より少し
前に釧路市内を車で出発。約3時間後、知床の斜里町を
通過して、オシンコシンの滝に到着しました。国道沿いに
あるのでわかりやすいでしょう。車を降りて近くで見ていく
ことにしました。身体に降り注いでくる水しぶきが何とも心
地よかったです。

その後、しばらく車で行くと、シャトルバスの乗り場に到着
です。朝早く行動を起こしたせいでしょうか、思ったより混
雑はゆるやかだったように思います。でも、これが30分出
遅れていたらわからなかったとは案内していただいたMさ
んの弁。たしかにそうに違いありませんでした。で、ここか
ら先は、知床自然センター、知床五湖、カムイワッカの滝な
どを見て回ることになるのですが、シャトルバスでないと乗
り入れができないのです。バスに乗ってしばらくすると、オホーツク海に突き出た岸壁が筆舌に尽くしがたい絶景(恐らく、この日一番の)。見とれてしまって、写真は撮りそこなってしまいました(汗)。

知床自然センターで下車し、そこから知床五湖へと歩いていけます。さいきんは、熊が多く出没するということで、三湖から五湖までの3つの湖は、立ち入らないように言われていると聞いてでかけたのですが、私が行った8日には、その種の規制はありませんでした。ただ、バスガイドさんから、もしも熊とフィス・トゥ・フェイスで出くわしてしまったら「大声を出さない」「写真はご遠慮ください」「背中を向けて走って逃げない」という3点の注意を受けたうえで、熊の目を見たまま一歩一歩ずりさがってくるように言われたのでした。話の前半は、要するに熊を脅かすなということと、走って逃げようとしても熊が走る速度が時速60キロメートルほどなので、たいていの人は逃げ切れないだろうということを言っているのでした。後半のずりさがりも、想像するに、こうすれば絶対助かるとまでは言っていなかったと思いますから、逃げ切れる可能性の一番高い方法を言っているのでしょうね。

さて湖の話に戻りましょう。5つの湖を全部回ると90分ほどかかるらしいのです。そこまで時間をかけるのはちょっと惜しい気がして、はじめの2つを見て回りました。下の写真の左が一湖、右が二湖です。知床のこれらの湖は地下水が地表が薄くなっている箇所から湧き出てできあがったいるそうです。もともと、この周辺の土地は、固い岩盤(水を通さない)の上に知床硫黄山の山崩れによって運ばれてきた溶岩の塊が堆積してできているといいます。そして、2つの地層のあいだに、さきほどの地下水が流れているというわけです。それにしても、絵はがきを見ているような美しさでした。

     


二湖から徒歩で知床自然センターまで戻りました。帰ってきてから気付いたのですが、このセンターには熊よけの鈴が貸し出し中と表示が出ていました(有料か無料かまでは確認してきませんでした)。もう1ヵ所、湖に行く反対の方向を見ると展望台があるのです。そこからはどんな風景がみられるのだろうかと行ってみると、これがまたなかなか良いのです。そのうちの1枚が下の左側。

展望台から自然センターへ戻り、またシャトルバスに乗り込みました。終点の知床大橋からどんな風景が見られるのだろうかと興味があったのですが、残念ながら崖崩れだったか落石だかの危険があるため、終点までは行けないというのです。そこで、少し手前のカムイワッカの滝で下車しました。その滝が右。足に自信がある人は、この滝を歩いて上り、温泉になっている滝つぼ(上中下と3ヵ所あるんだそうです)につかることもできます。ちょっと足の膝に痛みを感じていた私は、滝を上っていくことを断念してしまいました。


     


さて、シャトルバスの始点まで戻り、その足で知床峠を越え羅臼へ。下の左の写真は、マッカウス洞窟のひかりごけ。かなりわかりにくいとは思いますが、ひかりごけは、中央に「ひかりごけ」「↓」と書いてある真下ではなく、そのやや左下の方に薄いグリーンの斑点みたいなものが見てとれないでしょうか。それがひかりごけで、ちょっと角度がずれると、もう見えません。

右側は羅臼の海。この土地の名産、昆布が見えています。


     


この後、標津で昼食。そして中標津を通ったときに養老牛(ようろうし)という温泉場があるというので寄ることにしました。3件のホテルがあるのですが、そのうちの1軒が時間に関係なく、一人500円で温泉に入れてもらえるようになっていました(時間が合えば入れるホテルもあるみたいです)。私が入ったところは内風呂(っていうのかな)と川沿いの露天風呂が用意されていて、ちょっとムシに喰われますけれど川風に吹かれながら露天風呂というのはとても気持ちよかったです(女風呂の方に露天が用意されているかどうかまでは不明です)。

こうして夕方6時過ぎに釧路に戻ってきました。夕食は幣舞橋の「ムー」と呼ばれる市場の裏で営業されていた「岸壁ろばた」で取りました。真夏ですが、夕方の川べりは涼しい風も吹き、炉端もいいものでした。何軒火の店が軒を並べ、買い求めた金券を持って「これは!」と思う魚介類(肉類も少しありました)を選んでいくのです。釣り銭が出ないのでさいしょ少なめの購入し、少しずつ金券を買い足していくのがいいみたいです。さすが釧路、魚介類は新鮮で安く美味。店の対応は、適当に放っておいてくれるのですが、ここぞという時は、たとえばホタテを切ってくれたりして、実にいいサービスをしてくれました。


 8月9日(火) 


   
 楽しい時間は、あっという間に過ぎていきました。前日、朝 早くから行動を開始したこともあって、この日は少しゆっくり と起きました。ホテルの朝食(バイキング)がまた美味。
 
 さて、釧路といえば湿原、その釧路湿原を見るポイントとし て私が気に入っているのは、釧路町にある細岡展望台で  す。今年は、左のような写真になりました。









展望台を見た後は、ビジターズラウンジに寄るのが定番のコース。これといって変わったところはないのですが、落ちつける場所です。そのビジターズラウンジの片隅に、シマリスが餌付けされていました。正面を向いた瞬間(下の左)と横を向いた瞬間(下の右)をデジカメに収めました。2匹いるわけではありませんので、念のため。それにしても、かわいいですね。


     


今回の道東の旅で食べた一番特徴のあるメニューは下の「ザンタレ定食」。肉や魚の唐揚げのことを釧路の方では「ザンギ」というのだそうですが、昼食で寄った「南蛮酊」(釧路町遠矢1 電話 0154-40-3117)は、鳥のモモ肉を唐揚げにして、そこにタレをかけて食す「ザンタレ」とその定食を編み出した店として有名なのだそうです。出された「ザンタレ」を見た時は、こんもりと山のように盛られていて(大げさに聞こえるかもしれませんが、本当に目を丸くして驚いてしまいました)、さて、全部食べられるかなと不安を覚えました。しかし、じっさい食べてみると、あら不思議、コロモはさっくりとして脂っこくないし、肉もたくさんある割には胃にもたれるようなことがありません。量は多いのですが、どういうわけか箸が進みました。いっしょに食べていたMさんは、早い時点で降参したのですが、どうやらよくあることらしく店員さんが「包みましょうか?」と聞いてテイクアウトの準備をしていました。さらにMさん、店員さんに「この定食を食べきる人はどのくらいいますか?」と聞いているじゃあありませんか。「あまりいらっしゃいません」というのが答えでしたけれど、そのやりとりを聞きながら、私はラストスパートにかかっていました。そうです、完食しちゃいました(ちなみに「ザンタレ」単品で840円、定食は315円プラスです)。間違いなく、思い出深い食事になりましたね。





思い出せば、ほかにもまだまだあるのですが、この辺にしておきましょう。また来られたらいいなと念じつつ、その日の夜、帰京しました。



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