第175回 : 西武池袋線の脱線事故(2003年10月5日)

10月を迎えました。朝晩には少しひんやりとした空気を感じられるようになり、心地よい季節になってきました。9月には私が通勤で使っている鉄道で脱線事故があって、帰宅のときにあおりを食らったり、別の日には震度4の地震があったりもしたのですが、その数日後には北海道で大地震が起きたりしました。ほかにも思い起こされることがらはあるのですが、今回は、電車の脱線事故についてメモを残しておくことにします。

9月16日、西武池袋線で脱線事故が発生しました。原因は、踏切が閉まった短い時間を利用してトラックの運転手が飲み物を買いに出たことです。もちろん、ブレーキはかけていたつもりだったそう(!!)ですが、実際には、しっかりブレーキがかかっていなかったらしいのですね。トラックが踏切に突っ込んで電車に衝突、その電車の先頭車両が脱線してしまったというわけです。事故発生は午後4時30分頃のことだったといいます。そして、池袋−所沢間は全面運休となりました。

その日、勤務を終えた私は、いつもの「玉川上水−小川−東村山−所沢−(途中、1回乗換)−江古田」というコースで帰宅するつもりでした。小川までの車中で事故の件を知った私は、とりあえず東村山まで行って10分ほど少し様子をみたのです。しかし池袋線開通のメドについては全然触れられませんでしたから、長居は無用と、私は普段と逆のコース、つまり西武新宿線で高田馬場へ向かいました。

高田馬場に着いたその後が問題です。山手線で池袋へ出て西武有楽町線で新桜台まで行ければベストなのですが、落ち着いて考えてみれば西武有楽町線が動いているかどうかも定かではないのです。改札の一角で、振替用切符を配っていた駅員さんに目的地を告げると、西武新宿線中井駅まで行きそこから大江戸線に乗り換え新江古田まで行くのはどうか、と言ってくれました。いつも以上に混雑し、私たち乗客も苛立っている時に、この駅員さんはすばやい判断と的確なアドヴァイス、しかもソフトに対応してくれたのですから好感をもちました。

中井駅に着いた私は、大江戸線に乗り換えましたた。その時、もらった振替用切符が有効になります。この切符は、厚手の紙でできています。大江戸線の改札で私の前を歩いていたご婦人が、その切符を自動改札に通してしまったのです(ふだん券売機で買う切符と違って厚い紙でできた切符ですから、機械にとって不都合があるのでしょうね)。とたんに、有人改札にいた駅員さんの一人が「厚い紙の切符を入れちゃったの? なんで、そういうことするの?」とそのご婦人を責めたのです。ふだん券売機で買う切符は裏面が黒くて薄く、磁気を読み取るようにできているのでしょうが、今回の切符はそうでないわけですね。余分な仕事が増えてしまう駅員さんにしてみれば、カチンとくる行為だったのかもしれませんが、そこは普段と違うコースで目的地に向かおうとしている乗客のことです、そこまで頭が回らないこともあるよなあと同情してしまいました。その時の駅員さんの口調がきつかったものですから、なにもそんな言い方をしなくてもいいのに、と思ったしだいです。

あとで知ったことですが、ひとたび脱線事故が起きると、1時間や2時間で復旧できるものではないのだそうです。このことは、池袋駅の駅員さんから教えてもらったという人から聞いた話の受け売りです。でも、考えてみれば、電気を止めて、重たい車体を線路の上に戻して、運転を再開しても安全かどうかを確認して、とまあ素人が考えてもこうした手順を必要とするわけですから、相当の時間がかかっても不思議はないわけですね。ちなみにその日、西武池袋線の運行が再開されたのは、午後11時30分ころのことでした。


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