第129回 :  カフェ・ド・トレボン開店20年!!(2001年12月29日)

master西武池袋線の江古田駅の近くにある、一つの喫茶店が今月21日で開店20年を迎えました。江古田は大学が3つもある街ですが(それとも、それ故にか・・・)、ここで長く飲食店を営んでいくのは、意外に難しいことのようで「あれ? このあいだまであったのに」と思うことが時々あるものなのです。そんななかで、私がよく行くカフェ・ド・トレボンが開店20年を迎えました。おめでとうございます。

行ったことのない方へ簡単に道案内をしておきましょう。江古田駅北口の改札口を出て、右手の階段を降り、少し歩くと果物屋さんがあります。その道を渡ってまっすぐ行くと日本大学芸術学部。ここを渡らずに左手に曲がります。少し行くと「牛角」があり(看板は建物の2階のほうに付いている)ますが、カフェ・ド・トレボンは同じ建物の2階にあります(看板は1階のほうに−−笑)。あ、忘れてました。電話番号03-3958-9201です。

きょう、私は、ここでターキッシュ・コーヒー(トルコ・コーヒー)を飲みながら、息抜きの時間をすごしてきました。これはコーヒー豆を普段以上に細かく、よ〜く挽くのです。写真に収めたのですが、実はカップの底にコーヒーの粉が沈んでいて、上澄みを飲むのですね。とはいっても、コーヒーの粉が、いくぶん口の中に入ることは避けられず、それは構わず飲んじゃいます。そのドロッとした感じが嫌いな人もいるようですが、慣れてくると大して気にもならず、私はたtakisshuまに手を出します。ときどき、コーヒーを扱った図書などで「トルコ・コーヒー」と目にすることはあるでしょうが、本当に扱っている店は、さほど多くはないんじゃないかと想像しています。

ところで、私がこの店に出入りするようになって、16〜17年経ちます。初めてこの店のコーヒーを飲んだ時、一言でいえば味の濃さにビックリし、少し大げさに聞こえるかもしれませんが、ある種の衝撃を受けたことを今でも思い出すことがあります。すんなりと受け入れられる味というのではなかったと思うのですが、不思議と惹きつけられて行くようになったのです。それにしても、なぜだったのでしょうね?

たぶん大きな理由は「豆」とコーヒーの「作り手」(つまりマスター)に求められるようです。「豆」は、3年ほど寝かせてコーヒー豆に含まれる水分をとばしたオールドビーンズを用いるため、飲んでいるうちに酸味が強くなるといったことがないのだそうです。なんでも喫茶店を出したいと考えていた当時のマスターが、この豆で入れたコーヒーを偶然飲んでその味に驚き、ぜひ同じ豆を使ってコーヒーを入れたいと思うようになったとのことでした。

開店当初から比べると、お客さんもこの店の味に馴染んだのでしょう、なんでもコーヒーをストレートで飲む人が増え、備え付けのミルクや砂糖の使用量がめっきり減ったそうです。なんのことはない、私もその一人です(笑)。考えてみれば、コーヒーもお茶の一種、煎茶にミルクや砂糖を入れないことを思えば、ストレートってコーヒーのごく自然な飲み方だと思いますが、いかがでしょうか?

iburikku3番目の写真はイヴリックと呼ばれる器具です。コーヒーを温めたり、蒸らしたりする器具だそうで、この店では、飲む直前に、この器具で熱くしたコーヒーを出してくれます。左端が4人用、真ん中が一人用、右端が2人用です。もっとも多く使われる一人用は、取っ手の握りの部分がごく僅かしか残っていませんね。これらは、いずれもドイツ製で、たしかスズと亜鉛の合金で、国産のものよりやや肉厚で熱の回りが速く、さめにくいということだったと思います。こうしたモノに対するこだわりも(普段は、まったく気づかないのですが)どこから来るのでしょうね?

「作り手」であるマスターは、季節や天候も頭に入れてその日のコーヒーを美味しく入れるための湯の温度を微妙に高くしたり低くしたり調整をして、味を整え、お客さんに出すといいます。先ほどの器具に対するこだわりも、おししい味が出る豆を使って、いい状態で提供したいという、そうしたところから来るこだわりに違いありません。そして最後は、自分の舌で味を確認するしかないといいます。こればかりは、マニュアルを作ればよいという領域ではないので、まさに職人技ですね。


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