第117回 : ご機嫌なCD『月にうかれて』(2001年8月27日)

8月の半ば、ひょんなことから知ったCDを探しに行きました。大きなCDショップのJ-POPのあたりを一当たり見ましたが無く、念のために店員さんに聞いてみたら、パソコンで確認してくれて「ジャズのコーナーに在庫しています」とのこと(ここで最初のビックリ)。そしてジャズ・コーナーまで案内してくれて、そこの店員さんにバトン・タッチしましたが、アルバム名を告げると、「ああ、ハイ」といってすぐに取り出してくれました(2度ビックリ)。帰ってからこれを聴いてみると、なんとも洒落たCDでした。というわけで、ご紹介したくなりました。

アルバム・タイトル  月にうかれて
アーティスト  八木のぶお
発売会社  発売番号  ヴィレッジ・レコード  VRCL-3020
価格  ¥3045(税込み)
収録曲
タイトル 作曲者 タイム
1. 鳥・風・楽団 N.Yagi 3'47"
2. ゆっくりおいで N.Yagi 6'08"
3. 月はやっぱり Y.Noguchi, N.Yagi 7'32"
4. チャンドラコート飛行編隊 N.Yagi 5'40"
5. 通りゃんせ 童謡 2'45"
6. 月にうかれて music and words : N.Yagi 8'10"
7. WHAT NOW MY LOVE G.Becaud 7'26"
8. GATOR WHALE S.Philips 3'05"
9. ELUZA RUE N.Yagi 6'44"
10. シュカ・カッカカ N.Yagi, H.Sugawara, M.Tanaka, R.Furusawa 0'57"
上の「アーティスト」の欄には、八木のぶお(ハーモニカ)一人の名前を書きましたが、須川 光(キーボード)、田中まこと(ギター)、古澤良治郎(ドラムス、パーカッション)らが参加しています。このCDは、理屈ぬきに聴いて楽しいです。ホッとする曲もあれば、ちょっと軽快でいいものもあります。たとえば1曲めの《鳥・風・楽団》は、八木のぶおがハーモニカ、バードコール、風の音、エレクトリックピアノを一人4役でこなして多重録音しているのですが、なんともゆったりした気分にさせられます。地上の楽園を思い描いて書いたのだろうかと想像したら、生まれ育った土地の公園を想ってのことだそうです。かと思えば、《月にうかれて》は、唯一、歌詞の付いた作品で八木はヴォーカルも受け持っています。さらにオリジナル作品だけにとどまらず、これまでに共感をもって演奏してきたナンバーを数曲収めているのも嬉しいですね。G・ベコーの曲など、メロディを聴けば「ああ、この曲!」とわかる人たちは多いだろうと思います。もとはシャンソンだったこの曲を、レゲエのビートにのせて演奏しているのです(・・・と解説に書いてありました)が、聴きおぼえのある曲が、とても新鮮に聞こえました。

CDを聴きながら、ジャケットを取り出して見てみましょう。高〜い木と月が描かれていて、木の下では、人々が車座になり、その中で踊っている人間が二人。動物も描かれていて、これだけでもメルヘンの世界に誘い込まれてしまいそう。八木自身の手になる曲目解説も読みましょう。共同作品の場合は、その曲の来歴が正確に書かれていますし、グループのメンバーの名前や録音時のスタッフへの感謝のことばも、さりげなく、しかしきちんと書かれていて、読んでいて清々しいです。確かに、演奏は八木のハーモニカをおとなしくサポートするのではなくて、一体になっているのがよくわかります。

八木のぶおはプロになって、たぶん四半世紀くらいのキャリアがあるのだと思いますが、自分のグループを率いてのCDを出したのは、今回が初めてのようですね。全体を通して、何かに縛られてあくせくせずにマイペースで生きていこうよ、この世はそんなに悪くない、といったメッセージを受け取るのですが、それはきっと私だけではないでしょう。長く手許に置いて、楽しめるディスクだと思います。

と、これで紹介を終わるわけにはいきません。最後に収録されている《シュカ・カッカカ》の演奏時間は、なんと0分57秒。なんでもトータルタイム10分くらいある中からの抜粋なんだそうで、「最初から最後まで聴きたい方はライヴ・コンサートにぜひどうぞ!」とは、曲目解説の一部を丸写ししたものです。まあ、目くじら立てずにそうしましょう。でも、どうやってライヴの情報を手に入れたらいいんでしょうかね。検索エンジンで探してみると、録音に参加したメンバーの一人、古澤良治郎さんのホームページを発見(→ こちらです)! ここで古澤さんが出演なさるライヴのスケジュールがわかる仕組みになっていて、古澤さんが八木のぶおグループに参加する時と所がわかります。まあ当面は、これでスケジュールを押さえることができますね。チャンスがあれば行ってみたいと思います。


トップページへ
コーヒーブレイクへ
前のページへ
次のページへ