第105回 : 花粉症2001(その5)〜花粉情報の危機!?〜(2001年4月17日)

今年、私は自分の花粉症の症状を記録しはじめました。その結果が前回の「私の花粉症日記@」だったわけですが、やってみてよかったと思っています。日記のフォームは慈恵医大のアンケートを参考にしましたが、実はこれだけでは足りない面があり、私は東京都衛生局が発表する花粉症情報もずいぶん参考にさせてもらいました。花粉症の飛散予測は、単に「非常に多い」とか「やや多い」といった表現でなされがちですが、それがたとえ後日になってわかるにせよ、飛散量という数値で捉えてみると、窓を閉めマスクをしていれば症状が気にならない日と、どう防止策をとっていてもダメな日がわかってきます。さらに、さいきんのように気温が上がって、職場の窓を開ける機会が増えてくると、3月頃までならきちんと手を打っていればなんともなかったような日でも鼻水やくしゃみに悩まされる日が少なくとも私にはある、そんなこともわかってきました。ことほどさように、私には花粉情報がとても大切なものだと実感できるようになったのです。

ところでさいきん気になるHPを発見しました。毎度おなじみ「慈恵医大耳鼻科の花粉症のページ」にリンクされ始めたのですが、特定非営利活動法人「花粉情報協会」の”花粉いんふぉ”がそれです。それによると、花粉情報が危ない、と訴えているのを知り、実にびっくりしました。

毎年、花粉症の時期になるとマスコミを通じて花粉情報が流されますが、その基礎になるデータは全国各地の花粉観測組織のボランティア活動(!!)によって提供されていて、主だった観測組織のほとんどが観測者の疲弊や、経済的な問題から活動を継続することが困難になっている、というのです。そしてカンパのお願いが掲載されているのです。

そのページだけ読むと、具体的なことがわかりにくかったのですが、別のページには、行政のバックアップのない地域は、何れもあと数年で活動できなくなるとして、8つの花粉情報を提供している組織や団体が紹介されています。それぞれ組織の名称、代表者からはじまり、主な活動地域、活動可能な期間、現状維持に必要な経費、理想的な活動に必要な経費、将来の見通しといった項目があります。各団体の活動地域は、福岡県、岡山県、兵庫県、関東甲信越地方、富山・石川・福井各県、東海地方、山形県、静岡県となっていますが、驚くべきは活動可能な期間です。2001年まで、つまり今年までというのがあるかと思えば、2000年というのもあります(去年ですよ!)。半年、2年、不明、ボランティアが続けば、平成14年まで、あと5年間と、なんとも心もとないのです。将来の見通しにいたっては「なし」が4件もあり、規模縮小あるいは観測中止というのもありました。山形県では平成14年から新しい観測システムで情報提供とありますし、千葉県では5年以内に公的機関への引継交渉中と微妙な表現があります。何らかの対策を考えるというのもあるのです。どうも、先行きは暗雲が立ちこめていると考えておいた方が良さそうですね。現状維持に必要な経費とか、理想的な活動に必要な経費なども掲載されていますが、ここでは省略しましょう。

このように読んでくると、いま花粉情報を提供している団体が活動を続けていくには、カンパの要請は説得力をもって迫ってきます。でも、ちょっと待てよ、という気にもなりました。花粉症はスギ花粉のそれだけではありませんが、それにしても、私も含めて大勢の人間が苦しんでいるスギ花粉症は、これから先も何年、何十年とずーっと続くに違いないのです。長期的に見れば、カンパを集めることと併行して、いやそれにもまして各地方の行政のバックアップを取り付けることが大事ではないでしょうか? 私など、東京都衛生局が東京の全市と区で花粉の飛散量を測定してくれないものか、と思っていたくらいで、バックアップしていない行政があるなんて、それはないだろう、という気になってしまいました。


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