第98回 : オークラロに初トライして失敗するまで(2001年2月8日)

2月5日(月)、新しい週の始まりに職場で私を待ち受けていたのは「で、きのう、どうだったの?」という一言でした。言うまでもなく、前回のコーヒーブレイクで触れたオークラロの実演のことです。。オークラロ自体、確かに幻の楽器と呼ばれるのが相応しく思えますが、それ以上に幻だったのは、その実演実験だったわけで・・・。きょうは、今回の私の失敗談をまとめておきましょう(笑)。

12月の洋楽文化史研究会の打ち上げの時、今度オークラロを吹いてみてと声をかけてくれる人がいました。「デジカメに撮ってもいいし」「ホームページに音を貼り付けてもいいし」といった話まで飛び出し、はじめは気絶するかと思うほどビックリしながら話を聞いていたのですが、そのうち「まあ同じ管楽器だしなぁ」と思えるようになりました(実は、トロンボーンなら昔少し吹いたことがありますが、尺八もフルートも吹いたことがなかったので)。
それにしても、私って乗りやすい性格だったんでしょうか??( 自覚症状はありませんけど・・・)

1月に入って、フルートの入門書をパラパラ繰ってみたり、飲み屋さんでお客さんが少ない時に空のビール瓶を「ボー」と鳴らしてみたりしました(以前、新聞でよく見かけた通販のフルートでも手に入れて練習しておくべきでしたかね)。そして音が出るかどうかは半々、出たとしてもかすれた音しか望めないという確信に近い感触をもちました。この段階で、ある割り切りがもてました。歌手ならばハスキー・ヴォイスというのは、必ずしも悪い意味にはなりませんよね。私は、研究会でハスキー・トーン(←この言い方、いいでしょ?)でもお聞かせできれば、無上の幸せと思うようになったのです。

そして「音が出ればの話ですが」という留保は付けながらも、あるメンバーに私がやる気満々であることをメールで伝えたのでした(ジャーン!!)。1月も終り近くになって、実演のプログラムを用意しました。ロングトーンと音階は小手調べとして、尺八の音色に近いと思われるオークラロで、ドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》冒頭部分と宮城道雄の《春の海》の始めのあたりを音にできたら、面白い比較ができると考えたのです。しかし、これらの楽譜だけあっても私にはダメです。運指表をコピーし、楽譜の下に貼り付けるなどの加工をし、運指のイメージトレーニング。研究会まであと2、3日という期間は、楽しみと不安が交錯することとなりました。

結果は、最初に書いたとおりです。もう少し詳しくいうと、まずマウスピースだけを持って音を出そうとしました。これが上手くいかず、マウスピースを本体につないで吹こうとしてもやはり上手くいきませんでした。尺八を鳴らせるという人や、フルートができるという人もいて、この人たちもトライされましたが、やはり同様でした。不思議と言えば不思議です。そして、この日の打ち上げが済み、帰途、西武池袋線で一人になった私は、この数日のテンションの高さを静めようと思い、家の近所の喫茶店に立ち寄りました。

そこで私は、ある寄席芸人のことを思い出しました。この人は、きゅうり、にんじん、大根などの野菜の中をくりぬき、歌口の部分を削り、メロディーが吹けるように胴体の部分に穴をあけて笛を作り、舞台で面白い話をしながら曲を聞かせるのです。テレビなどで見たことありませんか? 相手はナマモノですから、作り置きができず、楽屋入りしてからおよそ30分ほどで笛を作り舞台をこなし、終わるとその野菜を家で料理して食べるという記事をどこかで読んだことがあるのです。残念ながら、この人の名前をどうしても思い出せませんm(__)m さて帰ろうと思った私の目に入ってきたものは、アイスコーヒーを飲んだときのストロー。
「これ、鳴らせるかな!?」

こちらも上手くいきませんが、まったく音が出ないというわけでもない。それに、すぐ上手く音が出るなんてあるわけないと思えば、練習次第で音が出るかもしれない・・・?
私って、懲りない性格だったんでしょうか???( 自覚症状はないんですけどネ)


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