第79回 : 『ロス・タラントス』を見に行って・・・(2000年8月14日)

8月20日(日)まで、天王洲アイルにあるアートスフィアでフラメンコ・ミュージカル『ロス・タラントス』(アルフレッド・マニャス原作 斎藤克己脚本 栗山民也演出)が行なわれています。私は8月13日に見に行き、3階のはじにあるボックス席に陣取りました。もっと見づらいかなと心配していたのですが、まずまずでしたよ。

幕間に、ふとしたことで隣りに座っていた若い女性とお話する機会を得ました。会話の中で、私は「西田さんのファンでいらっしゃいますか?」と聞かれて、素直に「ハイ」。それはいいのですが、笑顔で応対しつつも、どうしてわかったんだろうと内心ギクッ(笑)。ちなみに、その方は「どちらかというと木の実さんのファンです」とのこと。かくいう私も、木の実さんの素晴らしさには賛辞を送りましょう。おっと、先走ってはダメですね。主な登場人物(本当は、もっともっと大勢出てきます)、あらすじ、私の感想といった順番で述べていきましょう。

■主な登場人物■

タラント家 ソロンゴ家
アングスティア木の実ナナ
タラント家の母親
ソロンゴ上條恒彦
ソロンゴ家の父親
ラファエル石井一孝
タラント家の次男
ファナ西田ひかる
ソロンゴ家の長女

■あらすじ■
全ニ幕。昔、ソロンゴはアングスティアとの恋に破れ、それがもとで両家には長いあいだの対立があります。ところが、ファナとラファエルが恋に落ちます(ロメオとジュリエットみたいですね)。ラファエルはファナをアングスティアのところへ連れてきます。ここでファナが自分の気持ちを伝えるフラメンコを踊ります。はじめのうち頑なだったアングスティアの心にも変化が現れ、やはりフラメンコを踊り出します。そしてついにアングスティアは、複雑な気持ちを抱えながらも、二人の仲を許します。その後、アングスティアは単身ソロンゴと会い、二人の仲を許すよう頼みますが、事は、そう上手く運びません。ファナは家で使用人に監視され、ラファエルもソロンゴ家から嫌がらせを受けます。二人は追い詰められていきますが、やっとのことで会うことができます。さあ、それからの展開は・・・? (まだ、公演が続いていますから、この辺にしておきましょう。)

■私の感想■
1.ストーリーが、少し弱いと感じました(-_-;)
あらすじだけまとめてしまえば、だいたい上のようになるのですが、特にソロンゴ家の使用人クーロ(海津義孝)が色々な策略をめぐらし、それに別の登場人物、たとえばラファエルや彼の親友であるモヒ(曾我泰久)に挑発をしかけるなどするのです。もちろん、もっと他愛ないような場面もふんだんに挿入されてきます。そういったエピソードの数々が後々、本筋とかかわってくるのですが、それらの関係が、いまひとつ分りにくく感じたものでした(私の理解力が乏しいのかもしれませんけれど・・・)。
2.一幕最後を飾る、ファナとアングスティアが踊るフラメンコは迫力満点でした。
「帰っとくれ!!」と突き放されたファナが、アングスティアの目の前で踊りだすフラメンコ。しばらくの間アングスティは、その踊りを無視するのですが、やがておもむろに、踊り始めます。貫禄も充分なら、勢いもありました。相手の本心を確かめるように、ファナに突進を繰り返すなど、踊りは挑発的ですらありました。フラメンコど素人の私ですが、息詰まるようなお二人のフラメンコは、充分堪能させてもらいました。この舞台最大の見せ場です。
3.出演者、讃!
木の実ナナさんは、舞台で華があると思いました。もう少し言うと、第二幕後半での演技にいたっては、神々しさを感じたくらい(少しおおげさかな??)で、その存在感の大きさは凄いなと思いました。私は、西田ひかるさんを目当てにこの公演を見に行き、西田さんの演技や踊りにもほぼ満足して帰ってきましたが、それも木の実ナナさんという受け手がいたからこそ言えるのでしょうね。余談ですが、カーテンコールでみせた西田さんの笑顔は、すばらしかった\(^o^)/
4.叫ぶシーンにもう一工夫してほしかった・・・
芝居のあちらこちらに叫ぶシーンがありました。特に脇を固める皆さん方、思い切り叫んでくださいましたが、アートスフィアのような、さほどのキャパシティをもたない劇場で、喚くようにやられてしまうと、耳障りな箇所が結構多かったです。さすがに木の実さんともなると、耳障りにならないから不思議です。これは、私の聞き方に問題があるのか、演出家に一番の責任があるのか、出演者の皆さんの力量なのか、答えはどれなのでしょうね?


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