75回 : 図書館の片隅で 〜 ガムテープを片手に(2000年6月29日)
 私は図書館に勤めて26年目を迎えますが、さいきんガムテープが仕事の必需品になったなぁと実感しています。以前も、もちろん折に触れて使ってはいました。しかし、この十数年来、大学図書館同士の図書館間貸出が活発になるにしたがって、資料が郵便や宅配便で私の職場から他の館へ行ったり、逆に他館から資料を送っていただいたりするわけです。こちらから送付するときも、あるいは資料を返却するために郵送するときも、最後はガムテープを使って丁寧に封をします。私がガムテープを職場のデスクの近くに置いておく理由の一つです。
ここ数年の間で、別の理由からもガムテープ=略してガムテは、身近なものになってきました。
25年前(つまり四半世紀前)の図書館といえば、図書と雑誌が主なサービス対象となる資料でした。私の職場は音楽大学の図書館ですから、これらに加えて楽譜やLPレコードも主な資料に数えられていました。時が移るにしたがって、LPレコードはCDも併用する時期を経て、現在のようにCDが利用の主流を占めるという変化をみせました。ビデオというのも、1980年代からサービスを開始し、その後LDがサービス対象に加わりました。これらはプレーヤーを用意すれば、操作は比較的簡便でした。
データベースがCD-ROMで登場したあたりからでしょうか、ちょっと事情が異なってきました。コンピュータを使うのですが、操作法などはデータベースによって大きく異なります。さらにインターネットが登場し、そこに有効なデータベースやインターネット情報源が見出せるようになりました。
私の職場では、かなり以前から卒論を間近にひかえた学部4年生や大学院生のゼミなどを対象にして、文献をどう探すか、その際図書館をどう使ったらよいかなどを内容としたガイダンスを、先生方との協力のもとで行なってきました。いや、過去形でなく現在も続いています。ガイダンスは、従来のように、主に図書を使って自分の必要とする文献を見出していく方法を提示していくことと同時に、CD-ROMやインターネットをいかに使っていったらよいか、という具合に徐々に内容の幅が広がってきています。そのガイダンスは、話だけでなくて視覚的にもわかりやすく展開したいところです。特にCD-ROMやインターネットは…。コンピュータやアプリケーション・ソフトの使用法を口頭だけで聞いたら果たしてわかりやすいかどうか、答えは自明ですね。
そうなると、ガムテは必要になる・・・・? ウン、なるのです。
この2、3年でしょうか、ガイダンスの準備をする担当は、なが〜いケーブルを床に這わせ、その上からガムテをペタリペタリ。そう、ガイダンス当日の本番直前の風景です。これをやらないとケーブルに足をとられて転ぶ人が出ないとも限りません。で、終わるとガバッ、ガバッと剥がしていきます。私も、今年の5月からこの担当の仲間に入りましたので、ガムテをペタペタ(あるいはガバッ、ガバッ)とやる機会が出てきました。ケーブルを這わせるということは、ノート型パソコン、プロジェクター、移動できるスクリーンなどを用いてガイダンスを行なうわけで、終わればこれらの機材も元の場所へ戻します。
ガムテは、いまのところ好むと好まざるとに関わらず、無くてはならないモノなのですが、インターネット環境がもっと進んで、ガムテをペタペタやらずに済むといいなと、早くも思っています。
ひょっとすると、似たようなことを考えておいでの同業者の方もいらっしゃるかもしれませんね。

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