第47回 : 第1回図書館総合展(1999年10月16日)

10月13日〜15日にかけて、有楽町の東京国際フォーラムで「第1回図書館総合展」が開かれました。多くの企業が図書館関連用品を出展したり、各種のセミナーが行なわれたりしました。私は10月15日午後のセミナーの一つ、音楽図書館協議会主催の「インターネット情報と図書館サービス」を聴講したのですが、受付のお手伝いなどもするように言われ、午前中から会場へ出向きました。セミナーが始まってからは、照明のスイッチの切り替えをするよう仰せつかりメモを取りませんでしたから、記憶がいくらか残っているうちに書きとめておきましょう。

セミナーは、講師陣に廣田とし子さん(慶應義塾大学湘南藤沢メディアセンター)、殿崎正明さん(日本医科大学附属図書館)、小西和信さん(筑波大学附属図書館)を迎え、松下鈞さん(国立音楽大学附属図書館)の司会で進められました。皆さん、大学図書館に籍を置いていらっしゃいます。

以前の図書館は、本とか雑誌など紙媒体の資料をサービスの中心に置いていればよかったわけですが、そこにCD-ROMが加わり、さらにここ数年のあいだにインターネットが加わりました。どの図書館もその分、サービスの種類(つまり仕事)が増えるのですが、人員や予算はそのまま、あるいは減少傾向にあるといいます。
しかし、それにもめげず(?)図書館でホームページを作り、諸々の情報を発信している事例が各講師から出てきました。インターネットを通じて図書館のニュースやOPAC、リンク集、フルテキスト情報(大学の紀要など)まで発信しているのです。図書館のニュースを考えても、紙に仕上げていく時にかかる労力や費用とインターネットで情報発信をする場合を比較すると、インターネットを使った方が安価ですし、データの加筆・修正なども簡単にできます。
サービスの種類が増えれば、図書館員は人員が増えなくとも対応しなくてはなりません。図書館員の側が皆で取り組んでいこうと確認しあったり、どういう図書館組織を作ったらこれらのサービスによりよく対応できるかを考えたりもなさっているようでした。
記憶に残ったのは、ホームページで構築する「電子図書館」の質の高さは、以前、その図書館が良質の蔵書構成をしてきたか否かに尽きるとの3人の方々の共通した認識でした。

会場からの質問で、ある企業図書館の方は「電子図書館」ができて来館者が減り、これまでカウンターで利用者と話す中で吸い上げてきた意見が届かなくなったと言われました。講師のお一人がやはり同じだと仰り、声の拾い上げやアドヴァイスが、カウンターごしの会話からEメールでのやりとりに移行している部分があるとのことでした。
同じく会場から出たコメントで、インターネット上にある有効なビブリオグラフィーが活用され、当然のことながらその後利用者からは原資料を見たいがどうしたら良いかを相談される機会が増えたことなどが指摘されました。
これらの質問やコメントも含めて、いま、大学図書館界でインターネット情報が上手く活用されたり情報発信されたりしている一端を垣間見ることができ、大いに参考になりました。

本番が終わってから、6月に名古屋でお会いした音楽図書館協議会の他館の皆さんたちと歓談して、会場を後にしました。


トップページへ
コーヒーブレイクへ
前のページへ
次のページへ