第32回 : アートカタログライブラリー(1999年8月24日)

展覧会のカタログ(図録)の意義は大きいと思います。たとえば、作家や個々の作品についての解説や出品リストその他の資料が掲載されて手許に残ります(展覧会場を歩いて作品を見ながら、それらの情報を同じに得られる機会は、多くないはずです)。その反面、重く、カサが張りますから、永年個人で持つのが難しい場合もあるでしょう。私の場合は、よほど資料として手許に置きたいと思ったときに限って、というと聞こえがいいのですが、ほとんど買いません。ただ、ときどき過去に見た展覧会の出品リストや一部の解説を読みたくなることがあります。

そんなときに応えてくれる図書館が3年ほど前にできました。私がその図書館を知ったのは、この2年ほどのあいだだったかな? その名は「アートカタログ・ライブラリー」。8月23日、初めて行きました。
場所や開館の曜日や時間などは、あらかじめインターネットで調べていきました。まず、そのホームページ・アドレスをご紹介します。

アートカタログ・ライブラリー
http://www.acejapan.or.jp/artg/acl/index-j.html

地下鉄南北線か銀座線の溜池山王で下車し出口13の階段を上がると、すぐ左手に日本旅行が見えます。ここが赤坂1丁目森ビルで、5階にライブラリーがあります。ビルの右側に回りこんで少し坂を上ると出入口がありますが、これが少しわかりにくいかもしれません。私は少しわくわくしながら入室しました。事務スペースの奥のほうに、知った顔が見えます。ここのライブラリアン、種市正晴さんです。

このライブラリーの設立に関しては、米国の日本美術研究者の間から日本の近・現代美術に関する情報の不足、特に日本の展覧会カタログを網羅的に収集してほしいという要望が出され、日米間でプロジェクトが立ち上がったそうです、これが1994年。そして1996年11月、このライブラリーが開設され、美術の研究者や美術愛好家にカタログを閲覧する機会を提供すると同時に、アメリカのスミソニアン研究所のフリーア美術館にカタログを送りはじめたといいます。国内のカタログは、美術館・博物館・デパート・画廊などに協力を求め寄贈してもらっていると聞きました。現在は、パリ、タイ、シドニー、ハイデルベルクなどの機関に対しても所蔵重複分のカタログを送付しているそうです。

このライブラリーのホームページを見ていただけばわかることですが、開館時間は、月・火・木曜日の午後1時〜6時までです。これは間違えないようにしましょう。
ただし、1999年9月13日(月)〜9月30日(木)の間、資料整理のため特別閉館となりますのでご注意ください。

さて、ライブラリーは開架式で、私は「あれもある、これもある、すごいなぁ」と感じながら見て回りました。印象に残っているカタログについては、もちろんメモをとってきました。
また、ライブラリーには利用者用のコンピュータがあり、蔵書の検索ができるようになっていました。私は、当日は触りませんでしたが、帰宅してから上のホームページを見なおしてみました。
検索に関する箇所をクリックして、ずぅーっと見ていくと「データベース検索」という項目がクリックできるようになっています。私は、タイトルの箇所に、ためしにルノワールと入力して検索し、8件の結果を得ました。そのうち1件の詳細表示をみると、巡回の展覧会だったらしく3ヵ所の会場が記載されていました。すごいですね、これで事前に調べたい資料の見当をつけていくこともできるわけです。

ライブラリアンの種市さんとは、以前、大学図書館員という立場で同じ会議に出席するなどの機会がありましたから、面識がありました。少しわくわくしながら入室したのは、それ以来の再会だったからです。種市さんは、私が訪問するとは知らず、一瞬びっくりなさっていました(ビックリさせる気は、あまりなかったんですけど、スミマセン・・・)。
いずれまた、ゆっくり時間をとって訪ねてみたいライブラリーです。


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