14 新日鉄コンサート Archives
1) 三善晃:チェロ協奏曲(第1番,1974)
   堤剛(チェロ) 読売日本交響楽団  若杉弘(指揮)
2) 入野義朗:チェンバロ,打楽器と19の弦楽器のための音楽(1963)
   NFCコンサートマスターズ 森正(指揮)

3) モーツァルト:交響曲第41番ハ長調K.551《ジュピター》より第4楽章
   NFC交響楽団 斎藤秀雄(指揮)
4) ドヴォルザーク: 弦楽四重奏曲第12番へ長調 作品96《アメリカ》より第1楽章

   巌本真理弦楽四重奏団
5) マルティーニ:愛の喜び

   巌本真理(ヴァイオリン) 坪田昭三(ピアノ)
6) ドヴォルザーク:ユモレスク変ト長調op.101-7
   巌本真理(ヴァイオリン) 坪田昭三(ピアノ)
7) 貴志康一:龍

   辻久子(ヴァイオリン) 柴田良子(ピアノ)
8) 大栗裕:浴衣の女人
   辻久子(ヴァイオリン) 柴田良子(ピアノ)
9) ホワイト:美しきキューバの乙女

   鈴木秀太郎(ヴァイオリン) セイダ・ルガ・鈴木(ピアノ)
10)ブリテン:組曲 op.6

   江藤俊哉(ヴァイオリン) 米谷治郎(ピアノ)
11)モーツァルト:変奏曲K.137 App
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   安川加寿子(ピアノ)
12)ドビュッシー:ピアノのために

   安川加寿子(ピアノ)
13)ショパン:幻想即興曲

   田中希代子(ピアノ)
14)グレチャニノフ:バキシールの主題による変奏曲

   林リリ子(フルート) 桑島すみれ(ハープ)
15)シュミット:深い森の中で

   千葉馨(ホルン) 本荘玲子(ピアノ)
16)シューベルト:魔王D.328

   長野羊奈子(メゾ・ソプラノ) 笠間春子(ピアノ)
17)R.シュトラウス:万霊節

   長野羊奈子(メゾ・ソプラノ) 笠間春子(ピアノ)
18)ロッシーニ:歌劇《セビリャの理髪師》から〈私は町の何でも屋〉
   立川澄登(バリトン) 東京都交響楽団 森正(指揮)
19)古いリュート(シューマン)
   大橋国一(バス・バリトン) 大橋京子(ピアノ)
20)ヴェルディ:歌劇《シモン・ボッカネグラ》より〈哀れな私の胸は〉

   大橋国一(バス・バリトン) 大橋京子(ピアノ)
付)第一回放送ナレーションより
 [CD]  Pony Canyon  PCCL-00585           \3675(税込)               
かつて、ラジオのAM放送で、現在とは比較にならないほどクラシック音楽の番組が存在していました。その中のひとつ、1955年にスタートして今日まで続いてきた「新日鉄コンサート」が2005年3月をもって終了するというのですね。オンエアしてきたのは、いま日本中で知らぬ人のいないニッポン放送です。FMが行き渡り(しかし、そのFM放送もかつてよりクラシック音楽の占める比率は低下しているのかもしれませんが)、いくらステレオ放送が可能になったとはいえ、音質的には劣勢に立つ民放AMラジオの30分枠で、よくぞ50年間クラシック音楽の番組が続いたと感心します。この50年で、どんな作品が誰によって演奏されたのか記録があるといいのですが、果たしてどうなんでしょうか?

私が、不定期ながらこの番組を聴いていた時期は、主に高校時代(1968年4月〜1971年3月のあいだにたまに聴いていました)。というわけで、私の記憶の中では、番組タイトルが「富士製鉄コンサート」として蘇ってきます。それが1970年、八幡製鉄と富士製鉄が合併して新日本製鉄ができ、番組名も「新日鉄コンサート」と改められたのでした。番組じたいは地味な進行で、(たぶん)局アナの方が作品と演奏者の短い紹介をし、そののち公開録音で収録された音楽をオンエアするというスタイルだったと記憶します。取り直しのきくスタジオ録音にはない熱気を帯びた雰囲気がラジオを通じて伝わってくる、そんなところがこの番組の売りでした。

私の場合、武満徹のヴァイオリンとピアノのための作品《悲歌》をこの番組を通して初めて聴きました(江藤俊哉さんの独奏だったと思います・・・)し、巌本真理弦楽四重奏団によるバルトークの弦楽四重奏曲の演奏なども何曲か聴いた覚えがあります。何を演奏されたかまでは覚えていませんが、本CDに登場するヴァイオリニスト鈴木秀太郎さんのお名前も記憶にあります。ただ、この番組に接していたのがなにしろ35年ほど前のこと、これ以上詳しくは思い出せません。CDに登場する演奏者のお名前を見ると大御所ばかりですが、そうした皆さんの60年代から70年代にかけての演奏が、本CDに収められています(ただ、実際の番組では若手の演奏家を紹介していたときもあったように思います)。しかも、三善作品や入野作品のようにこの番組が作曲を委嘱して世に出た作品まであるのですから、志の高い番組だったともいえるでしょう。不定期ながら、一時期この番組を聴いたという私的な体験も手伝って、本CDに耳を傾けていると一種の懐かしさを感じてしまいます。
【2005年3月15日】


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