8 Forbidden, not forgotten Superessed Music from 1938-1945
CD 1
(1)Gideon Klein    Partita fur Streicher(1944)
(2)Viktor Ullmann   Sonate Nr.7 fur Klavier(1944)
(3)Viktor Ullmann   Drei hebraische Knabenchore(1943-1944)
(4)Viktor Ullmann   Drei Lieder nach Gedichte von Friedrich Holderlin fur Soprano und
                Klavier(1943-1944)
CD 2
(1)Pavel Haas     Studie fur Streichorchester(1944)
(2)Hans Krasa     Passacaglia und Fuge fur Streichtrio(1944)
(3)Hans Krasa     Overture fur kleines Kammerorchester(1943-1943)
(4)Hans Krasa     Brundibar[Oper fur Kinder](1938-1944)
CD 3
(1)Karl Amadeus Hartmann   Sonate "27.April 1945" fur Klavier(1945)
(2)Karl Amadeus Hartmann   Trauerkonzert / Concerto funebre(1959)
(3)Karl Amadeus Hartmann   Zweites Quartett fur Streicher(1945-1946)

演奏
Orchestra di Padova e del Veneto, Nada Matsoe Vic(cond) [CD1-(1), CD2-(1)(3), ]; Orchestra di Padova e del Veneto, Maffeo Scarpis(cond) [CD3-(2)]; Aldo Orvieto(Piano)[CD1-(2), CD3-(1)]; Quartetto
 [CD]  Hommage    7001890-HOM[CD 3枚組]                     
まずCD1とCD2に収められた作曲家と作品をご紹介しましょう。
はじめにギデオン・クライン(1919−1945)。第一次大戦中のチェコのユダヤ人家庭に生まれました。プラハ音楽院に学びましたが、1941年、テレジーンに送られたのです。《弦楽のためのパルティータ》(1944)は、《弦楽三重奏曲》を弦楽合奏用に V.Saudek が編曲しなおしたもので、第2楽章に生まれ故郷モラヴィア民謡の変奏が聴かれます。二人めはヴィクトル・ウルマン(1898−1944)。《ピアノ・ソナタ第7番》(1944)、《3つのヘブライ語による児童合唱》(1943−1944)、それにソプラノとピアノのための《ヘルダーリンの詩による3つの歌曲》(1943−1944)が収録されています。ウルマンもテレジーンに送られ、その後アウシュヴィッツで命を落としました。次にパーヴェル・ハース(1899−1944)。この人はブルノ出身で、ブルノ音楽院で作曲をヤナーチェクに師事しました。ナチによる迫害が始まると家族を守るために離婚したそうです。そのため1941年にテレジーンへ送り込まれたのはハース一人だったというのです。収録されている作品は《弦楽オーケストラのための練習曲》(1944)です。さいごにハンス・クラーサ(1899−1944)です。プラハで生まれ、神童の誉れ高く、ツェムリンスキーに作曲を師事しました。この人もまたテレジーンへ送られました。収録作品は《弦楽三重奏のためのパッサカリアとフーガ》(1944)、《小さな室内オーケストラのための序曲》(1943−1944)、そして有名な子どものためのオペラ《ブルンジバール》(1938−1943)の3曲です。ちなみに《ブルンジバール》はピアノ伴奏ではなく、小編成のオーケストラ伴奏となっています。悪党のブルンジバールの歌声がすこぶるかわいいのも子どものオペラならではの逆説かと思いながら、微笑ましく聴けてしまいます。

ここに名前が挙がった4人は、すべてテレジーンに送られ、その後殺されました。収められた作品は、テレジーンにいるあいだに作曲されたものです。これらの中で《ブルンジバール》は1938年に作曲され、1941年にプラハの孤児院で初演されています(クラーサ自身は演奏に立ち会えませんでした)。テレジーンに連れて行かれたクラーサは、楽譜を持ち込むことができなかったため、手元にある楽器を考慮しながら、この作品を新たに書き直したのだそうです。

さて、3枚めのCDはカール・アマデウス・ハルトマン(1905−1963)です。この人はミュンヘン生まれで、1924年から27年にかけてパーヴェル・ハースに師事したことがあるようです → ヨーゼフ・ハースに師事しました調査不足で誤りを書いていました。お詫びして訂正します。・・・2005年10月17日)。ここに収められた3曲は、戦争の記憶をつづったような雰囲気を持っているように思えます。

4年ほど前の夏、大手CDショップをぶらぶらしている時に安売りのコーナーで見つけたのが今回取り上げたディスクです。アルバム・タイトルが強烈だったこともあり、何気なく手に取ったのですが、私にとっては、文字だけは目にするようになっていた「テレジーン」の作曲家たちの作品を初めて聴いた、記念すべきディスクとなりました。その後も昨年あたりまで、夏・冬のバーゲン・セールの時期に時おり見かけた記憶がありますが、今は手に入るのかどうかわかりません。
【2002年10月2日+2005年10月17日(一部訂正)】


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