7 浅草オペラ  華ひらく大正浪漫
CD 1
(1)乾杯の歌      ヴェルディ《椿姫》             藤原義江、原信子
(2)テッペラリー     ウィリアムス 喜歌劇《女軍出征》   日蓄オーケストラ団
(3)コロッケーの唄  外国曲 喜歌劇《カフェーの夜》     朝居丸子
(4)おてくさん     外国曲  喜歌劇《カフェーの夜》     河井澄子
(5)恋はやさし     スッペ 喜歌劇《ボッカチオ》       安藤文子
(6)ベアトリ姉ちゃん スッペ 喜歌劇《ボッカチオ》       清水金太郎
(7)ブン大将      オッフェンバック 喜歌劇《ブン大将》  徳山l
(8)アーチスト・ライフ(下) 佐々紅華 喜歌劇《アーチスト・ライフ》  七声歌劇団
(9)茶目子の一日(上)  佐々紅華 お伽歌劇《茶目子の一日》   平井英子
(10)ドンブラコ(桃太郎) 北村季晴 お伽歌劇《ドンブラコ》   北村季晴
(11)平和の女神    安藤弘 少女歌劇《平和の女神》    宝塚少女歌劇団
(12)ジプシーの唄    ビゼー《カルメン》              清水静子
(13)闘牛士の唄    ビゼー《カルメン》              藤村梧朗
(14)女心の唄      ヴェルディ《リゴレット》           大津賀八郎
(15)ロマンス      マスカーニ《カヴァレリア・スルティカーナ》 原信子
(16)カルロスのセレナーデ アイヒベルク 喜歌劇《アルカンタラの医者》 田谷力三
(17)波をけり      ブランケット 喜歌劇《古城の鐘》     藤原義江
(18)岩にもたれた   オベール《フラ・ディアボロ》        藤原義江
(19)君が姿みし日より フロトー《マルタ》              田谷力三
(20)私は一人物思い 菅原明朗《葛飾情話》           永井智子、波岡惣一郎
(21)恋は破れた    菅原明朗《葛飾情話》           永井智子、波岡惣一郎
(22)忘れもしません三年前  菅原明朗《葛飾情話》       永井智子、波岡惣一郎
(23)どうぞこの身を   菅原明朗《葛飾情話》           永井智子、波岡惣一郎
 
 [CD]  おんがくのまち    YMCD−1056[CD]   \3150(込)                  
先日「私の本棚」に並べた『エノケン・ロッパの時代』を読むと、エノケンは1922年、浅草金竜館を根城にしていた根岸歌劇団のバリトン歌手・柳田貞一に弟子入りしたとあります。当時の金竜館には、田谷力三、松木みどり、木村時子、清水金太郎・静子などが出演していたともありますが、幾人かの名前は、復刻された本CDにも収められていて、こういう声でこんな歌い方をしていたんだとわかって、ちょっとしたタイム・トリップを楽しんだ気分になれました。

そもそも浅草オペラの時代は、1917(大正6)年《女軍出征》をもって始まり、関東大震災で劇場も消失し、急速に衰退していったといいます。その間、浅草オペラのレコードとして残された録音は、そう多くないそうで、このディスクに収められた録音も、少なからず昭和に入ってからのものが含まれているように思えるのです。

実際に聴いてみると《コロッケーの唄》や《おてくさん》など、とても外国の喜歌劇とは思えない歌い方の録音もあって、往時を偲ぶ(?)ことができますよ。藤原義江は、冒頭の《乾杯の歌》のほかに2曲歌っています。ソロの方の伴奏はサバイノ指揮のミラノ・スカラ座管弦楽団で、オーケストラの響きも充実していて、気持ちよさそうに歌っています。では《乾杯の歌》はどうかというと、粗が目立つ演奏ではありますが、篠原正雄指揮の中央交響楽団が伴奏、原信子と掛け合いとなれば、これはこれで聴きものといえます。徳山lの歌唱は一聴に値します。徳山は自身浅草オペラでは歌わなかったけれど、昭和になってからも、そのレパートリーを歌ったらしいのです。かくして、このディスクには浅草オペラで取り上げられた作品がが中心に収められています。

その一方、1933(昭和8)年録音の《茶目子の一日》(部分)、宝塚少女歌劇団の最初期の演目であった《ドンブラコ》や《平和の女神》、先年演奏会形式で蘇演された《葛飾情話》などが聴けるのも貴重なプレゼントでした。
【2002年6月11日】


トップページへ
わたしのCD/DVD棚へ
前のページへ
次のページへ