「阿呆リズムAphorism」


NO.2(2000.02)

単身赴任の部屋で、ひとり牡蠣鍋をする。火の通った牡蠣を箸でつまんで、しみじみと見る。
こんなところに、あんなものまで付いていることに驚いている。

「定年デビュー」という言葉はどうだろう。
地域へのデビュー、本格趣味へのデビュー。

「ホームページできたんですって? 和風だそうですね」
会社の後輩と廊下ですれ違ったときに言われた。和風かなぁ。しかし、ホームページを和風と言うかなぁ。

「まだ、痛まれますか?」
通っている歯医者さんで。博多の敬語はおもしろい。

「注文は二人前ですから」
温泉街の川魚料理の店。三人で入って、とりあえず鯉の洗いを二人前注文した。
醤油の入った小皿をふたつ運んできたお兄さんに、「醤油、もうひとつくれる?」とたのんだ。
お兄さんは、持ってきた小皿を下げようとする。「どうして持ってゆくの?」。

お兄さんは、毅然として言った。
「注文は二人前ですから、これを三つに分けてきます」

正しいのである。まったくもって正論なのである。二人前の注文で、醤油を三人分頼むことは甘えなのである。
店の入り口には「創業寛政年間」の看板が掲げてあったが、あれは創業以来の伝統であろうか。
そうであるなら、もっと大きな店になっていても良さそうなのだが・・・。