休日の山歩き 39 市房山 Ichifusayama
[熊本] 市房山(1721m)
2011年9月25日(日)
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  湯山から市房山を望む

【九州の山に遠征】
9月の連休、鹿児島県のかつての勤務地で行事に参加した際に、翌日の休日、熊本県の市房山に遠征してきた。九州の山は、かつての鹿児島勤務時代に霧島連山など県内の山を何度か訪れ、次の広島勤務中に2度、大分県の久住山と祖母山に遠征したことがあり、それ以来だ。市房山(1721m)は、九州中央山地の南部、熊本県と宮崎県の県境に位置し、この地方では人気のある山で、熊本県第2の高峰だ(阿蘇山より200mも高い)。山麓に市房神社があり、参道に巨大な杉の並木がある。

【車で市房山を目指す】
日曜日早朝6時過ぎ、レンタカーで鹿屋市内のホテルを出発し、途中、コンビニ弁当で朝食。国分インターから九州道に乗り、鹿児島から熊本に県境を越え、人吉インターで出る。料金所の人に市房山への行き方を聞くと、左折して道路に出てから最初の信号を左折と教えてくれた。これが広域農道フルーティーロードで、走り易い道が緩やかな起伏を伴って続く。すぐ前を中型のバスが走り、結局このバスも市房山に向かっていた。人吉から市房山方面へは他に国道も通じているが、広域農道が国道と合流した後、水上(ミズカミ)村に入り、市房ダム湖を過ぎ、高速を出てから50分になる9時半前に登山口の市房山キャンプ場に到着した。広い駐車場があるが、バスより上のキャンプ場受付前に駐車した。

【市房山キャンプ場の登山口から市房神社の参道へ】
手早く身支度をし、車道を歩き始める。祓川橋を渡ると、車道脇に鳥居があり市房神社の参道が始まる。この薄暗い参道には杉の巨木が林立しており、樹齢800〜1000年の老杉が約52本あり、幹回り6m以上は21本あるとか。この参道と先ほどの車道(林道)はしばらく並行しており、林道と参道が接近する地点を経て、やがて林道終点からの歩道が合流してきたから、終点まで車で入ると歩行を30分余り省略できると思われる。さらに登ると石段の道があり、木立の中に鮮やかな赤に塗られた市房神社の建物が現れた。ここは登山道の4合目になっており、神社の右手に豊富な沢の水も得られる。

市房神社参道の入口 参道の杉巨木 市房神社

【神社から先は急な登山道】
山頂への登山道は神社の裏手左に続いており、急坂になり、梯子に近い階段もある。道が荒れて付け替えられたような所もある。照葉樹や落葉樹の原生林だ。この頃から下山者とも出会うようになり、急坂がしばらく続き、ベンチで一休みし、馬の背と呼ばれる6合目を過ぎると少し下り、その後登りが少し楽になった。左手上に尾根を見ながらトラバースするような位置にある7合目で小休止した。8合目を過ぎると笹原の灌木帯になり、山頂も見通せるようになり、12時55分、市房山山頂に到着。キャンプ場から3時間20分の登りだ。

【市房山山頂】
山頂は広く、西に水上村湯山(ユノヤマ)の町並みや農地、その奧に市房ダム湖の一部が見える。南にも山並みが見えるが、雲がかかっている。さらに遠く、霧島や祖母山なども見えるらしいが、この日は展望がなかった。宮崎県側の西米良からも登山道が上がってきている。この山頂から5人ぐらいのグループが下山し、男性3人組と私だけになった。弁当を食べ、3人組の男性と話を交わす。地元の人達で、この人達同士で話していることは半分も分からない。この人達と、二ツ岩方向へ3分ほど行ったところにある心見の岩に行ってみた。岩稜の割れ目に大きな岩がはさまっており、割れ目の奧は深く切れ落ちてふもとの町が見えている。今にも落ちそうな岩だが、その上も通ることができる。ここから先の二ツ岩への縦走路は、登山道が崩壊し危険と、通行止めになっている。

急坂 もうすぐ山頂 市房山山頂
心見の岩 上も通れる 市房山山頂から湯山集落を望む
奧は市房ダム湖

【下山】
山頂で1時間ほど過ごし、午後2時、3人組と分かれ下山した。熊本側からの登山者は私が登った時間帯で大体最後だったようで、中型バスの団体は山頂には来なかった(市房神社までだったのかもしれない)。登りと同じ道をたどり(5合目付近は2通りの道がある)、2時間余りでキャンプ場まで下山した。登り甲斐のある、良い山だと思った。
午後4時半に車で出発し、湯山の集落を通る途中、振り返ると、市房山は山頂の左右に長く稜線を引いており、左側の二ツ岩のピーク辺りには、雲がかかっていた(このページ冒頭の写真)。帰路は国道388号線をたどり、人吉インターから九州道に乗り、溝辺鹿児島空港インターで降りた。ホテルにチェックインしてレンタカーを返し、ようやくビールで祝杯を挙げた。

【行程】
鹿児島・鹿屋6:15発⇒国分IC7:45入〜九州道〜人吉IC8:35出⇒市房山キャンプ場9:25着(173km)

キャンプ場9:33→9:38鳥居・参道入口→10:18林道終点分岐→10:36市房神社10:44→11:09ベンチ11:15→11:30馬の背→11:547合目12:02→12:55市房山山頂(心見の岩へ3分)14:04→14:54馬の背15:00→15:31市房神社15:38→15:48林道終点分岐→16:10鳥居→16:14キャンプ場

(歩行時間) 登り3:22、山頂休憩1:09、下り2:10、計6:41
(標高差) キャンプ場登山口590m←→市房山1721m=±1131m

市房キャンプ場16:34発⇒人吉IC17:35入〜九州道〜溝辺鹿児島空港IC出⇒空港周辺18:30着(101km)

【参考資料】 九州の山(山と渓谷社2004年)、山と高原地図「霧島・開聞岳」2003年版

【追記】
【登山ルートについて】
今回、持参したアナログ高度計が、各所で、現地の海抜表示や、登山地図(2003年版)から読み取れる標高とは、かなり違う高度を示すので、どうなっているのかと疑問に思った。山頂で高度計を1721mに補正した後の帰路の場合で言うと、登山地図で約1360mと読み取れる馬の背(6合目)で高度計の表示は約1190m、同じく約820mの市房神社(4合目)で約920m、また3合目の海抜780mという現地表示がある地点で高度計は約860m、などだ。
これに関連して、現地にあった森林の地図や、遭難対策協議会の登山ルート図は、カシミール3Dで閲覧できる国土地理院の地図と少し違う登山ルートを表示していたようだ。そして、現地の登山ルート図が示す各合目の高度の方が、実際に高度計が示した高度に近いように思われる。・・・

と、ここまで書いた後で、国土地理院の電子地図が新しくなっていることに気づき、カシミール3Dをバージョンアップして新しい電子地図を見ると、見事に登山ルートが修正されているではないか。失礼しました。
(修正後の地図でも「市房神社」の文字だけは登山ルートから離れて元の位置に残っている。)

参道と林道が接近し鳥居のある地点にあった、森林管理署の保護林の地図。市房神社は約900mから少し上に描かれている。 登山道の各所にあった、市房山遭難事故防止対策会議の登山ルート図。登山ルートの線が明瞭でないが、各合目の位置を表示している。市房神社はやはり約900mあたり。
  ↑
国土地理院の旧電子地図。
赤線は、その登山ルートをなぞったもの。
これに対し、青線は、現地にあった森林の地図や登山ルート図などを参考にして、実際に歩いたルートを推定してみたもの。市房神社の位置が上がり、その上では一つ隣の尾根になった。
  ↑
マウスポインタを地図の上に置くと、新しい電子地図に変わります。
緑線は、その登山ルートをなぞったもの。登山道の他林道終点からの歩道も修正されている。

  →
アナログ高度計。市房神社では約920mを指した。
登山地図(2003年版)や国土地理院の旧電子地図では市房神社の位置は約820mと読み取れる。

2011/10/2整理 11/9修正・追記、11/11再修正

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