episode 2「アミーゴよ、あれがスタジアムだ」
別府〜ビッグアイ
メキシコサポとエールの交換。
「大分ハーモニーランド」を出た一行は約1時間で今夜のベースキャンプ、別府鉄輪温泉「おにやまホテル」に到着。ロビーには、今夜の試合を見るためにはるばる海を越えてきたメキシコサポーターが多数。イタリアユニフォームを着た泊まり客が通るとブーイングの嵐。早くも、ここは戦場。日本代表Tシャツを着た娘を見ると、「ニッポン!」コール。娘、またもや引きまくり。オイラはお返しに「メヒコ!」コール。国際親善&ホストカントリーとしての礼儀である。
やつらは既に飲んでいた。
「Good Luck!」と今夜のメキシコの健闘を祈り、「Final,Japan and Mexico」と言うと喜んでくれて、テキーラの小瓶とメキシコ帽子のミニチュアをプレゼントしてくれる。しまった、お土産にミニ扇子ぐらい用意してくればよかった。次回は忘れないようにしようと心に誓う(次回って、いつやねん)。楽しいアミーゴたちであった。しかし、こんなことはまだまだ序の口であることをスタジアムでイヤと言うほど思い知らされる。
シャトルバスでスタジアムへ。
別府公園シャトルバス発着場。観戦チケットを持っている人は無料で大分スタジアム・ビッグアイまで連れて行ってくれる。義母と息子を宿に残し(メキシコ人サポーターの中に残し)、我々はタクシーで発着場まで来た。スタジアムまでは高速道路を利用して約45分。現在、4時30分。キックオフまで4時間。まだ、発着場は混雑はしていない。座席が埋まるとバスは出発。立って乗ることはないようだ。
地元のみなさん、ありがとう。
地元、大分の関係者やボランティアの仕事ぶりには、本当に頭が下がる。笑顔を絶やさず、親切に我々を導いてくれる。ただ、一部においては、不愉快な光景も目にした。例えば、これは待機中の白バイ隊員。我々がバスに向かうすぐ横で煙草をプカプカ。携帯灰皿は持ってるんだろうな。ワイルド7じゃないんだから。総じて、立場の上の人や、仕事で動員されているであろう人に、イヤな態度の人が多かったように感じる。
まだまだ、盛り上がってないなあ。
スタジアムの座席位置によってバス乗り場が別れている。我々の座席はイタリアサイド。よって、ここにはメキシコ人はほとんどいない。さきほどのメキシコサポーターとの交流が楽しかったので、バスも一緒かなと期待していたが残念。ゆったり観光気分でバスは別府の町を走り、高速道路から一路、ビッグアイへ。斜め前に座っていたイタリア人のおじさんが、娘の日本代表Tシャツを見て、鼻で笑った。ナメンナ、コラ。気分はすっかりアミーゴ メキシコサポ。敵地に乗り込む気になるオイラ。
イオンがサポーターに占拠された。
シャトルバスはスタジアムの発着場に到着。スタジアムまで徒歩で15分らしい。近くには、イオングループの一大アミューズメント施設「パークプレイス大分」がある。ジャスコをはじめ飲食店街やミニ遊園地まである。観戦客で大混雑。ここで、早めの夕食を摂ることにする。パスタと生ビールで意気上がる、オイラと妻。いったいオイラはイタリアサポなのか、それともメキシコサポなのか。いやいや、フットボールフリークなだけです。
スタジアムへ、スタジアムへ。
スタジアムへの道を観客が続々と歩いてゆく。イタリアユニフォームを着た日本人の数、異常に多し。何人のトッティを、何人のデルピエロを見ただろう。バッジオも何十人といるぞ。帰りの混雑を嫌い、早めにスタジアムを出ようと相談していた我々だが、生ビールを飲んですっかりご機嫌。「最後まで見るしかないでしょ」と大盛り上がり。道路をメキシコサポを乗せた観光バスが通る。窓から大ブーイング。アミーゴ!
おお、あれがビッグアイ。
ビッグアイが見えてきた。15分と言ったのに、それ以上歩いているぞ。子ども連れだから遅いのか。ビールはすっかり抜けている。しかし、長い階段だなあ。あれを昇るのか。朝からはしゃぎまくった娘は、少しお疲れ。「抱っこして〜」と甘える。娘を抱えて階段を昇る。もう少しだ、もう少しでスタジアムだ、W杯だ。時間は6時30分。キックオフまで、あと2時間。
セキュリティチェックを受ける。
スタジアムの第一ゲート。ここで、セキュリティチェックが行われる。一人一枚ずつチケットを持ち、ゲートをくぐる。娘も、チケットを持ち、金属探知器でチェックされる。こんなガキんちょでもカテゴリー1、¥17,000である。「こんにちは」と係の人やボランティアの人が笑顔で声をかけてくれる。やっと着いたぜ、ビッグアイ。
まだまだ、道は遠いぜ。
甘かった。セキュリティゲートをくぐると、またもや階段。それも、かなりの段数。我々の座席は、バックスタンド側で、バリアフリーもユニバーサルデザインも無視した超階段ルート。ちなみにメインスタンド側は急坂。山を切り開いて造られたスタジアムなので、いずれのルートも急傾斜。眺めは良いが、「抱っこして」を連発する娘を抱えたオイラは、汗だくでヘトヘト。
ようやく入場口に到着。
ようやく、スタジアムの入場ゲートにたどり着く。しかし、入場後も2階席の我々はスタジアム内の急傾斜の狭いスタンドを娘を抱えて昇ることに。ようやく座席に着いたオイラは気分が悪くなる。吐きそう。そりゃ、朝4時起きでキティの毒にやられてるもんなぁ。時間は午後7時すぎ。キックオフまで、あと1時間あまり。しばし、座席でへたり込む。
to be continued
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