第16回「夢と魔法の王国〈後編〉」東京ディズニーリゾート 
妻は泣く泣くキャンセル。
最終日は朝食の『シェフミッキー』でスタート。ディズニーアンバサダーホテルの朝食はミッキーたちが挨拶にくる。妻は料理長の格好をしたミッキーと写真を撮りたい。オイラは「本当にその手で朝飯つくったんやろな」とミッキーを問いつめたい。しかし、子どもたちの前日までの様子を鑑み、予約キャンセルをフロントに連絡。「子どもたちが怖がるので」と説明すると、電話の向こうでスタッフが「エー!」と驚いていた。ミッキーを怖がるなんてという反応。はまった人には、はまらない人の気持ちがわからない。これはもう宗教である。
荷物を預かってもらい、ホテルをチェックアウト。我々は3日間通しの3dayパスポートを買っていたのだが、1日目、2日目はディズニーランドかディズニーシーかあらかじめどちらかを決めておかねばならない。3日目はどちらでも入園できる。ちなみに2日間通しの2dayパスポートは、どちらかひとつしか入園できない。それって、なんだか不便だし、勝手じゃないかい。
ミニーちゃんへのお手紙を渡す。
まずディズニーランドへ。できればディズニーシーにも行きたいが、東京駅3時50分発の新幹線に乗らねばならない。時間との競争になる。開園と同時に入場。妻と祖母は息子用にベビーカーを借りに行く。娘とオイラはインフォメーションセンターに向かう。せっかく娘が書いてきたミニーちゃんへの手紙。本人には恐くて渡せないのでインフォメーションセンターで預かってもらうのだ。スタッフに事情を話すと快く預かってくれた。お返しにミニーちゃんのシールをくれた。写真は自宅へ、ディズニーのスタンプが押された絵はがきを送るため、ポストに投函中。
バズ人気はスターウォーズを超えたか!?
人気の最新アトラクション『バズ・ライトイヤーのアストロブラスター』へ向かう。初日の日曜日は2時間以上待ちで断念した。火曜日の今日は、さすがに空いているだろうと思ったのだが、開園早々からダッシュで並ぶ人ばかり。時間を指定して乗れるファストパスにも長蛇の列。待っていたら、それだけで時間が過ぎるのであきらめる。祖母と子どもたちがベンチでポップコーンを食べている間に、妻と『スターツアーズ』に行く。こちらは待ち時間ゼロ。
オイラがディズニーランドで一番好きなアトラクション。映画『スターウォーズ』の世界が体感できる。昨秋、アメリカのディズニーランドでジェットコースターが脱線し死亡事故が起きたためか、安全確認がしつこかった。シートベルトを絞めて立ち上がってもはずれないかまでチェック。映像を見ながら乗っているライドが揺れるアトラクションだが、前方の席は映像が見えすぎてアラがわかる。後方の乗るのがおすすめ。今回は最後尾の左側。前に座席がなく、揺れにまかせて足を思いきり降っても大丈夫。「イャッホー!」とハン・ソロのような声を上げて大騒ぎする。
あのプーさんを撃て!
『スターツアーズ』を終えて子どもたちの所に戻ると、ポップコーンバケツが風でひっくり返り、地面にポップコーンをぶちまけて大変だったらしい。清掃スタッフがすぐに飛んできてキレイにしてくれたが、その間ハトや雀がポップコーンをついばみに来て、子どもたちは楽しかったそうだ。ミニーちゃんのお家を見たいという娘を無視して、『プーさんのハニーハント』に移動。恐がろうが、怯えようが、騙してでも今日はアトラクションに乗ると妻は堅い決意。
映像と人形で『くまのプーさん』物語を体験できるライド型アトラクション。嫌がる息子も無理矢理乗せる。大人にすれば子供だましのアトラクションだが、息子は怖がってプーさんをバズの光線銃で撃ち続ける。娘は堅く目をつぶっている。妻はそれでも乗れたことに大満足。怖がる娘に「大丈夫だよ。恐くないよ。プーさんだよ。可愛いよ」と言い続け、とても疲れる。一昨日も楽しんだ『キャッセルカルーセル(回転木馬)』に乗り、次に『空飛ぶダンボ』へ。ダンボ型のライドが回転しながら高く飛んだり、低く飛んだり。娘はゴキゲン。屋内で暗くなったり音が大きかったりするアトラクションがダメなんだね。
アトラクションの乱れ乗り。
こうなりゃヤケだ。台風一過で気温がぐんぐん上昇する中、行く手にあるアトラクションに手当たり次第に乗る。西部の街をゆく『ウエスタンリバー鉄道』。風をうけて気持ちがいい。シカやプレーリードッグなど作り物の動物がいる風景。時折動物が動くため、子どもたちは本物だと思っているようだ。インディアン集落もあったが、あれも本物だと思っただろうか。しかし、この列車は途中から突如、地底の恐竜たちの世界へ。またまた、暗い、うるさい、恐いの大合唱。
勢いをかって『ジャングルクルーズ』になだれ込む。子どもたちが「恐くない?」と聞いても「恐くない、恐くない」と大合唱。息子は危険を察知して、「降りる〜!」と騒ぐ。ふん、知ったことか。「さあ、動物さんがいっぱい見られるぞ!」と乗り込む。『ジャングルクルーズ』はスタッフと乗客の質によって面白さが左右される。今回、我々が乗り込んだのボートはスタッフも下手で、乗客のノリも悪い。天下のディズニーランドもやはり人の質で決まるのだ。船を下りて、早めの昼食に。写真は前日、ディズニーシーで購入したミッキー提督のカチューシャ。息子のお気に入り。
花見じゃないんだから。
昨日まで台風の影響で中止されていたパレード、『バズ・ライトイヤー夏の大作戦』は本日ようやく開催。巨大水鉄砲で水をまき散らしながら山車が進む。11:30のスタートを前に、早くも通路は大きなレジャーシートをひろげ、座り込んだ場所取りに占拠されている。10年ほど前に来た時は、こんな不愉快な光景はなかった。みんな立って、良識の範囲で譲り合って見たものだ。誰が始めたか、それとも花見好きの日本人のDNAか、誠に醜い風景だ。アメリカンじゃないぞ。ディズニーランド側ではあきらめているのか、シートと荷物だけでの場所取りは撤去するが、一人でも座っているなら許可している。通行の邪魔だし、夢と魔法の王国っぽくない。
息子、危機一髪!
我々はパレードを無視して、『プラザパビリオン・レストラン』へ入る。窓際ではなかったが、パレードも一応は見えた。味については、もう言うまい。しかし、息子の様子が変だ。食が全く進まない。顔色も悪い。風に当てようと外に連れ出すが「ケポしたい」と言う。ケポとは嘔吐、もどす、ゲロのこと。やばい!とあたりを見回すがレストランの入口で花壇があるだけ。ここで吐くわけにはいかん。レストランの窓に近づき、中にいる妻に大きく手を振って危険を知らせる。しかし、気づかない。そこで息子を抱いて店内へ。頼む、もってくれ。
妻を呼び出し、事情を説明する。妻と息子は女子トイレへ。入った瞬間、息子の泣き声と妻が「大丈夫よ」とあやす声が聞こえた。間に合ったのか、間に合わなかったのか。席に戻り、祖母に加勢を頼む。オイラは娘と女子トイレの前で待つ。利用しようとする人の後ろから覗き込むと(かなり怪しい行為)、トイレの床が白くなっている。
後で聞くと、便器まで間に合わずに床にゲロをまき散らしたが、ちょうど清掃のスタッフがいて、床のゲロに薬剤をかけるとあら不思議、ゲロは粉末になり、それをほうきで掃いて掃除してくれたそうだ。さすが、夢と魔法の王国。ゲロも魔法でアッという間に消えちゃった。吐いて楽になった息子は元気になった。暑さと、無理矢理のアトラクションと、食事の質とで気持ち悪くなったようだ。
さらば、夢と魔法の王国。
ディズニーリゾートとのお別れが近づく。オイラは預けておいた荷物を取りにホテルへ。残りの一行は、もう少し園内に。午後3時をまわり、暑さもピークの舞浜駅前で家族と再会。息子も元気そうだ。聞けば、出口ゲート付近でまたもやキャラクターに遭遇。しかし、今回はアリスやメアリーポピンズなど、人間そのままだったので、娘はまったく恐くなく、一緒に写真を撮ったり握手をしていたそうだ。しまった!その手があったか、着ぐるみじゃないキャラもいたのか!と思ったが、後の祭り。3日間のフェスティバルはここに終わりを告げた。

帰路の新幹線は最後の力を振り絞って、子どもたちの世話。名古屋駅に着くと、みどりの窓口前で等身大のミッキーマウス看板が笑っていた。息子はそのミッキーに向かって「しんかんせんでね、いったよ」と話しかけていた。
the end


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