動物保護運動の虚像

―その源流と真の狙い―

梅崎義人 (成山堂書店、1999)

 

「グリーンピース」という国際的な環境保護団体の名前はよく知られていますが、核実験に抗議したりする一方で、捕鯨反対運動なども行っていて、以前からその主張や行動にはちょっと首を傾げたくなることもありました。しかし、まさかこんなひどい団体だったとは・・・

近代以降、WASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)を中心とする白人たちの手前勝手な「世界戦略」に、有色人種は常に泣かされてきました。植民地支配のような露骨な搾取はもとより、独立後の「援助」という名の経済的支配、傀儡政権を通じた間接的政治支配の例は、枚挙にいとまがありません。しかし、「動物愛護」の美名の下に、まさかこんなひどいことまでやっていたとは・・・

私たちにとって身近な問題でもある(であった?)鯨をはじめ、アザラシ、海亀(べっこう)、象(象牙)などなど、さまざまな大型動物の「保護」を錦の御旗にして、有色人種の生活に根付いた一次産業を撲滅するのが、彼らの目的のようです。最初からそれだけが目的なので(動物の保護など、そのための手段にすぎない)、彼らには一切の論理が通じないし、そもそも相手の声を聞く耳を持たない。絶滅の危機に瀕してなどいない、というデータを突きつけても、我々の言うことはハナから信じようとしないのです。末端で行動している「善良な市民」たちも、救いがたい連中ですが、背後で糸を引いている奴らこそ、許せない。

グリーン・ピースをはじめ、環境保護団体、動物保護団体の「活動家」たちは、それが職業になってしまっているので、活動を止めることができないのです(止めたら失業する)。だから、次から次へと保護の対象を見つけだし、あるいはでっち上げて、保護の必要性を必死になって宣伝する(もちろんデマ宣伝です)。そして、莫大な寄付を集める。集まったお金を使って、また宣伝し、次の標的を探す。このような団体が存在する限り、有色人種の生活基盤の破壊は果てしなく続くでしょう。鯨だけでなく、まごまごしていると、サケ・マス・マグロなども私たちの食卓から消えてしまうかもしれません!

本書は巨大な組織を持つ国際環境保護団体(環境マフィア)の実態と、その活動の究極目的を、事実に基づいて明らかにしています。

昔、米国の著名な科学者、カール・セーガンの『コスモス』を読んだとき、鯨の「歌」について長々と解説した後に、「こんなに頭のいい鯨を、日本人は殺してその肉を食べている」と書いてあったのに呆れ果てた記憶があります。どこの国にも、無知で傲慢な知識人はいるものですね。そう思っていたら、リチャード・ドーキンスの『悪魔に仕える牧師』にもこんな一節がありました。「(カバとブタとクジラの相互近縁関係については)2050年には、その他の無数の論争とともに、なんらかの形の決着がついていることだろう。なぜ決着がついているだろうと言えるかといえば、カバゲノム計画、ブタゲノム計画、クジラゲノム計画(日本の友人たちが、それまでに食べ尽くしていなければ)が完了しているはずだからである」。ドーキンスよ、お前もか! 翻訳者(垂水雄二氏)も「日本の友人たち」の一人ではないかと思いますが、抗議しなかったのでしょうか。

 

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