コバン(アルタ・ベラパス県)

COBÁN(Alta Verapaz)

コバンを見下ろす高台にあるカルバリオ教会からの眺め。緑豊かな街の南に広がる草原は牧場。


目次
観光情報 コバン市街図
生活事情 アルタ・ベラパス県略図
ホテル バスの時刻表
近郊の町について 現地語で挨拶

■コバン最新事情(2003年6月現在)
 コバンの中央公園の改装工事がようやく終わったそうだ。1年くらいトタンの板で覆われていて、中で何をやっているのかさっぱりわからなかった。
 ところで、改めて写真を眺めてみると、真ん中にある展望台の色が塗り変わったくらいのような気がする。話によれば、ベンチや舗装が新しくなったらしい。そんなの、市民の憩いの場を取り上げたうえで、1年もかけて実施するような工事ではないような気がするけれど。
 ちなみに夕暮れ時には、この公園のまわりには屋台がたくさん出て、簡単な夕食を取ることができる。
【追記】情報提供者からの補足。公園内の舗装が全面的に入れ替えられたそうです。おそらく、これに時間を費やしたのでしょうとのこと。
 それでも工事はまだ2/3ほど残っている。
 コバンは今、陸路を使った観光コースの中継地点となりつつある。首都から最大の観光資源であるマヤの遺跡、ティカルはコバンを越えてさらに北へと向かう。これまでは道路の舗装状態が悪く、大型バスを走らせることが難しかった。
 豊かな自然環境からエコ・ツーリスムの拠点としても注目を浴び、欧州連合や日本の援助で観光開発プロジェクトの計画も進んでいる。おそらく数年後には随分様相も変わっているだろう。
 5月。恒例のコバン国際ハーフマラソンが実施された。国際なのに「ハーフ」というのがどうも中途半端でグアテマラっぽい。市民マラソンのような感じで、80Q(約1240円)ほどの参加料を払えば誰でも参加できる。
 例年アフリカからの招待選手が上位を占めるが、コバンの住民は順位などはそれほど気にせず、みんな参加そのものを楽しんでいる。
 夜はディスコなども出て、街の人々はこの大会が一年で一番盛り上がると、毎年心待ちにしている。
 街の入り口に新しくマクドナルドが出来た。僕などは地元のバーガーショップの方がおいしいと思うのだが、やはりアメリカ文化への憧れは強いらしく、かなり話題になった。もちろん首都には既に数多くの店舗がある。
 マクドナルドの後ろにある茶色の屋根は、首都を中心に展開する建設中の高級スーパー。
(掲載写真はすべてコバン在住のS隊員による)

   アルタベラパスAlta Verapazについて

■アルタベラパス県概要
名称  ベラパスという名前は「真実の平和Verdadera Paz」という意味であり、この地方が16世紀、フライ・バルトロメ・デ・ラスカサス司教により平和的手段によって統治されたことに由来する。
 この地方の名前が文献に登場するのは古く、キチェ族の聖典『ポポル・ブフ』において、キチェ族が人間の敵が住む地下の国シバルバーへの入り口として描いたのが、ベラパス地方である。シバルバーの入り口とされたニム・シオブ・カルチャフとは、この聖典の発見者であるレシーノス神父によれば、現在のアルタベラパス県最大の町であるサン・ペドロ・カルチャのことである。また、シバルバーの住人は「悪者」および「みみずく」たちであるとされているが、「悪者」とは同時にイッツァの地、つまりペテン州に住む人々をさし、「みみずく」とはトゥクルの土地に居住する人々をさす。トゥクルとは現在のトゥクル市のことであろう。
かつてベラパス地方はアルタおよびバハの両ベラパスを含んでいたが、1877年5月4日の政令により二つの県に分割された。
人口 543,777人(1994年)
面積 8,686平方キロメートル
県庁所在地 コバンCoban
市町村 16の市町村に別れている。それぞれの名称は以下の通り。
略図参照。

1.コバン 2.カーボン 3.チャハル 4.チセック 
5.フライ・バルトロメ・デ・ラス・カサス 6.ランキン 7.パンソス 
8.サン・クリストバル 9.サン・フアン・チャメルコ 
10.サン・ペドロ・カルチャ 11.サンタ・クルス・ベラパス 12.セナウ 13.タクティク 14.タマウ 15.ツクル 16.サンタ・カタリナ・ラ・ティンタ
言語および文化 人口の大部分はインディヘナ(89%)であり、他の県と比べて非常に高い比率を占める。
公用語であるスペイン語以外で使用されている言語はマヤ系の言語であるケクチQ'eqchi'およびポコムチPoqomchi'である。ポコムチ語圏は県南部、主としてバハベラパス県との県境付近に広がり、県庁所在地を含むそれ以外はケクチ語圏である。
気候 北部のペテンに連なる低地では気温は30℃前後まで上がり、高い湿度と相まってここが熱帯に位置することを改めて認識させられるが、中部から南部にかけての高地では年間を通じて15℃〜20℃程度であり、まず過ごしやすい気候であるといえる。熱帯雲霧林の影響で雨が多く、「コバンは13ヶ月雨が降る」とまで言われている。通常5月から10月にかけてまでが雨季であるが、コバンでは他の地域が乾季に入っても雨が降り続く。チピチピと呼ばれるこの地方特有の霧雨が長く降り続き、晴れ間がほとんどない日々が続くことも多い。12月から1月にかけてはかなり気温が下がることがあり、セーターや上着が必要になることも多い。
産業 住民の主要な生産活動はコーヒー栽培を主とする農業である。その他の生産物は米、カルダモン、砂糖キビ、トウモロコシ、インゲン豆(フリホーレス)などである。
グァテマラのコーヒーは世界的に有名であるが、その一大産地がベラパス地方である。香辛料の一種であるカルダモン(カルダモモ)は主としてアラビア方面に輸出されている。
また、南部の山岳地帯の山腹で蘭やシダ類の栽培も行われている。
 畜産もまた重要な産業の一つである。南部のタクティクTactic では高地の涼しい気候を利用し、酪農加工業が営まれている。
鉱業分野では鉛plomoと亜鉛cincの鉱山がかつて存在した(15年ほど前に廃坑)。岩塩と石膏の鉱脈もあるが採掘されていない。県北部においては石油採掘も行われ、パイプラインがカリブ海沿岸までのびている。
観光  観光はアルタベラパスにとって重要な産業の一つである。特に恵まれた自然環境は観光資源の宝庫であると言っていい。カリブ海に注ぐ河川が石灰岩質の大地を刻みあげて作り上げた美しい渓谷美が、セムク・チャンペイやラス・コンチャスなどで見られ、多くの観光客を惹きつけている。ランキンやカンデラリア、サン・マルコスなどの鍾乳洞も有名である。クレーター湖であるラグナ・ラチュアなどは、まだそれほど知られていないが、非常に美しく、一見の価値はある。
 南部バハベラパスとの県境付近は熱帯雲霧林がひろがり、原種の蘭が咲き国を象徴する鳥であるケツアルもしばしば姿をみせる。
近年ではエコ・ツーリズムやコーヒー農園ツアーなども行われている。キャンプ場などもあり、バーベキューなども楽しめる。
 例年5月には国際ハーフマラソン、7月末にはインディヘナの女王を選ぶラビン・アハウがコバンで開催され、多数の観光客が訪れる。
料理  七面鳥のスープであるカクイックおよび亀のスープが有名である。飲み物としてはサトウキビから作る醸造酒、ボッフが村々で作られて飲まれている。またカクイックの後にはカカオを飲むのが正式とされている。


参考資料は、主として筆者による聞き取りや新聞、および文献等に依る。

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