ここ数日、哉太の様子がおかしい。
入学して少したって、学園でたった1人の女子に、クラスメイトが漸く普通に接するようになったころ、
当の女子である夜久月子は、幼馴染の七海哉太の様子がおかしい事を気にしていた。
購買に行っては菓子やらパンやらを買いこんできて、片端から食べてみては、難しい顔をしている。
昼も購買、おやつも購買、夜も購買。おそらく朝も購買。
入寮して以来、どんなに間が開いたとしても、2日に1度は錫也に何か作ってくれと頼んでいたのに、もう丸3日も購買生活を続けている。
更には日に日に表情が険しくなっていく始末だ。
これは、尋常ではない。
「哉太、どうかしたの?」
「ん?何が?」
「最近ずっと、錫也のご飯食べていないじゃない。喧嘩したわけじゃないよね?」
「は?喧嘩なんかするわけねーだろ。…あー、えっと、アレだ。
その…今のうちに、錫也怒らせてメシ作って貰えない時の非常食を試しておこうと思ってさ」
「そんなことになるとしたら、哉太が悪いんじゃない。
それに錫也は優しいから、ちゃんとごめんなさいしたらご飯作ってくれるよ」
「ほっとけ。あくまで念のためだ。念のため」
なんだか誤魔化されたような気がするが、
哉太がそんな事を言うのと錫也に告げると、
まあ、何か考えがあるんだろうから、もう少し見守っておこうというので、もう少し黙って見ていることにした。
<<1:結局オカンのが一番うまい。
>>3:おいしいと思ってくれるのは嬉しいけれど。
SS