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子連れで目指せ、エアーズロック

旅のあれこれ

★ジェットスター航空 ★キャンピングカー情報 ★キャラバンパーク事情 ★運転事情 ★アリ軍団の恐怖 ★スチュワート・ハイウェイでよく見るもの ★タイガーエアウェイズ ★想定外 ★アボリジニのこと ★エコな旅? ★旅の生活

★ジェットスター航空

今回日豪の往復に利用した航空会社はジェットスター。カンタス航空の子会社で日本に就航してまだ日が浅い。

オーストラリア往復4万円(但し、平日等に限り、また各種税金等は除く)という安さを売り物にした航空会社で、希望者のみに有料で食事などのサービスを提供する。
コスト削減は底していて、お金を払わないと毛布もイヤフォンももらえず、無料で出してくれるのはミネラルウォーターのペットボトル1本だけである。

こうした低価格、低サービスの航空会社を、ローコストキャリア(LCC)と呼ぶそうである。


ローコストキャリアは私としては大歓迎。腹が減ってもいないのにこってりした機内食を出され、こんな食事要らないから料金安くしてくれとずっと思っていた。

ただ、成田空港のチェックインカウンターの行列にはうんざり。コスト削減のために要員を切り詰めているのだろうが、いくらなんでもカウンターが2つというのは行き過ぎだ。たいした人数が並んでいるわけでもないのに、30分は待たされてしまった。

この点さえ解消されれば、ジェットスター航空で問題なしである。

最近はこうしたタイプの航空会社が世界的に増えているようで、オーストラリア国内線でも他に2、3ある。

私も初めて知ったのだが、こうした航空会社は唐突にバーゲンセールをやるのである。「今日から1週間の予約に限って、●●〜○○までの区間は通常の半額ですよ。」といった具合に。

今回私がジェットスター航空の予約をしたのは4月下旬のことだったが、予約をした翌日になってジェットスター航空からバーゲンのお知らせメールが届いた。今日から1週間のうちに予約をすると料金は通常の半額だという。

おいおいいくらなんでも予約をした次の日に半額かい、とショックを受けた私は、ダメモトでジェットスター航空に電話をしたが、予想どおり、「一日違いであっても変更はできません。」との冷たい対応。

いくら粘ってみても駄目そうなので電話を叩き切った私だったが、よく調べてみると、私の出発する6月6日は土曜日でバーゲンの対象外だったので、ほっと一安心。

でも時間が自由に使える人にはこのバーゲンセールはものすごくお得である。

成田空港のジェットスター航空のカウンターに行列している人たちの年齢層がやけに低かった(多くは20代)のは若者がバーゲンセールを利用しているからなのかもしれない。


★キャンピングカー情報

恐らく多くの日本人はキャンピングカーに憧れのような感情を持っているのではないだろうか。私もそんな日本人の一人だった。

このHPを見た人たちがオーストラリアでキャンピングカーに挑戦してもらえるよう、私なりに情報提供してみよう。

・予約方法

ネットで「オーストラリア キャンピングカー」と検索すると、かなりの数の日本語サイトにヒットする。キャンピングカーについての基礎知識なども丁寧に説明してくれるサイトもあり、貴重な情報源である。

また、私たちに代わってオーストラリアのキャンピングカーレンタル会社に申し込み等の手続きを行なってくれる会社もいくつかある。(代理店のようなものか?)


キャンピングカーのブランド(ブリッツ、アポロ等)、車種、季節、期間等によりきめ細かく料金設定がされている。最初は代理店を通した方が日本語で質問できるし手間もかからないと思ったのだが、結局はオーストラリアのキャンピングカーレンタル会社(ブリッツという会社)のHP(英語)から直接申し込みをした。手数料を取られない分、多少安かったように思う。(ちなみに私の場合はブリッツのボイジャーという車種で、13日間1796ドル(約13万円)だった。)


・現地での受け取り

海外でレンタカーを利用する方も多いだろうが、普通は空港にカウンターがあり、その近くに駐車場もあるので利用は簡単だ。

だが、キャンピングカーの場合、車が大きく広い駐車場が必要なためか、営業所は空港とは全然別の場所にある。

私がキャンピングカーを受け取ったのはダーウィン郊外の営業所。

予想外に大混雑しておりだいぶ待たされた。説明はというとDVDプレーヤーを渡され、自分が借りる車の使用方法を説明したビデオを見ることになる。映像で何となく感じはわかるが、英語がほとんど聞き取れないので不安になる。しかし、結局は大丈夫だった。キャンピングカーはそんなに複雑なものではない。(と今では思う。)


・ギア方式

マニュアルかオートマか、これが意外に大問題。キャンピングカーはほとんどがマニュアル車なのである。

私たち家族の場合、エースドライバーは妻。学生時代はバイクのサークルに入っていたこともあり、乗り物大好きである。しかし、妻はマニュアル車での運転経験はほとんどないため、出発前はだいぶ不安を感じていた。

対策として出発前に日本でマニュアル車(軽トラック)を借りて練習しようという話も出ていた。


そんな折、ブリッツのボイジャーという車種だけはオートマチック車もあることをHP上で発見した。問い合わせたところ、主にオートマチック車だがマニュアル車もあるが、予約の際にオートマチック車の確約は出来ないとのこと。この車種は4人用で私たち(3人)には少々大きく料金的にも割高なのだが、オートマチック車の可能性に賭け、ボイジャーを予約しておいた。

そして当日、ラッキーにもオートマチック車を割り当てられた。


・電気・ガス・水道

キャンピングカーはモーターハウスとも呼ばれており、まさに走る家だ。家で大切なインフラは、電気・ガス・水道。さあ、どうなっているのだろうか。

(電気)

キャンプ場のパワードサイト(電気付きの敷地)には当然ながら電気コンセントがある。

郵便ポストのような感じで、棒状の柱の上に電源ボックスが載っている。表現が下手なのでわかりづらいかもしれないが、誰でもすぐにこれが電気コンセントとわかるから心配無用。

キャンピングカーに電源コードが用意されているので、キャンプ場のコンセントと車の側部のコンセントにそれぞれプラグを差し込めば、それだけでOK。

これで電気は使い放題である。


(ガス)

プロパンガスのボンベが車の側部に積まれているので、キャンプ場に着いたら、そのバルブを開けてやる。これだけでOK。

私たちの場合は当初充填されていたガスで旅行中賄えてしまったのだが、もしガス欠になったらガソリンスタンドなどで充填してもらえるようだ。


(水道)

キャンプ場の電気コンセントの近くには水道の蛇口がある。キャンピングカーに水道ホースが用意されているので、蛇口にホースをつないでキャンピングカーの側部のタンクに給水してやる。

・キッチン

私の借りたキャンピングカーのキッチンは、普通の家庭のキッチンをものすごくコンパクトにした感じだった。水道の蛇口とシンクがあり、コンロは2口。わきには電子レンジもある。もちろん狭いが料理をするには十分な広さだった。

キッチンで使った水はどうなるかというと、そのまま車外(シンクの真下)に垂れ流しとなる。別にそんなに汚い水なわけでもなく問題無し。


・シャワー・トイレ

キャンピングカーの中でも高級車種となるとシャワー・トイレが付いているようだ。便利なような気もするが、キャンプ場のシャワー・トイレはとても清潔なので、特に車に付いていなくてもよいのではなかろうか。もし車にトイレが付いていると、汚物の処理が面倒くさそうである。


・ベッド

キャンピングカーによって様々なタイプがあるようだが、私が借りたボイジャーは5人用で、2階に2人、1階に3人寝ることができる。

2階といってもあまりイメージはわかないかもしれないが、ボイジャーは通常のバンよりも天井部分が高くなっていて、そこが寝室になる。高さがせいぜい50cm程度の狭い空間で、はしごでよじ登ることになる。

1階部分は昼間はテーブルとソファーでくつろげるようになっていて、夜はテーブルを外して寝室とする。当然2階よりも広々としたスペース(普通のバンの空間)で、3人寝ることができる。

 

私たちは3人なので、1階部分だけを寝室として使っていた。しかもテーブルをいちいち付けたり外したりするのが面倒くさいので、1階は常にフラットな状態。広さは3畳くらいであろうか。

これだと室内でくつろぐときに少々狭い。トランプをするにもパソコンを使うにもあぐらをかくしかないので、すぐに腰が痛くなってしまう。それに息子がすぐにおもちゃなどで散らかし放題だ。そう、(入ったことはないが)だらしのないホームレスのテントのような状態なわけである。

しかし、旅の最後の最後になって下手な使い方をしていたことに気が付いた。やはり2階を寝室(2人用)として使うべきだったのだ。そうすれば、1階には1人寝るだけなのでテーブルを出しっぱなしにしておいても大丈夫。(ソファー部分に十分寝れる。)そうすれば、1階は3人が腰掛けることができる、とてもリラックスした空間になる。

この使い方に気づいたときに、あのホームレス状態は何だったのかと愕然とした。しかし、おかげで親子3人が毎日、川の字で寝ることができたともいえる。(笑)


・キャンピングカーは高いか、安いか

何となくキャンピングカーの雰囲気がわかってもらえただろうか。

さあ、こんなキャンピングカーは経済的なのだろうか、それとも贅沢なのだろうか。

今回私が払ったレンタル料は1日約1万円。キャンプ場への支払いが3人分で約2000〜3000円。

普通のレンタカーの旅だと、レンタル料は1日約5000円。ホテル代はピンキリだが、キャンプ場のコテージならばせいぜい7000〜8000円。

ということでレンタカー代と宿泊代を合計すると、ほとんど変わらないことになる。(キャンピングカーも普通のレンタカーも1万2000〜3000円)
今回の私のケースではたまたまイーブンだったわけだが、旅の季節や人数などによってはキャンピングカーが割高にも割安にもなる。
しかし、私としては迷うことなくキャンピングカーでの旅をお勧めする。その理由はあとで詳しく書いてみたい。


★キャラバンパーク事情
・設備

キャンピングカーのことをキャラバンカーと呼ぶこともあり、キャンプ場をキャラバンパークと呼ぶのが一般的だ。
しかし、キャラバンパークはキャンプ場だと説明しても、キャンプ場にあまり行ったことのない人(私もあまり行ったことがない)にはあまりイメージがわかないかもしれない。

キャラバンパークの中は町のようになっていて、いろいろな設備が整っている。トイレ、シャワー、コインランドリー等の旅には欠かせない設備はもちろんのこと、プールやレストランなどの設備を持つところも多いようだ。

妻は日本で多少キャンプ経験があるので聞いたみたが、日本のキャンプ場はこんなに設備が整ってはいないそうだ。特にトイレやシャワーなどは不衛生なところも多いらしいが、今回泊まった十数か所のキャラバンパークはとても衛生的で、キャンプ初心者にも全く問題なしである。

キャラバンパークならではの設備は電源と水道である。電源のある敷地をPowered Site(パワードサイト)というが、区画ごとに電気コンセントと水道の蛇口が用意されている。キャンピングカーをその敷地に停め、ケーブルで車と電源を繋いでやればもう電気は使い放題だし、車の給水タンクに蛇口からホースで水を補給してやれるのだ。

自分としては電気と水をうまく使えるか(操作方法がわかるだろうか)と心配していたが、拍子抜けするほど簡単だった。


圧倒的にキャンピングカーの人たちが多いのだが、キャラバンパークの中には電源のない敷地もあり、テントを張って過ごしている人たちもいる。

また、キャラバンパークの中にはコテージやキャビン(どちらも小さな建物だが、より設備の整っているものをキャビンと呼ぶようだ)を備えているところもある。私もこれまで何度かキャラバンパークのコテージやキャビンに泊まったこともある。

キャラバンパークに興味のある方は、まずはコテージやキャビンを体験したらどうだろうか。


・人々

町に近いキャラバンパークはお年寄りが多いように感じる。生活の匂いのするキャンピングカーも多い。花の鉢植えがあったり、衛星アンテナを設置してあったり、洗濯物の干し方といい、旅をしているというより生活をしているという感じなのだ。

キャンピングカーのことをモーターホームとも呼ぶそうだが、リタイヤしたあとのんびりと1年中旅しているお年寄りも多いのだろう。今回の旅行で気が付いたのだが、東海岸のあるキャラバンパークには、何と泊り客用の郵便受けがあった。まさにホームになっているわけだ。

おしゃべり好きのオージー(オーストラリア人)にとってキャラバンパークは出会いの場所でもあるようで、他のキャンピングカーを行き来している人たちも多い。

日が暮れて満天の星空のもと、ビール片手にいつまでも楽しげな会話が続いている。


★オーストラリアの運転事情


そんなに数多くオーストラリアを車で旅したわけではないが、これまでの経験で日本の運転との違いを一番感じるのは制限速度に対する運転者の姿勢(制限速度の順守具合い)である。


日本では60km道路でも簡単に80kmくらい出しているが、こちらではほとんどの車がきちんと制限速度を守っている。

ヤンキーのような兄ちゃんも制限速度を守っているのだ。国民性に由来するのか、当局の取り締まりが厳しいのかはよくわからないが、一つ言えるのは、制限速度を道路状況に即して、60km、80km、100km、130kmと設定しているので、制限速度で運転していてもさほどストレスを感じないのだ。

日本のように「こんな田舎の道路で人っ子一人いないのに制限速度60kmは変だよな。」と感じることがないのである。こちらで運転をしていると、制限速度が有名無実化してしまっている日本の状況がかなり奇異に感じられるのである。


★アリ軍団の恐怖


カカドゥのキャラバンパーク(カカドゥ・ロッジ)で昼食後にのんびりと椅子に腰を下ろし、何気なくすぐ脇の木に目をやるとびっくり。赤茶色の無数のアリがその木のかなり高い所まで行列をなしてよじ登っているのである。整然と指示に従っているような雰囲気で、3列縦隊くらいできびきびとよじ登っている。


そのときは興味本位で、ただすごいなぁと思うだけだったが、夕方になるとそのアリたちが私たちのキャンピングカーの傍の芝生の上にまで進出してきているではないか。昼過ぎにはそんなアリは芝生には全然いなかった。(ように思う。)

このままでは私たちはこのアリに征服されるてしまうのではないかと恐怖を感じた。(少々大袈裟だ)


それで私は蚊取り線香で防御しようと考え、彼らの最前線に蚊取り線香を据えたのだった。赤茶色のアリと蚊取り線香の戦いである。

じっと観察していると蚊取り線香によじ登ってくるではないか。勇敢にも火のついている赤い部分に足を踏み入れるやつもいる。しかし、彼(アリ)は身を焦がし、じきに動かなくなった。よし、これで人類の勝ちだと私は確信した。じっと観察していると、アリの大群はその蚊取り線香から先にはなかなか進軍できず、彼らの勢いは止まったのである。


多少不安に感じながら眠りについたが、翌朝になると彼らは跡形も無く消えていた。芝生の上にも木の上にも1匹もいないのである。

ほっとはしたが、彼らの統率の取れた行動には背筋がぞくっときたのであった。(やはり少々大袈裟)


★スチュワート・ハイウェイでよく見るもの

ダーウィンからアデレードまでの2800km余を縦貫しているのが、スチュワート・ハイウェイだ。私たちはアリススプリングスまでの約1500kmをお世話になったわけだが、このハイウェイでよく見るものを挙げてみよう。

・キャンピングカー


ハイウェイといっても日本のように高架になっているわけではなく、多少幅の広い田舎道といってもいいくらいだ。中央分離帯もなく、片側1車線の対面通行である。

交通量はあまりなく、たまに車とすれ違うくらいだ。すれ違う車で目に付くのはキャンピングカーだ。感覚的には全体の半分くらいはキャンピングカーではないかと思うくらいキャンピングカーとはよくすれ違う。アウトバックは今が旅に絶好の季節なのできっとキャンピングカーが多いのだろう。すれ違うときに片手で合図をしてくれるドライバーも多い。キャンピングカーで旅する仲間という意識があるようだ。

・ロードトレイン


キャンピングカーの次によくすれ違うのは、ロードトレインである。ロードトレインという言葉は聞き慣れないと思うが、巨大なトラックが貨車を2台、3台と牽引しているのである。まさに道路を走る列車であり、トラックの先端に「ROAD TRAIN」と記したプレートを掲げている。オーストラリアならではの輸送車両である。すれ違うときの風圧がすごい。思わずハンドルを取られそうになるくらいだ。
鉄道好きの息子は電車のようなトラックに大喜びである。

・カンガルーの死骸

オーストラリアの自動車の多くは、ルーバーと呼ばれるプロテクターのような物を車の先端に取り付けている。走行中にカンガルーが飛び出してきたときにこのルーバーでカンガルーを跳ね飛ばし、車の損傷を防ぐためのものだ。カンガルーは夜間明るいものに向かって飛び込む習性があるそうなのだ。

スチュワートハイウェイを走っていると、跳ね飛ばされたと想像されるカンガルーの死骸をしばしば目にする。最初は驚いたが、あまりに頻繁に目にするためにもう驚かなくなってしまった。カンガルー以外に目にしたのは、巨大なカエル、もぐらのような生き物等々いろいろだ。

あっと驚いたのは牛。前方にかなり大きな物体を発見してスピードを緩めて慎重に車を進めたところ、何と巨大な茶色の牛が片足を上げて横転しているではないか。

まだ轢かれてからさほど時間が経っていないように思えるくらい、生々しいものだった。野生の牛ではなく、恐らく放牧されていた牛ではないかと思う。

その牛は例外として、スチュワートハイウェイは野生動物の墓場といえよう。

・アリ塚

ノーザンテリトリー北部で車を走らせていると、ソフトクリームのクリーム部分の形(円錐形)によく似た茶色の物体によくお目にかかる。これがアリ塚である。

小さいものから大きいものまで様々である。本などには10mのものもあるなどと書かれているが、私が目にした最大ものもは2mほどであろうか。

どうしてアリがあんなに巨大なものを建設(?)できるのかは謎である。そしてその中がどうなっているのかは興味津々である。


★タイガーエアウェイズ

今回オーストラリア国内(アリススプリングス→メルボルン→マッカイ)で利用した航空会社はタイガーエアウェイズ。タイガーエアウェイズもジェットスター同様のローコストキャリアである。


ジェットスターについて既に書いたように、私としてはローコストキャリア歓迎なのだが、タイガーエアウェイズの利益追求の浅ましさにはいささかげんなりした。

アリススプリングスでの受付カウンターでのこと。預ける荷物の重量制限が1人7kg。うちの家族は合計で3kg超過なので45ドル払えと言う。荷物の中にはケチャップやら缶詰やら安くて重いものがいろいろと入っていたので、じゃあそういう物を捨てるから荷物から出したいと言うと、それならばもう一度列に並べ直せと言うのだ。

1分もあれば余分な荷物を出すことができるのに、まるで嫌がらせである。


ああ、お金が腐るほどあればこんな飛行機には乗らないんだよなぁ。


★想定外

旅は始まる前が一番楽しいという。
私も同感である。いろいろな想像をして頭の中で既に旅は始まっているのだが、実際に旅をしてみて思っていたとおりのこともあれば、想定外のこともあった。

ここでは想定外だったことを挙げてみよう。

・キャンピングカーの生活


キャンピングカーの旅は楽しい。思っていたよりもずっと楽しい。

宿に泊まると次の目的地に行くときに荷物をまとめチェックアウトをし、、といろいろと面倒くさいが、キャンピングカーだと、室内(車内)が散らかっていてもちょっと片付ければ出発OKなわけで、この利便性は素晴らしい。ものぐさの私にとっては非常にありがたい。

食事を屋外で食べられるのも楽しさの一つ。簡単なものでも屋外で食べるととても気持ちよく美味しく食べられる。

また、キャンピングカーで旅しているとお隣さん(隣に車を停めている人たち)とも自然と挨拶をするし、コミュニケーションも多くなる。ホテルの旅ではこういうことはあまりなかった。


・オーストラリアの大自然


これまでの旅行でもオーストラリアの自然のすごさはそれなりに経験していた。しかし、アウトバック(オーストラリアの内陸部に広がる、砂漠を中心とする広大な人口希薄地帯)の自然は一味違った。見渡す限りの大平原、果てしなく続くハイウェイ。これが毎日毎日続くわけで、圧倒され続けた。これぞ大自然だ。


・キャンプ場の清潔さ

トイレもシャワーも掃除が行き届いている。トイレとシャワーは一緒の建物なのだが、隅の方にモップが置いてある。一説によると、シャワーで床を濡らしたときはこのモップで床を拭くのがマナーだそうだ。


・空の青さ・星空の美しさ


空が青い。これまであまり経験したことのないような色合いで、まさしく澄みきった青色である。

星空も素晴らしかった。天の川が当たり前のように毎日見えるのだ。雲すらもあまり見かけないノーザンテリトリーの乾期の旅ゆえの楽しみかもしれない。


・息子のタフさ


息子は出発時に4歳7ヶ月足らず。

喘息の気があって医者に月に1回通っているが、太っていることもあって体力はかなりある方で、滅多に熱を出すこともない。

そうはいっても3週間の旅に息子が耐えられるだろうかと多少の心配はあった。もちろん万一病気になったときのために現地の病院を調べたりはしておいた。ただダーウィンからアリススプリングスまでの縦断中は大きな町はほとんどない。心配すればきりがないので、そのときになったら最善を尽くそうと出発したわけだ。


旅の途中で最初に体調を崩したのは私。出発して1週間目くらいだったが、ニトミルク国立公園でのハイキングで日射病になってしまい、半日寝込んだ。

妻も旅の後半に疲れからか体調を少し崩した。

しかし、息子は体調不良のそぶりすら見せず、最後の最後まで元気そのものだった。元気すぎて手を焼いて困ったくらいで、当初の心配は全くの杞憂に終わった。我が子ながらあっぱれと言いたい。


・キャンプ場の混み具合

現地の学校は6月末から夏休みに入るので、その前に旅すればきっと空いているだろうと思っていた。しかしそれは大外れ。ノーザンテリトリーの乾季は旅しやすく、また避寒を求めて海岸地帯の人々がいっぱい旅している。特にリタイア後の年配の方が多い。

ユララ(エアーズロック)のキャンプ場だけは妻の助言もあり日本で予約をしておいた。私は予約の必要はないと考えていたが、妻が正しかった。

・アボリジニの多さ

これまで旅行したオーストラリアの海岸沿い(シドニー、ケアンズ、ブリスベン、メルボルン、パース等)では、アボリジニの人々はほとんど印象に残っていない。もちろんアボリジニが原住民ということは知っていたし、アボリジニア・アートが土産物屋でたくさん売られてはいたが、ほとんど印象に残らないくらいその数は少なかったように思う。

ノーザンテリトリーの町はアボリジニの人々が多く、私の知識不足が原因だが、これは全くの予想外であった。(アボリジニの人々については、後述参照)

・物価高

オーストラリアは物価が安くて旅しやすいなぁというのが、過去の経験からの私の漠然としたイメージだった。また為替(豪ドル)も昨年の高値(1ドル105円)からだいぶ下落(旅行開始当時は1ドル75円)していたので甘くみていたが、想像以上に物価が高かった。

キャンプでの生活はほとんど自炊だったので、スーパーで買出しをするわけだが、野菜、卵、牛乳、オレンジジュース等とても割高に感じた。日本の3〜5割増しくらいの感覚だ。(但し、牛肉は安い!100g150円も出せばかなり美味しい肉が買える。)


日本がデフレだった10年間にオーストラリアは物価がずっと上昇していたわけで、以前言われた内外価格差は解消したといってよいのではなかろうか。


★アボリジニのこと


これまでオーストラリアを何度か旅行したが、ほとんどが海岸沿い(シドニー、ケアンズ、ブリスベン、メルボルン、パース等)で、内陸部はこれが初めてだった。


これまでと違って目につくのはアボリジニの人々。ダーウィンでもキャサリンでもアリススプリングスでも独特の風貌(天然パーマの髪の毛、腫れぼったい瞼、ぎょろっとした目、黒茶色の肌、細い足、、、)が目に付くのだ。

これまで私があまり見たことがない風貌だし、裸足の人も多く、ちょっと怖い感じがする。


これまで私にはアボリジニはオーストラリア大陸の先住民という知識くらいしかなかったが、この旅に持参した本(谷村志保著「時のない島」)を読んで多少は知識を得ることができた。

アボリジニは数万年前からこの大陸に住み、狩猟と採集により厳しい環境を生き抜いてきた。しかし、約200年前にイギリス人がこの大陸にやってきてからは土地を奪われ虐殺され散々な目に遭ったわけだ。

彼らがユニークなのは、文字を持たない代わりに絵や歌で多くの情報の伝承をしてきたことだ。文字が無いから文化が無いというわけではなく、彼ら独自のかなり特異な文化を持っている。ただ、アボリジニの文化に関する研究はそれほど進んでいるわけではないようで、まだまだ未知の部分を多く残した民族のようなのだ。


ノーザンテリトリーではアルコールの販売時間が厳しく決められている。平日は午後からしか販売しないし、日曜日は販売禁止だ。今回旅をしていてずいぶん不便に感じ、何故こんな厳しいルールを作ったのか不思議だった。

一説によるとアボリジニにあまりアルコールを売らないためとのことだ。アボリジニの数万年の歴史にはアルコールの存在はなかったので、アルコール分解酵素を彼らは持っておらず、ビール程度のアルコール濃度の低い飲み物で簡単に酔っ払ってしまう。だが、一度アルコールの味を覚えてしまうともう逃れられず、酔ってすぐに喧嘩をするし、アル中になってしまうアボリジニも多いらしい。


アリススプリングスの酒屋(ボトルショップ)は平日は午後2時に開店する。開店に合わせてビールを買いに行ったが、たしかにアボリジニが多いのだ。皆開店を待ちかねていたようで、24本入りのボックス買いをする者も多い。

厳しい販売規制はアボリジニ対策だというのもあながち嘘ではないように思う。


現在アボリジニの人口は35万人程で、200年前に比べてかなり減ってしまっている。アボリジニの人口はオーストラリア全人口の2%くらいだが、福祉予算の25%をアボリジニに費やしている。

たしかに町でアボリジニの姿はよく目にするが、町で働いているアボリジニの姿はついぞ目にしなかった。


数万年もの間狩猟と採集の独自の生活スタイルを築いてきた彼らに、たった200年で現代生活に適合しろというのは無理な話のような気もする。石器時代の生活から200年でインターネットの世界に来てしまったわけだから、まるでタイムマシーンに乗って現代に来たようなものではなかろうか。

そんな適当な表面的な感想しか持てなかったのだが、アボリジニの文化・生活は奥が深い(謎に満ちている)ようで、帰国してからアボリジニ関係の本をもっと読んでみたい。


★エコな旅?

オーストラリアは自然に恵まれた国であることは異論のないところだ。そして一般的にはその自然を守るための姿勢も高く評価されているようだ。

そんな国で大自然の中をキャンピングカーで旅するというと、いかにもエコなイメージである。


しかし、キャンピングカーの旅は決してエコではないと思う。

私たちの借りたボイジャーは排気量2600ccでキャンピングカーの中では小さな車種で、オーストラリア人はもっと大きなキャンピングカーで、荷物をいっぱい積んで旅している。当然ながら燃費は悪く、恐らくリッター7〜10kmくらいであろう。大家族で旅をすればまだしも、この季節の旅行者はリタイアした夫婦2人連れが多い。1人当りのガソリン消費量を考えると、エネルギーの無駄使いの見本のような旅なのだ。

旅の途中でそんなことをふと考えた。


しかし、オーストラリアは資源を輸出するくらいいっぱい持っている資源大国だ。資源大国で旅するときは、うるさいことは言いっこなし。資源をじゃんじゃか使ってもまあいいのではあるまいか。
本当にエコな人はキャンピングカーなど乗れないかもしれない。


★旅の生活


こちらは冬なので朝は明るくなるのが遅い。7時くらいにならないと明るくならないので、ついつい寝坊をしてしまう。日本では6時前に起きていたが、7時近くなってようやく起床である。


食はキャンピングカーのキッチンで簡単に作る。妻と私の交代制だ。トースト、ハム、チーズ、卵、フルーツ、牛乳、コーヒー、こんな程度である。キャンピングカーの脇にテーブルを出して食べるのだが、屋外で食べると何を食べても美味しく感じられる。


キャラバンパークに連泊するときはのんびりと子供と遊んだり、軽いハイキングに出かけるが、移動するときは朝9時過ぎには出発することが多い。少々早いような気もするが、キャラバンパークはけっこう混んでいるので、次のキャラバンパークに早く着いた方がよい場所を確保できるのだ。


昼食は毎日のようにサンドイッチ。サンドイッチを作るのは私の仕事だ。材料は朝食とほとんど同じ。毎日同じような物を食べていて飽きそうなものだが、意外と飽きない。移動日は車の中で食べることになるが、ハイキングの途中で食べるときもある。やはり屋外で食べると美味しさ倍増だ。


3〜4日に一度は洗濯をする。キャラバンパークには洗濯室が必ずある。もちろん有料でほとんどの所が3ドルである。洗濯室の前が干し場になっている。3人で干せばあっという間に洗濯仕事はおしまいだ。


夕方にシャワーを浴びることが多い。シャワーは無料できちんとお湯も出る。

シャワーを浴びたあとは夕食の準備。夕食も妻と私の交代制だ。私はたいして料理ができるわけでもないので、キュウリやトマトなどの野菜を切ってサラダを作り、あとはお決まりのステーキ。やはりこちらは牛肉が安い。100g150円も出せばかなり美味しい牛肉が買える。スーパーで2〜3日分買いだめしておくことが多い。

夕食も朝食同様、キャンピングカーの脇にテーブルを出して食べるのだが、気持ちのよいことこの上ない。夕焼けに染まる空、せまりくる夕闇、そして星が瞬き始める。

ビールが美味い!


夕食のあとは星空観察。キャラバンパークの中は意外と明かりが多い。トイレの明かり、隣のキャンピングカーの明かり等。だからすごい星空を見ようと思ったら周囲に空き地を探してそこに行ってみる。そうするともう天の川くっきりの世界である。天の川は白い煙のようにもやもやとしているのがよくわかる。(私は最初は煙と勘違いしたほどだ。)

息子が好きなのはデジカメによる星空撮影。今回買ったデジカメはよくできていて、星空撮影モードというのがあり、シャッタースピードが60秒(つまり60秒間シャッターを開放する)なのだ。液晶画面が残り時間を60、59、58と表示するのが息子には面白いらしい。さすがに天の川までは写らないが南十字星くらいはばっちりと撮影できる。


星空観察が終わればもう寝る時間。遅くても9時に親子3人就寝の日々である。