乗りにくい路線(北海道、東北)


 北海道

 人口密度が低いうえ、面積が広大な北海道は、札幌付近など一部を除いて運転本数が少なく、全線にわたって乗りにくいともいえます。超閑散路線の多くは特定地方交通線として、国鉄〜JRへの移行期に廃止されてしまったわけですが、近年、人口減・高齢化の進展にJR北海道の経営悪化が追い打ちとなり、各線で減便が続いています。同社が「単独では維持困難」と訴える路線も多く、できるだけ多くの路線が残ってほしいものです。

 【1日1往復】北海道旅客鉄道・札沼線(浦臼〜新十津川)=2020/05/07廃止
 札幌都市圏に位置する起点からしばらくの区間は電化されていますが、末端は極端に列車本数が減ってしまいます。特に浦臼以北は2016年3月26日のダイヤ改正で、究極の1往復だけになりました。新十津川発9時40分発の石狩当別行き上り列車は「日本一早い最終列車」としてよくメディアなどでも取り上げられます。
 「1日1往復」というと、1984年4月1日に廃止された国鉄・清水港線(清水〜三保8.3km)が思い出されます。こちらは下りは朝、上りは夕方の運行と時間帯が離れていました。往復とも乗車するのは難しく、81年に朝の下り列車に乗った私は、頻繁に運行されている並行する路線バスで清水駅に戻りました。清水駅のホームは東海道本線とは大きく離れており、発車時間が迫る中、駅員さんに乗り場を教わり、慌てて駆けつけたことを思い出します。
 なお、新十津川駅からの帰路も、そのまま往復するのでなく、函館本線・滝川駅にバスなどで抜けるルートがよく知られています。ちなみに私は、歩いて移動しました。 

 【下りのみ3本】北海道旅客鉄道・函館本線(七飯〜大沼<藤代線>)
 函館本線・七飯〜大沼は仁山駅経由の本線(西回り)と途中駅のない通称「藤代線」(東回り)の2ルートがあります。藤代線は下り専用で、以前は特急列車もこちらを通過していました。ところが2016年3月26日に北海道新幹線が開業。終着駅が七飯〜大沼間の新函館北斗駅(渡島大野駅から改称)となったことから、特急は全て本線経由に変更となり、藤代線を経由するのは下り普通列車の一部のみとなってしまいました(下り貨物列車は引き続き藤代線経由)。普通列車といえども新幹線接続の使命は担うので、藤代線経由の普通列車は3本のみです。
 藤代線は本線の別線線増とみなされているため、独自の営業キロは設定されておらず、『鉄道要覧』にも記載はありません(差異の大きい別ルートを参照)。このため本線とは別に乗車対象とするかどうかは各人の考え方次第。私は「なるべく乗る」というスタンス(私の乗りつぶしルールを参照)です。実際には乗車済みですが、かなり以前に特急列車で一気に通過したため、あまり記憶に残っていないのが残念です。

 【1日4往復】北海道旅客鉄道・函館本線(長万部〜蘭越)
 通称「山線」の定期列車は現在、普通列車のみ。北海道新幹線が札幌まで開業すると、並行在来線としてJRから経営分離されることになりますが、そのとき在来線はどうなるでしょう。

 一日5往復未満の路線はこの2区間だけですが、普通列車や各駅停車を乗りつぶしの条件とする人にとっては、さらにハードルは高くなりますね。

 【普通列車はゼロ】北海道旅客鉄道・石勝線(新夕張〜新得)
 これは有名。開業当初からずっとこんな格好です。もっとも、利用する列車にこだわらなければ、特急がたくさん走っているので、むしろ北海道では乗りやすい部類に入ります。なお、新夕張〜新得の相互発着の場合には、乗車券のみで特急自由席への乗車を認める特例があります。
 2004年3月13日に新夕張〜占冠間の楓駅が廃止されるまでは、新夕張〜楓間には、旧線(夕張線枝線)時代の名残の普通列車が走っていました。楓駅はスイッチバック形態で、その先には進めませんでした。2000年3月ダイヤ改正で従来の2往復が1往復に減り、さらに01年7月改正で日曜日は運休という経緯を経て、ついに駅自体の廃止(信号場への格下げ)に至りました。

 【普通列車はゼロ】北海道旅客鉄道・海峡線(中小国〜木古内)=2016/03/22定期列車運転終了
 2002年12月のダイヤ改正で快速「海峡」が特急「スーパー白鳥」「白鳥」に格上げされたのに伴い、石勝線と同様に普通列車の走らない区間になってしまいました。このため、蟹田〜中小国〜木古内の相互発着の場合には、石勝線と同様に、乗車券のみで特急自由席への乗車を認める特例が設けられました。

 【普通列車は2往復】北海道旅客鉄道・石北本線(上川〜白滝)
 【普通列車は3往復】北海道旅客鉄道・石北本線(白滝〜遠軽)
 上川〜白滝間には天幕(2001年2月1日から冬季営業休止)、中越、奥白滝、上白滝の4駅がありましたが、利用者がほぼ不在のため01年7月1日に天幕、中越、奥白滝の各駅が廃止となり、16年3月26日には上白滝駅が廃止となりました。白滝〜遠軽にも、他に旧白滝、下白滝、新栄野の3駅がありましたが、前2駅は16年3月26日、新栄野駅は06年3月18日に廃止されています。この結果、5駅連続だった「〜白滝」ファミリーは白滝駅だけに。上川〜白滝37.3kmは在来線の最長駅間距離となっています。

 【普通列車は4.5往復】北海道旅客鉄道・宗谷本線(名寄〜音威子府)
 【普通列車は3往復】北海道旅客鉄道・宗谷本線(音威子府〜幌延)
 【普通列車は3.5往復】北海道旅客鉄道・宗谷本線(幌延〜稚内)
 名寄〜稚内は183.2km。他に特急3往復が走っているとはいえ、これだけ長い距離にわたって低密度の輸送が続くのは、北海道内でも群を抜いている印象です。

 【普通列車は4.5往復】北海道旅客鉄道・室蘭本線(長万部〜豊浦)
 特急街道でも、普通列車に限ると閑散としており、電化区間ながら全て気動車で運行されています。途中には近年、「秘境駅」として脚光を浴びる小幌(こぼろ)駅もあり、停車するのは下り2本、上り4本です。

 東北

 JR東日本は、新幹線の延伸にあわせて一部のローカル線のテコ入れに努めてはいますが……。

 【1日3往復】東日本旅客鉄道・岩泉線(岩手和井内〜岩泉)=2014/04/01廃止
 【1日4往復】東日本旅客鉄道・岩泉線(茂市〜岩手和井内)
=2014/04/01廃止
 この線は、旧国鉄時代に特定地方交通線として廃止対象となるはずでしたが、「代替道路未整備」を理由に、国鉄が運輸省への指定申請を撤回、廃止が見送られているという経緯があります。しかし、輸送量が少ないのは厳然とした事実で、厳しい状況ですね。
 豪雨災害のため、2010/07/31から運休となり、その後一度も列車が走らないまま、廃止となってしまいました。
 この欄の記述は、記録のため、削除せずにそのまま残させていただきます。

 【1日4往復】東日本旅客鉄道・只見線(小出〜大白川)
 【1日3往復】東日本旅客鉄道・只見線(大白川〜只見)
 【1日3往復】東日本旅客鉄道・只見線(只見〜会津川口)
=2011/07/30から運休中。22/秋、JR東日本(第2種)・福島県(第3種)の上下分離方式で運転再開予定
 日本一の豪雪地帯を走ることで知られる同線も、運転本数は少なく、乗りづらい路線の一つです。豪雨で運休が続く区間は、存廃が取りざたされています。

 【1日4往復】東日本旅客鉄道・山田線(上米内〜川内)
 もともと人口希薄の山間部のうえ、盛岡〜宮古の都市間連絡機能は、国道を走るバス「106急行」に完全にシフトしてしまいました。このうち下り2本、上り1本は快速「リアス」)。途中にあった大志田駅は2016年3月26日に廃止となりました。

 【普通列車は4往復】東日本旅客鉄道・田沢湖線(赤渕〜田沢湖)
 秋田新幹線「こまち」はたくさん走っていますが、県境区間を結ぶ普通列車はわずかです。

(2022年01月02日最終更新)


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