Preface/Monologue1999年9月


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霧ガ峰・八島湿原
ここまでのCover Photo:霧ガ峰 八島湿原
4 Sep 1999
気がついたら日本列島の太平洋側に秋雨前線が張り付いている。天候の予測のつかない時期の幕開けだ。

今朝窓を開けて見上げれば、陰鬱な曇り空。で、今日は本当は山に行っているはずなのだが、なぜか家にいて昔の山行記録などを書いている。何日も前から週間予報を眺めては、くるくる変わる予報に何度も計画を変えたため、出発当日になって気疲れしてしまったのだった。

明日は晴れるそうだから、気を取り直して日帰りでどこかに登りに行こう。....しかしここで決意表明するとたいてい実現しないで終わるからなぁ。今晩は早寝しよう。
10 Sep 1999
先日「もう秋か」にみたいなことを書いたのに、ここしばらく南関東では夏日が続いている。日中着ている上着が暑いの何の。

この前の日曜日は富士山の北方に屏風のように並んでいる御坂山塊の山を歩いてきたが、夕方3時頃には稜線の気温が11度にまで下がるほど涼しく、軽装で来ないでよかったと思っていたのだった。

それがこの陽気だからなぁ。季節の変わり目は何を着ていったらいいのか迷うときが多い。今週末この近辺は曇りがちのようだから、Tシャツだけで山に出掛けるのはやめといたほうがよさそうだ。
14 Sep 1999
昨日からの風邪を押して出社する。今日の東京近辺の空は、朝から「うろこ雲」とかが浮かんでいて、空の上だけはもう秋だなと思っていたのだった。

今年の10月は最初の三週の土日が仕事やら何やらで潰れることが決まっていた。本日の定時退社時刻頃、さらに土日がもう一回潰れそうなことを言われる。一年を通して秋山を楽しみにしていた身には、とても平気で聞けるものではない(仕事だから仕方ないとは言っても)。

こうしてあまり気分の高揚していない状態で帰宅し、家の近くまで来ると、突然の雨。そのとき傘無し。玄関まであと50メートルのところで土砂降りに。

今日は間際になって悪いことが降りかかってくる日だったのかも。
19 Sep 1999
最近、クライミング向け筋力アップを目指してダンベルによるトレーニングを始めた。軽いものを選んだのだが、肩や上腕後ろの筋肉がないことがよくわかった。ダンベルに付いてきた説明書きによるとトレーニング効果は三ヶ月先に出るらしいが、筋肉痛はすぐさま現れたので。
話は変わるが、重い知的障害と重度身体障害を併せ持つ人々がいる病院を視察後、記者会見の席上で石原東京都知事曰く、「あの人たちには人格があるのかね」(9月18日朝日新聞朝刊)。
これには嫌悪感を覚えた。「人格がない人間」があるとして、それはどういうものだと考えているのだろうか。動物かモノと同じだと考えているのなら恐ろしいことだ。
こういう発言を軽率にすること自体、それこそ「人格」を疑われても仕方がない気がする。立場上、もう少し考えて発言すべきだろう。
26 Sep 1999
台風18号が通り過ぎる中を雲取山に登って山小屋に泊まる。

小屋へは18時過ぎに到着。「今頃来てなんだ!台風も来ているというのに」と、小屋主から怒られる。「先に着いている人はもう寝てるんだ。人に迷惑をかけるんじゃない!」。反論できないので、黙って聞いているのみ。
次からは2時間早く家を出るか、幕営する事にしよう。

翌日から二日かけて東京都と埼玉県の境(いわゆる長沢背稜)を歩いた。人がほとんど歩いていないことは、道を横切るように張り渡されたクモの糸に何度もひっかかったことで知れた。
27 Sep 1999
北海道の後方羊蹄山の山頂でツアー登山客が遭難したという。台風が来た直後の、暴風警報が出ていたような悪天候に登ったらしい。北海道には船旅二泊で入ってニセコアンヌプリに登り、その翌日の登山だったそうで、体力を消耗していた可能性もあるとか。

山頂で命を落とすというのは残念な結果だと思う。そうなる危険を犯してまで頂上を目指す必要は全然ないはずだが....でも北海道だからなぁ。おいそれと再訪できるところではないし、引き返すふんぎりがつかなかったのかもしれない。新聞の報道によると、事故に遭われた方たちは山登りには慎重な人たちだったということだが、今回は判断ミスがあったものと思える。

あと、「ツアー登山」というものについて....。添乗員だかガイドだか肩書きはどうあれ、引率者は参加者を無事下山させることに責任があるのであって、登頂させることは二の次だと思うのだけど。強制力がない、つまり「リーダー」ではないってことなのかな。現実にはどうなっているのだろう。

ほぼ同じ時期に山に登った自分としては、先日の榛名山(相馬山)のときと同様、あまり偉そうなことは言えないのだが。
でもやはりいろいろ思うのですね。
ともあれ、詳しい事実関係などの確認は今後の山岳雑誌に載るはずの記事を待つつもり。

※後方羊蹄山(しりべしやま;略して羊蹄山(ようていざん)と呼ばれる)
30 Sep 1999
東海村のウラン加工施設で放射能漏れが発生したという。茨城県では、事故施設を中心とした半径10Kmの地域に住む人々に明日の朝まで外出を控えるよう勧告しているらしい。

こういう事態なのに、「あした学校は休みになりますか?」という問い合わせが自治体にあったという。どこか的が外れていないだろうか。放射能被爆の危険より勉強が遅れることの危険の方が大きいと考えているように思える。

外出を見合わせる旨の勧告が取り消されて初めて「では学校は?」となるはずで、家にいた方がいいとされている状態では、休校になろうがなるまいが、明日は子供を家にいさせると考えるのが親たるもののなすべき判断だと思う。

どことなく、あの丹沢・玄倉川での避難勧告を聞き流した人たちの感性に近いものがあるような気がする。 

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