Preface/Monologue2000年10月


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1 Oct 2000
とりあえず英語版をrelease。記事は3本しかないが、ないよりはましと思って....。英語が間違っているかもしれないが、書かないと何も伝わらないと思うし....。

五輪の閉会式について書いていたら、だいぶ長くなってしまったので、急遽雑記帳化。屁理屈こねてます。
5 Oct 2000
秋である。紅葉が来たと思ったら冬枯れの山になるのは早い。温泉の湯煙が恋しくなる。落ち葉を踏んで歩く静かな山に行きたくなる。いろいろあってなかなか行けないけど。

木々の葉が落ち始めたら雪が来る。落ちる前から来ているところもあるようだ。そういう高いところはさておいて、真っ白になったところをクロスカントリースキーで歩きに行くだろう。また奥日光になるだろう。でも一冬に一度行くだけで終わるにちがいない。低山ハイクに回数を割くつもりだから。(でもゲレンデスキーにも行くかもしれない)
8 Oct 2000
山梨県は道志の御正体山に日帰り。山道はほとんど樹林のなかで遠望の利かない山だが、とくに稜線の林相は次々と変化して飽きさせない。山中湖方面への山稜は人も少なくて落ち着いていた。

夕暮れ、ガスがかかってきたので石割山まで行くのはやめ、山伏峠から車道に下りてバス停のある平野まで半時間くらいかけて歩いた。ここは交通量は多いのに路側帯が狭く、できればもう歩きたくないところだった。
12 Oct 2000
来年1月11日より、朝日新聞社から「週間日本百名山」なる週刊誌が出るそうだ。基本的に一号で二山について特集し、登山ガイド、山小屋情報はもとより、「著名人」の山行エッセーとか山麓の温泉・観光スポット案内なるものまで付くという。オールカラー36ページで560円。なんだかタダで宣伝してあげてるような気もする。「百名山」ブームを煽っているような気も、ちょっと....

出版社といえば、平凡社と日立が合弁で設立した「日立デジタル平凡社」は今年3月で精算されていたとのこと。「世界大百科事典」のCD-ROM版も生産中止だそうだ。今年4月に行った有明でのブックフェアでこのCD-ROMが投げ売りされていたのはそのせいか....
それもそのはず、平凡社本体が24億もの累積損失を抱えているという。郊外の倉庫から、本社まで売却するという状態で、リストラまでするそうだ。ここは平凡社ライブラリー(HL)で佳い山の本をたくさん出してくれているし、ぜんたいに良心的な本を出版しているところで、ぜひ続いていってほしい本屋である。ささやかながら支援のつもりで、まずは未購入の山関連HLを手に入れよう。加藤泰三の「霧の山稜」も、ハードカバー版を持っているが、買ってしまおう。これが心意気というものだ、と思う。(代わりに音楽CDを買うのを少々手控えないと....)
13 Oct 2000
自宅や職場周辺ではキンモクセイの香りが漂っている。毎年というもの、これが自分にとっての秋到来のサインである。

学生の頃、渋谷のデパートでこのキンモクセイの香水を洒落で首筋とかにつけたことがある。ところがそのつけた量が多すぎて、乗り込んだ帰りの電車の箱いっぱいにキンモクセイの臭いが充満することに。自分の近くにいた女性の二人連れは「なんかトイレの臭いがしない?」とか言っているし、一緒に出かけた妹には他人のフリをされ、きわめていたたまれない状態になってしまった。本来ならもう一本電車を乗り換えて帰るところを「これ以上衆目のあるところにいたくない」とばかり、適当なところで下車してタクシーで帰ったのだった。....しかし乗り合わせた乗客のかたはいい迷惑でしたでしょうねぇ....。

こういう(辛い)経験があるものの、やはりキンモクセイの香りは金色に輝く小さな花とともに心を浮き立たせてくれる。「今年もまた、自分の季節が来た」、と。この時点から、平地で落葉樹の葉が落ちきる頃までが、実はいちばん好きな時期なのである。自分の誕生月もあることだし。
15 Oct 2000
2年ぶりに連れと二人で長野県の戸隠を訪れる。紅葉の盛りの時期は初めて。人も多いが、稜線や山腹の彩りが鮮やか、カエデの赤がことに見事。

10月だというのにすっきりしない空だったが、それでも雨が降り出す不安をおして何度目かの飯縄山に登る。登りだしてしばらくすると一面の曇天になったが、山頂に着く頃にはいくらか雲も切れてくる。すると足元の戸隠高原の彼方、雲海の遥か上にすっきりとした山姿が現れる。あの高みは....

戸隠連峰の最高峰である高妻山は、波打つ雲の波間から唐突に山頂部を浮かばせていた。そこは自分のいるところと地続きとはとても思えず、天上とかの別な世界のように思えて仕方ない。下山の足を何度も止めては、憧憬の念を催させる眺めに見入るのだった。
19 Oct 2000
職場の近くの東京中央郵便局では、郵便局だというのにときおり地方物産展が開かれる。デパートの特設会場で行われるようなものだが、ミス○○とかも来て地元の名産品を配ったりするほど地元の意気込みは本格的である。

ちょうどいまは大分名産展とかで、食品や工芸品が並んでいる。なんとはなしに冷やかしていたら、名菓「かるかん」があるのに気付く。山芋と米を合わせたもので餡を包んだ饅頭で、大福のようには粉っぽくない食感が好ましい。要するに好物なのである。一箱買ったら、傍らにいた二人連れの中高年ビジネスマンの片割れが相方に話しかけて、「かるかんって、うまいんだよね」。

甘党にはお勧めです。
25 Oct 2000
日曜から三日間ほど、ひさびさに風邪で寝込む。季節の変わり目は体調管理が難しい。病気して知る健康のありがたさ、か(笑)。

「○心と秋の空」のたとえ通り、なかなか天気が安定しない。次の週末も本州中央部はやや天気は崩れるようだ。それでも土曜は保ちそうだから、快気祝い(?)に日帰りで近場にでも行ってみるか、と今から復活モードである。我ながら意欲だけは元気なものだと感心する。
26 Oct 2000
「岳人」11月号でプロの山岳ガイドが「中高年登山」の波は引き始めているように思えると発言していて、そんなものかな、と疑っていたが、この「第二次登山ブーム」と言われた高まりは数年前にピークを迎えたと本日某紙夕刊に書かれているのを見て、ほんとかもしれない、と思い始めた。こちらの署名はスポーツ用品雑誌編集者である。
大流行のツアー登山にかげりが見えてきたということなら、静かな山を好む者としてはとりあえず歓迎である。他人の後をついて歩くだけの人が、だんだんつまらくなってきてやめてしまったんじゃないかな、たぶん。

ところで、来月11,12日に名古屋で行われる中日カップ国際大会なる体操大会にルーマニアのあのアンドレーア・ラドゥカンが来るそうである。ひょっとしたらシモナ・アマナールも一緒かもしれない。

名古屋に行きたいなぁー(笑)
29 Oct 2000
昨日は山をあきらめ、昼前には空が一面の雲に覆われたのを電車の窓から眺めつつ、新宿は小田急美術館でのベッティナ・ランス写真展(2000年10月18日〜11月6日)というのに出かけていった。

「フランスの女性写真家が挑む現代の宗教画」との謳い文句で、現代版『聖書の物語−イエスの生涯』が綴られている。自分はキリスト教徒ではないのだが、やはりこの物語には惹かれるものがあるので、どんなものか確かめたかったのである。

予想と違って、写真パネルは幅も高さも1メートル以上あり、その中に粒子の肌理も細かな画像がいかにも人工的な光景を映し出している。聖母マリアはリゾート風の海岸近くに持ち出されたベッドの上に横たわって受胎告知を受け、軽トラックが停まっている駐車場でキリストが生まれる。誕生を祝福しに来た東方の三博士は、ミュージシャンだか怪しげな教祖だかわからないような人物に仕立て上げられていて思わず笑いを誘う。
だが作者はオリジナルを茶化すことではなく、今風にアレンジされてもなお感じ取ることのできる元々の物語の強さを示すことを意図したと思える。キリスト教が優勢な国や地域ではよく知られた話を通じて、素朴さとはかけ離れた「現代」という時代を表すことも考えのうちにあったはずだ。

土曜の昼に行ったのだが、来館者は圧倒的に若い女性が多く、男性は見たところ二人か三人くらいしかいない。その数少ない男性の自分は最初浮いた感じがしたものだが、展示内容に見入っているうちに気にならなくなった。

カタログがほしいものだ、と思ったが、絵画展と違って個別作家の写真展というものにはそういうものが無いのである。出展されていたより多くの作品をおさめた写真集が会場出口で売られており、「これを買うしかないのか」と手にしてみたが、1万円近くもする値段におそれをなし、そのままカウンターに戻したのだった。

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