雑記帳


英国版新年の抱負 part1
イギリスで発行されているCOUNTRY WALKINGという雑誌を購読して2年目になる。2006年1月号(#221)には”50 GREAT IDEAS TO KICK-START YOUR WALKING YEAR(ウォーキング新年50の抱負)"という記事があり、日本とイギリスのウォーキングにまつわる異同が見えて面白かったので、部分的に訳し、コメントをつけてみた。当然ながら訳文の責任は当方にある。以下はその前半。


1 素っ裸で泳ぐ
 ”想像してみよう。夏が来た、日中は暑くてべたべたする、汗は背中をつたい、目の前の川は午後の太陽に光り輝いている。さあ、前からやってみたかったんだろう?やるならいまだ。誰も見ていない、ぜんぶ脱いで飛び込むんだ。さあどうだ!”
のっけからこれか、と。「さすが奇人の天国イギリス」と納得してしまう出だし。日本なら、観光地化されなかったころのカムイワッカの滝とかでのイメージになるだろう。


2 テントで一夜を過ごす
3 地元の最高峰に登る
4 ついて歩くだけからリーダーの立場になる
5 海外へ歩きに行く
6 ストックを使う
7 ストレッチをする
8 自分自身に挑戦する
9 携帯の電源を切る
このあたりは日本でもそのまま通用する抱負だろう。ストックを使わない人、田園地帯を歩いている最中でも携帯に出る人というのはイギリスでも多いのだろう。


10 長距離フットパスを歩く
長距離フットパスとは、日本でいえば”東海自然歩道”のような長距離自然歩道のことなわけだが、長いものでは歩き通すのに2週間以上はかかるらしい。平松紘『ウォーキング大国イギリス』(2002年)によれば、長距離フットパスには公式と非公式のものとあり、公式のものはナショナル・トレイルと呼ばれる。13本あるその総距離はロンドンからローマへの往復に相当するという。


11 出不精の友人を連れ出す
12 夜間ウォーキングをする
13 ウォーキング大会に行く

14 食料調達する
 ”新しいチャレンジだ。ウォーキング中に採取したものを少なくとも一つは食べてみよう。妙にまっ赤なキノコとか死んだリスとかとは言っていないぞ。自然の貯蔵庫にはおいしいものがどっさりあるからよく見てみよう。た〜くさん召し上がれ。”
ちょっとした野生への回帰のススメ、スローフードの考え方の原点かも。それにしてもイギリスではどこでもリスがよく見られるのだろうか。ロンドンの公園にはいても牧草地にはいない気がするが、どうなのだろう。キノコに対する感覚が同じなのはどこかおかしい。


15 地域のものを食べる
 ”時間が取れて週末にウォーキングするなら、日頃のダイエットにこだわらないようにしよう。目新しい地元のものを食べてみよう。食べ物にはいろいろあるというだけではない。地域の伝統を存続させ、地域経済を活性化することを考えてのこと。…(省略、以下同じ)”
言っていることは日本でも意味があるとは思うが、田園地帯のまんなかにでもパブのあるイギリスと違って、日本では食べるといっても場所が限られる気がする。しかも自分が食について感度が悪いので蕎麦や酒くらいしか思いつかない。てっとりばやく地場産業で製造されたおみやげを買って帰るというのもアリかもしれない。


16 ”地図番号LOTO”をする
 ”1から460までのなかの番号を選び、その番号にあたるオードナンス・サーヴェイの地図を買ってウォーキングを計画しよう。131を選んでウサギを追ってウォーターシップ・ダウンを上がるもよし。215でスノードニアの南縁を探検するもよし。…”
ここでの地図は縮尺25,000分の1のオードナンス・サーヴェイ・エクスプローラー・マップのこと。見ると、1から45までは国立公園など人気の高い地域をカバーし、46から100番は欠番になっているように見える。コーンウォール半島の先に浮かぶシリー諸島から101で始まって北上していく番号は、シェットランド諸島まで入れるなら470まで範囲を広げなければならないはずだが…。なお、日本の国土地理院の地図は通常なら図幅名で特定するのでLOTOはできないだろう。日本の25,000分の1の地図は4,358枚あってイギリスの10倍近いが、これは日本のほうが国土面積が広いのと、地図そのものの大きさが違うことによる。オードナンス・サーヴェイの地図は裏表両面を使ってもいる!


17 毎日歩く
18 ウォーキング記録を残す
19 夢の休日を計画する

20 眺めるために足を止める
 ”次回、歩きに行ったあたりで一番高いところに登ったら、少し長くそこにいよう。慌しくすることはない。しばらくとどまって眺望に浸ろう。…”

21 雨模様の日に滝見物ウォーキングをする
 ”雨に熱意を挫かれてはいけない。家の中で縮こまっていないで、滝見物にでかけて白い水しぶきの饗宴を楽しもう。”
イギリスではウォーキングが盛んなぶん、ひたすら歩くだけのひとも多いのだろうし、天気が悪くても歩くひともいれば、そうでない人ももちろんいるのだろう。


22 フィットネス日誌をつけ始める
23 道具に防水対策をする

24 ウォーキング後のマッサージを予約する
 ”歩いたあとのスポーツマッサージは、素晴らしいウォーキングをした一日を終わらせるのにうってつけだ。1時間のあいだプロの手に身をゆだねれば、痛んだ筋肉、堅くなった腱、それにきしむ関節までみな新品のように気持ちよくなる。終わるころには幸福感に浸っているはずだ。山歩きに向かうのにこれ以上ステキな理由付けを考えられるだろうか。”
歩いたあとのビール、というのがすぐ思いつきはするが…確かに歩いたあとのマッサージというのは(値は張りそうだが)魅力的だ。いままで考えもしなかったが、半年に一回くらいはよいかもしれない。やみつきになってしまったら年間山行予算が赤字になるかも。じつはそんなものはないのだが…。しかし日本でマッサージは1時間やってくれるのだろうか。20分コースとか40分コースとかが相場のような気がする。


25 チャリティウォーキングをする
 ”正当な理由でのありとあらゆる募金活動を考えると、山靴をはいて新鮮な空気と風景の続く道のりを行くことくらいやりがいのあることはない。国内外を問わず壮大な山岳への挑戦とか、長距離ルートを歩くとかを目玉にし、大規模に組織されるものが多い。でも気楽にスポンサーを募って近場の短いルートを数人の友だちと歩くというのだってできる。すくなくとも豆をいっぱいにひたした風呂に入るなんていうのよりははるかにマシだ。”
COUNTRY WALKINGの2005年7月号(#215)には、湖水地方の24ピークを24時間で踏んでゴールするというチャリティウォーキングの後日談が載っている。これはとある人道主義団体への募金活動だったようだが、この手のものがイギリスやUSAでは多いようだ。募金活動のイベントといえば日本では”24時間テレビ”か。ところで、イギリスでは豆風呂に入るのも募金活動のイベントになるのだろうか。100キロのマラソンをする日本の芸能人を見習えとまでは言わないが…。


Part2に続く)
2006/01/09 記

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