アダム・スミス
Adam Smith ( 1723-90 )


資本主義社会の倫理; 利己主義の肯定

1)社会の基礎;利己心(self-interest)=自己愛(self-love)

「我々が自分の食事を取るのは、肉屋や酒屋やパン屋の博愛心によるのではなく、彼等自身の利害関心に対する彼等の関心によるのである。」(『国富論』第1篇第2章「分業を引き起こす原理について」 大河内一男訳)

2)分業( division of lavour) と協業

分業は人間の本性の中にある交換性向から生じる
「我々が、自分たちの必要としている他人の世話を互いに受け合うのは、互いの合意による交換または購買によってであるが、もともと分業を発生させるのも、取引しようとする、これと同じ人間の性向である。
例えば、狩猟や牧畜を営む種族のなかで、ある特定の人間が、弓矢を他の誰よりも手ばやく上手に作れるとしよう。彼は、自分の作った弓矢を、しばしばその仲間たちの牛や羊や鹿の肉と交換する。そうするうちに、やがて彼は、こうする方が、自分が野原に出かけてそれらを射とめるよりも、いっそう多くの牛や羊や鹿の肉を手に入れることが出来る、ということを覚るようになる。こうして、自分自身の利益に対する関心から、弓矢作りが彼のおもな仕事になり、やがて、彼は一種の武器作りになるのである。」(同上)

「ところで、取引し、交易し、交換しようという性向が人間になかったなら、誰もが自分の必要とする生活の必需品と便益品をことごとく自分で調達しなければならなかったに違いない。」(同上)

「(神の)見えざる手によって導かれ」

3)新しい徳;勤勉(industry)

「勤勉、節約( parsimony)、深慮( prudence)」など、新しい市民社会の徳の発生

4)道徳の基礎;共感と正義

「公平なる観察者」による判断


資料集へ帰る

→村の広場へ帰る