ビル・エバンス(Bill Evans)
2026年追記
まさか、ビル・エバンスのページが無いとは思いませんでした。一応、書いておきます。
「Waltz for Debby」
私がジャズを聞き始めたのは、70年代中頃です。
ですから、「Waltz for Debby」をはじめとするRiversideの4部作や、Jim Hallとのデュオ、
「Kind of Blue」での冷たい炎のようなソロ(Milesの所に書いた記憶あり)など、
まず、60年頃の初期の演奏で、その耽美的な魅力に魅せられ、レコードを愛聴しておりました。
(ですから今回も棺桶盤としてそれら数枚は早めに買い直しました。)
そしてその頃来日もした、70年代中期のエバンスは、
普通のおじさんになってしまった、かつての天才児、的なイメージがあり、
余り熱心な聴き手ではありませんでした。
世間で名盤と言われていた70年の「Montreux」なども
中年になって贅肉がつくと共に、60年代に次第に若さと輝きを失ってきたエバンスが
久しぶりに放ったクリーンヒットという感じに受け取っており(今聞くとやはり名盤です。一応買い直しました)
深い関心は持てないでいたのです。
「Consecration」など
さて、そのエバンスが晩年に残した演奏、その魅力に気がついたのは、それほど昔のことではありません。
こちらの方も60才を過ぎて、そろそろ死について身近なものとして考えるようになってきた、ある頃に、
エバンスの晩年(といっても51才です)の演奏が耳に入るようになってきたのです。
この頃のエバンスは、体の具合も悪く、指もむくみ、ミスタッチも多く、
演奏が終わると仲間に背負われてホテルに戻る、といった有様だったようです。
しかし残されたCDから聞こえてくるのは、
新しい音、新しい響きの探求に没入しているような演奏、
ただただ音楽だけに集中し、自分がこれまで弾いたことがなかった音を探し求めるような演奏、
―まさに命を燃やし尽くすような演奏でした。
「白鳥の歌」の意味
What are you doing In the rest of your life?
自分に残された命があとわずかであることを知った時、あなたは何をして生きていきますか?
それは誰に対しても問われる正解のない問いです。
歌人なら歌を詠み、画家なら絵を描き、音楽家なら音楽を作るしかないでしょう。
エバンスの私生活は必ずしも幸福のものではなく、
麻薬とは縁を切ることができない人生でした。
でも最後まで音楽に打ち込んで生きていられたのなら、それは幸福な人生だったと言っていいと思います。