何人ですか?〜ベトナム人の外国人識別法〜
ベトナム人は人種的に近いせいもあり、見た目は日本人とほとんど見分けがつかない。特に最近はベトナム女性もおしゃれになって渋谷で歩いていても不思議ではないような人もいる。よって町中で日本人らしき女性を見かけて、ナンパしよう何か助けてあげようとすると、流暢なベトナム語を話し出して実は現地人だったりするので注意が必要である。しかし現地人からは日本人だということがすぐわかるらしい。正直言って日本人だと思われて特別得をする事は少ない。ベトナム人にとって外国人はすべてぼったくる対象であるが、特に日本人は金持ちで気前がいいと思われているので、格好のカモである。ベトナムの(というかアジア全域の)町中でイキナリ日本語で話しかけられたら、カモだと思われているとみなして差し支えない。ぼったくられない最高の方法は現地人だと思われることだ。アジアの民衆の中にとけ込んでいるか否かの目安として、日本人と思われるか現地人と思われるかをあげることもできる。
で、ハノイ滞在も一年が過ぎた私が今や現地人からどう認識されているかというと、圧倒的に中国人である。ん?これはどう解釈したらいいんだ?果たして現地にとけ込んでいるのかいないのか不明である。それも今になって断然中国人になったのではなく、ハノイ滞在が始まって以来、ずっと中国人である。日本人にしては貧乏くさいなりをしているからだろうか?それならベトナム人と思われてもいいようなもんだが、やはり圧倒的に中国人である。他には台湾人とかマレーシア人とかシンガポール人に間違われたこともある。
あと、たまに朝鮮人に間違われることもあるが、これもわからん。朝鮮人とは色白で顔が細い人のことではないのか?私は浅黒くて丸顔で南洋系の顔つきだと思う。これまで香港の町中で広東語で話しかけられたり、バンコク行きの飛行機の中でタイの入国カードを渡してもらえなかったり、クアラルンプールの駅でマレー語のアンケート用紙を渡されたりしたことはあるが、朝鮮人に間違われたことはベトナムに来るまで一度もなかった。中国人だと思われるのもどうかと思うが、華南なら南洋系の顔つきもいるだろう。
ある日、セオム(バイクタクシー)に乗っていると、セオムの運転手から
「お前はインド人か?」
・・・インド人!?
私は思わず、バイクの背からずり落ちて道路を転がって行きそうになった。
なんだぁ、インド人というのは、頭にターバンを巻いて笛を吹いて「レッドスネーク、カモン!」とか言う人のことではないのか、
私「日本人だ!何回もセオムに乗ったけど、インド人に間違われたんは初めてだ。なんでインド人だと思ったんだ」
運転手「前に、お前がインド料理店から出てきたところを見かけたんだ。」
ああなるほど、それで・・・・・・・・・・・
・・・って、それだけかい!
結局、ベトナム人の外国人識別が極めていい加減だということがわかった。南洋系の顔つきがどうのこうのってそこまで考えている訳はないようだ。中国人だというのも、単にハノイで一番多いアジア系外国人だというだけだろう。
で、ある日チャンティエン通り(ハノイの目抜き通り)を歩いていると、物売りらしい男が近づいてきて、
「オー、コンニチワ!」と話しかけてきた。
やっと日本人と正しく認識されて、感激のあまりむせび泣いたかというと、そんな訳はないだろう。
滅茶苦茶うさんくさいので、そそくさとその場から立ち去ったのであった。